日常の生活の中で公正証書と出会う場面はごく限られています。公正証書は公証役場で作成した契約書ですから、そうそうお目にかかるものではありません。
公正証書で作る書類は、たとえば、遺言や離婚協議書、任意後見契約書があります。任意後見契約書や事業用定期借地契約書などは公正証書で作らなければいけない決まりがあります。
いざというときには弁護士や行政書士に作成を依頼する方法がありますが、ここでは公正証書の作成について書きたいと思います。
| なぜ公正証書で作るの?
公正証書は、通常の契約書に比べて信用度が高いとされています。公正証書は公証役場に一定期間保管されますので、偽造や紛失の心配がありません。契約について争いになったときにも証拠になります。さらに、公証人が内容を確認しますので法律上無効になる事項は記載されません。
公正証書の最も大きな特徴は、裁判をしなくても強制執行が可能になることです。公正証書には“強制執行の認諾”という条項があります。内容としては次のような文言です。
“乙は、本公正証書に記載する金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に復する旨を陳述した。”
このような文言が公正証書にあると、裁判をしなくても公正証書だけで強制執行ができるようになります。これが公正証書の大きな特徴です。
| どうやって公正証書を作るの?
公正証書を作成するには、公正証書の案を作成して必要書類を揃え、公証役場の公証人に公正証書の作成を依頼します。
1 公正証書の内容を決める
公正証書の内容をどのようにするのかを決めます。公証人に具体的かつ正確に伝えるために、文章にしておくとスムーズです。
2 必要書類を揃える
公正証書に必要な書類は、どのような契約を公正証書にするのかによって変わってきます。通常は、契約者双方の印鑑証明・運転免許証・個人番号カードなどの公的な身分証明書と印鑑です。印鑑証明の場合には実印が必要です。公証役場に電話すると必要書類を教えてもらえます。証人が必要な場合もあります。
3 公証役場へ作成を依頼
公正証書の内容が決まり必要書類が揃ったら、公証役場へ公正証書の作成を依頼します。申し込みは電話で大丈夫です。書類のやり取り方法はメールであったりFAXであったり郵送であったりします。
4 公正証書案の完成
公証役場で内容の確認と必要書類の受領があると、公正証書の作成の準備が始まります。必要な書類がそろっていれば、早ければ翌日、遅くとも3週間くらいで公正証書ができた連絡を貰えます。内容を確認して大丈夫であれば次の段階へ進みます。
5 調印日を決める
公正証書の案の内容に問題がなければ、調印日を予約します。公証役場が開いているのは平日の昼間だけですから、契約者全員が公証役場に出向くことができる日時を相談します。公証人が出張でいない場合もありますので、候補日はいくつか選んでおく方が安心です。調印は代理人でも可能ですので、必要書類を公証役場に問い合わせておきます。
6 調印日に公証役場へ赴く
予約をした調印日に公証役場へ行きます。受付で名前と要件を伝えますと、準備が整えて呼び出してくれます。公証役場によっては別室の個室を用意されることがあります。公証人が公正証書案を読み上げますので、内容を確認します。問題がなければ調印します。
7 手数料を払って公正証書を受け取る
調印した公正証書をきちんとした形にする間に、手数料を支払って領収証を受け取ります。数分間待っていると呼び出されますので、公正証書を受け取ります。これで公正証書作成の手続きは完了です。
| まとめ
1 公正証書の信用は抜群!
2 公正証書があれば強制執行ができます!
3 公正証書の内容は自分で決めます!