近年は相続した空家を売却したくてもなかなか売れないという不安を持っておられる方が多くいらっしゃいます。以前の記事“空き家は売りたくても売れない!?“でも書きましたが、売却したくても希望する金額ではなかなか売れないご時世になっています。
そこで、そのような不動産を後世に残すためには遺言書を作成しておくと安心です。特に公正証書遺言で作成すると家庭裁判所の検認手続きを省略できるなど、相続人の負担が軽くなっています。
公正証書遺言はどうやって作成するのでしょうか。
| 公正証書遺言は増加中!?
“公正証書遺言”という言葉に慣れ親しんでいる方は少ないと思います。公正証書遺言はその名のとおり公証役場で公証人に作成してもらう公正証書という形の遺言書です。難しいく思われるかもしれませんが、実は最も楽に作成できる遺言です。
公正証書遺言を残される方は年々増えてきています。平成元年頃は約41,000件、平成20年頃には約76,000件だった公正証書遺言が、平成26年には100,000件を突破しています。私アシュラの親族にも公正証書遺言を遺している人が何人もいます。
公正証書遺言は、自分で書く自筆証書遺言に比べると無効になりにくい遺言です。自筆証書遺言はかなり厳しく様式が決まっていますので、少しでも様式を間違っていると無効になってしまいます。
その点、法律のプロである公証人が作成する公正証書遺言は間違いがないと言っても過言ではありません。
公正証書を作成するには、お近くの公証役場に問い合わせても丁寧に教えてもらえますが、行政書士、司法書士、弁護士などの法律家にご相談することをおすすめします。
| 公正証書遺言のメリット
公正証書遺言は安心・安全ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。よく言われているメリットを挙げてみます。
1 遺言が無効にならない
先ほども書きましたが、公正証書遺言は公証人という法律のプロが作成しますので、細かなミスがないため無効にならないと言えます。自筆証書遺言では、署名押印の型式、日付の形式、封緘の型式、訂正の型式など様々な制約があります。このような細かな点で間違いをしやすいのですが、公正証書遺言なら記載ミスで遺言が無効になる心配はありません。
2 偽造を防止できる
公正証書遺言は公証人が作成しますので、偽造される心配がありません。自筆証書遺言の偽造が疑われる場合には筆跡などで判断することになります。公正証書遺言は偽造の心配がなく、安全です。
3 遺言書を紛失しない
有効な遺言書であっても紛失してしまったり、相続人が遺言書の存在を見つけられなかったりした場合には、遺言の内容は実行されないため遺言しなかったのと同じになります。破棄してしまおうと考える人も珍しくありません。公正証書遺言は原本を公証役場が保管します。110歳まで保管されるそうです。安心ですね。
4 自分で書く手間がいらない
自筆証書遺言は、本文を全て自分で書かなければいけません。公正証書遺言は原案に沿って公証人が作成しますから自分で書く必要はありません。病気など何らかの事情で文字を書けない人でも有効な遺言を作成することができます。
5 遺産相続をすぐに始められる
公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続きを受けることなく相続を開始できます。自筆証書遺言では、開封する前に家庭裁判所の検認を受けなければいけません。被相続人が亡くなって相続が開始されたら、すぐに財産の処分や分配を行うことができます。
長くなりましたので、公正証書遺言のデメリットは次回に書きたいと思います。
| まとめ
1 公正証書遺言は年間10万件以上!
2 公正証書遺言のメリットは安心であること!
3 公正証書遺言は偽造の心配がなく安全!