大家をやって懲戒処分

仙台市の教諭が無許可で不動産賃貸をしたとして、教育委員会が減給処分にしたというニュースが流れました。原則として禁止されている副業をしたという理由です。地方公務員法違反だそうです。

公務員の不動産投資について考えてみました。

 

 

| サラリーマンの副業の推奨

 

日本では、政府がサラリーマンの副業を推奨しています。老後に必要な資金が2000万円だというあの発言にも関係しています。年金の資金の不足も。

サラリーマンにはもちろん公務員も含まれます。公務員は国家公務員が約64万人、地方公務員が約275万人もいるとされています。合計で340万人もいますから、中には副業として不動産投資をしたいと考える方もいらっしゃいます。

ところが、公務員の副業の中でも農業や不動産賃貸は“自ら営利企業を営むこと”に該当するとされています。

公務員だけがこれだけ厳しくされているのは、民間企業と公務員の待遇の違いです。民間企業は行政気が悪くなればボーナスの激減や不支給になります。また、新型コロナウイルス感染症の猛威のような突発な事態では解雇されるかもしれません。公務員はそのような心配は少ないですから、副業をする必要はないということなのでしょう。

 

 

| 公務員の副業の厳しさ(国家公務員)

 

公務員には国家公務員と地方公務員がいますが、それぞれ別の法律によって規制されています。国家公務員は国家公務員法、地方公務員は地方公務員法です。

まずは、国家公務員の場合から見てみましょう。

 

国家公務員法 第103条

 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。

2 前項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。

第3項以下 略

 

国家公務員は営利企業の役員などを兼務してはいけませんし、自ら営利企業を営んでもいけません。役員や自営業がダメなら企業の従業員は?と思われるかもしれませんが、国家公務員法には次のような規定があります。

 

国家公務員法 第101条

職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、官職を兼ねてはならない。職員は、官職を兼ねる場合においても、それに対して給与を受けてはならない。

2 前項の規定は、地震、火災、水害その他重大な災害に際し、当該官庁が職員を本職以外の業務に従事させることを妨げない。

 

つまり、国家公務員は職務に専念する義務があります。企業の従業員をすると国家公務員としての職務ができませんから、当然に禁止されます。

休みの日のアルバイトは?となると、別の規定があります。

 

国家公務員法 第104条

 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

 

勤務時間外のアルバイトをするには、内閣総理大臣と所轄庁の長の許可が必要です。許可を得ずにアルバイトをすると国家公務員法違反で懲戒処分の対象になります。

 

 

| 公務員の副業の厳しさ(地方公務員)

 

地方公務員にも同じような規定があります。

 

地方公務員法 第38条

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

2 人事委員会は、人事委員会規則により前項の場合における任命権者の許可の基準を定めることができる。

 

地方公務員も営利企業の役員などや自営業を禁止しています。また、“いかなる事業若しくは事務にも従事してはならない”とも書かれています。

もちろん、地方公務員にも職務に専念する義務があります。

 

地方公務員法 第35条

 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

 

任命権者の許可や法律・条令の定めがあれば兼務は可能ですが、許可はほぼ出ないと思っていいかもしれません。

地方公務員ではときどきニュースになっていますね。夜間のビル清掃アルバイトがバレた事案、パチンコ店の清掃バイトがバレた事案、飲食店でのバイトがバレた事案等があります。年間50~60万円でもバレていますので、公務員の方の副業には注意してください。減給だけではすまずに、停職の懲戒処分を受けることもあります。

 

 

 

| まとめ

 

1 公務員の副業は許可があればOK!

2 勤務時間外のアルバイトも副業!

3 副業がバレたら減給や停職処分!



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