行政書士試験の憲法(居住・移転の自由など)

前回までの2回で経済的自由権の概要と違憲審査基準について書きました。今回は居住・移転の自由、海外渡航の自由、国籍離脱の自由について書きたいと思います。

 

 

| 居住・移転の自由ってなに?

 

居住・移転の自由はその名のとおり、どこに住むのかどこに転居するのかなどの自由です。この中には旅行の自由も含まれています。

居住・移転の自由は経済的自由権としてだけ考えられてきましたが、近年は人身の自由などの複合的な側面を持っていると考えられています。

たとえば、勤め先への通勤に便利なところに住むというのが主な意味合いでしたが、夏は北海道で過ごす自由や、欧州サッカーの観戦が好きだからヨーロッパに住む自由なども居住・移転の自由として認められています。それゆえに、人身の自由の側面もありますし精神的な自由の側面もあります。

 

 

| 海外渡航の自由ってなに?

 

居住・移転の自由には旅行の自由が含まれています。しかし、海外旅行の自由があるのかはまた別の問題です。

実は海外渡航の自由は憲法22条1項ではなく22条2項によって保障されているとされています。

 

憲法22条

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 

外国に定住する自由も保障されているのだから、一時的な外国への旅行の自由も当然保障されているという考え方です。

ただ、外国人に関しては、日本から外国へ出国する自由は認められますが、もう一度日本へ入国する再入国の自由については争いがあります。入国は日本の安全を左右することで、国に大きな裁量が認められるはずだからです。

 

 

| 国籍離脱の自由ってなに?

先ほど見ましたとおり、憲法22条2項では国籍を離脱する自由が認められています。

ただし、無国籍になる自由は保障されていません。国籍を離脱する場合には、どこかの国の国籍を取得していなければいけません。

二重国籍になっている人が日本国籍を離脱することはできます。両親が異なる国の国籍を持っている場合、いわゆる国際結婚の場合に生まれた子の国籍が問題になることが多いようです。数年前に政治家でも問題にされていましたね。

 

 

| まとめ

 

1 居住・移転の自由は複合的な自由権!

2 海外渡航の自由は憲法22条2項で保障!

3 国籍離脱の自由はあっても無国籍にはなれない!



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