行政書士試験の憲法(国会4)

前回は国会議員を選出するための選挙制度について書きました。今回は、国会議員の地位に就いて書きたいと思います。憲法上、国会議員には特権が認められています。その話をしたいと思います。

 

 

| 国会議員の特権

 

国会議員には、国会を運営するための特権が2つ与えられています。特権とは、特定の人に特別に与えられる優越的な権利です。国会議員は全ての国民の代表として国会議員としての仕事をしなければいけません。国会の仕事をしている途中に邪魔されないように特権が与え荒れています。

国会議員の2つの特権は、不逮捕特権と免責特権です。

1 不逮捕特権

不逮捕特権は、国会の会期中は原則として逮捕されないという特権です。逮捕をするのは警察、つまり行政機関ですから、行政機関の権限濫用によって国会の運営が邪魔されないようにするための特権です。

国会の会期前に逮捕された議員がいる場合には、議院(衆議院や参議院)は議員の釈放を要求することができます。

不逮捕特権の例外は、院外での現行犯逮捕や院の許諾がある場合です。このような場合には、行政機関の逮捕権の濫用は考えにくいとされています。

 

憲法 50条

両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

 

2 免責特権

免責特権は、国会議員が議院で行った発言や表決について原則として院外で責任を問われないという特権です。議院での国会議員の言論の自由を厚く保護しています。もし議院での発言や表決に責任を問われてしまうとなると、責任追及が怖くて十分な議論ができないかもしれません。そうならないために免責特権が認められています。

免責特権の例外は、院外での懲罰責任です。また、院内の発言であっても職務に関係の発言には免責特権は認められません。

 

憲法 51条

両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 

 

| 国会の活動

 

国会議員の特権は国会の運営に支障を及ぼさないために認められていました。では、国会にはどのような種類があるのでしょうか。

国会には、通常国会、臨時国会、特別国会の3つがあります。国会は会期ごとに活動し、国会の会期中に議決ができなかった案件は原則として次の会議に継続しません。また、同じ案件について一つの会期中に再審理をすることはできません。

通常国会は、毎年1回、必ず開催されます。1月から150日間行われます。延長は1回までで、開会式には天皇が出席します。主に、予算を決めたり法律を制定したりします。

 

憲法 52条

国会の常会は、毎年一回これを召集する。

 

臨時国会は、急いで法案を審議する必要があったり、補正予算を成立させる必要があったりする場合に開かれます。衆議院と参議院のどちらかの議員の総議員の1/4以上の要求があれば開かなければいけません。

 

憲法 53条

内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

 

特別国会は、衆議院解散後の総選挙から30日以内に開かれます。衆議院の総選挙は、衆議院の解散から40日以内に行われます。選挙の結果、国会の議院に変動がありますから、新たな民意の代表によって総理大臣を選びます。

 

憲法 54条

衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

 

通常国会、臨時国会、特別国会の他に、参議院だけの緊急集会があります。緊急集会は衆議院が解散しているときに緊急事態が発生して国会を開かなければいけないときに行われます。

緊急集会を開催できるのは内閣だけです。また、緊急集会で撮られた措置は臨時の決定にすぎません。ですから、次の国会開会後10日以内に衆議院の同意がない限り将来に向かって決議の効力は失われます。

 

憲法 54条

2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

 

 

| まとめ

 

1 国会議員には不逮捕特権と免責特権がある!

2 国会には通常国会、臨時国会、特別国会がある!

3 参議院の緊急集会での措置は臨時の決定!



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