ときどきマスコミをにぎわせる横領事件。億単位の金額を横領したケースが報道されています。中には15年間で約25億円を横領した事件もありました。
近頃は、会社側の対策として“従業員の横領は起こる”という立場から検討されています。
会社のお金が横領された場合、どのような対応を取ればいいのでしょうか。
| 会社が最初にやるべきこと
業務上横領は犯罪ですが、同時に会社の経営にも影響を及ぼす可能性もあります。会社としては横領した金銭の返済をすぐにして欲しいところです。会社として取るべき行動は次のようなものです。
1 会社のモノであるという証拠を集める
従業員が使うモノには会社のモノもあれば従業員の私物もあります。会社の銀行口座から自分の銀行口座に送金したり、レジのお金を着服したり、会社の金庫からお金を盗んだりした場合にははっきりと会社のモノを取ったということが分かります。
しかし、従業員の私物を持ち帰ったり売り払ったりしても業務上横領にはなりません。着服されたモノが会社のモノであることをハッキリとさせる証拠が必要です。
2 誰が何を横領したのかが分かる証拠を集める
たとえば、会社の銀行口座から従業員の銀行口座に送金した場合には通帳、レジのお金を着服したり会社の金庫からお金を盗んだりした場合には防犯カメラなどの録画データなどです。その他にも、水増しされた領収書や従業員からの密告の録音データなども残しておくと証拠になります。
横領されたことは確かですが、誰が横領したのか分からない場合には、警察に届けることをおすすめします。必要な証拠を具体的にアドバイスしてもらえるかもしれません。
| 証拠が揃ったらやるべきこと
会社のモノを横領されたことをハッキリと分かる証拠が揃ったら次のステップに進みます。横領した従業員との話し合いです。話し合いの場では録音をすることをおすすめします。
1 疑いのある従業員から事情を聞く
疑いのある従業員の話を聞きます。最初から疑っていることを明らかにせず、まずは従業員の事情を聞きましょう。その場で自白があった場合には、示談の内容に進みます。
2 示談の内容を話し合う
会社側が一定の方向性を決めてから示談に進みます。たとえば、次のようなことです。
(1)横領金の総額
(2)被害届や告訴の取下げ
(3)複数人での横領の場合への対応
(4)横領金の返済方法
(5)覚書や念書の提出
3 横領金の返済のために公正証書を作成する
示談が整って横領した金額の総額や返済方法が決まりましたら、内容を公正証書にすることをおすすめします。公正証書にしておくと、返済が滞った場合に裁判をせずに債務者の財産に強制執行をすることができます。
債務者に財産がない場合でも、返済の心理的な強制力にもなりえます。費用はかかりますが、後々のためにも公正証書にしておきましょう。公正証書の作成はお近くの公証役場に相談しても教えてもらえますし、弁護士や行政書士に依頼すると時間や手間が省けます。
| まとめ
1 横領に気づいたらまずは証拠集め!
2 証拠が揃ったら疑いのある従業員と話し合い!
3 示談内容が決まれば公正証書にするのがおすすめ!