インターネットの物件情報には多かれ少なかれおとり物件があります。小さな不動産屋では物件情報の更新に手が回らず成約物件がまだ掲載されていることもあります。中には、わざと募集していない物件を掲載して店に足を運んでもらうことを目的にしている不動産屋もあるようです。
おとり物件については当ブログでも取り上げたことがあります。“ありもしないおとり物件にはご注意を!”の記事をご参照ください。
今回は、公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会がまとめた2019年度のおとり広告等の違反物件の調査報告書を見てみたいと思います。
| 2019年度の違反物件数は増加
2019年度の全国の違反物件数の合計は2,955物件だったそうです。2018年度よりも145件増加しているとのことです。違反物件数が多い都道府県は次のとおりです。
1 大阪府 683件(682件)
2 兵庫県 536件(231件)
3 東京都 487件(554件)
4 福岡県 190件(373件)
5 埼玉県 149件(88件)
6 神奈川県 146件(150件)
7 北海道 144件(78件)
8 愛知県 133件(86件)
9 京都府 110件(34件)
10 静岡県 58件(69件)
( )内は2018年度の違反件数です。
大阪、兵庫、東京が群を抜いて多いですね。また、福岡、埼玉、神奈川、北海道、愛知、京都も多めです。10位の静岡県以下はかなり数が少ないようです。
物件数が多い地域に違反物件が多いように思われます。ただ、東京、埼玉、神奈川などの関東よりも、大阪、兵庫、京都といった関西の方が違反物件の割合は高そうですね。
兵庫や京都が倍以上に急増していることに驚きました。埼玉も急増していますね。逆に、福岡は半減しています。
| 2019年度のおとり広告は減少
都道府県による差が大きいとはいえ、全国的には違反物件数が増加していましたが、おとり物件の件数は減っています。2018年度から355件減り、2019年度は1,857件でした。
不動産公正取引協議会の審査部門が強化されたことが原因だと推測されています。違反物件数が急増した県では、より厳しい審査がなされたのかもしれませんね。
違反物件数の多い都道府県のおとり物件数を挙げます。
1 大阪府 532件(597件)
2 兵庫県 260件(177件)
3 東京都 223件(328件)
4 福岡県 151件(345件)
5 埼玉県 66件(69件)
6 神奈川県 76件(94件)
7 北海道 58件(52件)
8 愛知県 103件(76件)
9 京都府 85件(23件)
10 静岡県 53件(68件)
( )内は2018年度のおとり物件数です。
2018年度と比べると横ばいか減っている都道府県が多いようです。違反件数自体が激増した兵庫や京都はおとり物件数も激増しています。逆に、福岡県は違反物件数の減少とともにおとり物件数も減っているようです。
違反物件数の多い都道府県のおとり物件数も見てみます。
1 大阪府 77.9%(87.5%)
2 兵庫県 48.5%(76.6%)
3 東京都 45.8%(59.2%)
4 福岡県 79.5%(92.5%)
5 埼玉県 44.3%(78.4%)
6 神奈川県 52.1%(62.7%)
7 北海道 40.3%(66.7%)
8 愛知県 77.4%(88.4%)
9 京都府 77.3%(67.6%)
10 静岡県 91.4%(98.6%)
( )内は2018年度のおとり物件の割合です。
違反物件数に対するおとり物件数の割合は意外に高いですね。低い都道府県でも40~50%くらい。高い都道府県だと70%を超えています。
それでも、2018年度に比べればおとり物件の割合は減っています。2018年度は上位10都道府県のうち60%を超えているところがほとんどですものね。
全国的にはおとり物件の割合は62.8%でした。2018年度は78.7%でしたので16%近く減少したことになります。
不動産情報を調べる方法はインターネットが主流になっていますので、インターネット上のおとり物件が減っているのはありがたいですね。不動産屋として、成約物件が掲載していないかを今までにも増して注意したいと思います。
| まとめ
1 全国的に違反件数は増加!
2 全国的におとり物件数は減少!
3 関東よりも関西の方が違反件数は多い!?