建設業や産業廃棄物業など許可や認可がなければ仕事ができない業種があります。許認可を取るためには様々な要件を満たして多くの書類を提出しなければいけません。許認可を取るプロ“行政書士”が手続きをする場合でも不許可になることはあります。そのような場合はどうすればいいのでしょうか。
今回は不許可になるケースと不服申立ての制度について書きたいと思います。
| 許可を申請したのに認められない!
許可を申請したのに認められないパターンとしては次の2つがあります。
1 書類の不備・不足
2 許可の要件を満たしていない
それぞれの場合を見ていきます。
1 書類の不備・不足
書類の内容が間違っていたり足りなかったりした場合には、許可を取ることができません。ただ、この場合には窓口で指摘を受けたり審査中に問い合わせがあったりすることがあります。そのときに正しい内容に修正したり足りない書類を補完したりすると問題なく許可を取ることができます。
これらの修正や補完ができないと許可を取れませんが、特に注意したいのは“証明書類”です。たとえば業務年数に関するものや社会保険の加入に関するものなどです。行政の担当者から提出するように求められた証拠書類が準備できず、代わりになる書類も不完全だった場合には不許可になります。
行政書士が担当すると、事情を説明して用意できる書類の案を担当者に提案することで了承を貰い許可を取ることができる場合があります。プロとしての腕の見せ所でしょうか。書類が揃えられない場合には一度行政書士にご相談ください。
2 許可の要件を満たしていない
許可を取るにはいくつもの要件をクリアしなければいけません。建設業でしたら「人・モノ・金」です。必要な管理者がいて、事務所をしっかりと構えており、必要な額のお金を用意していなければ不許可になります。これらは証拠書類を揃えて証明します。
また、役員や店舗の責任者は様々な条件をクリアしなければいけません。特に建設業や宅建業には厳しい条件が付いています。これらは行政側が独自に調査をします。不許可処分までに弁明の機会はありませんので、いきなり不許可の通知が来るかもしれません。これが一番怖いですね。
| 不許可になったらどうしたらいいの?
不許可になったことは大きな損害になりますが、それでも不許可に理由がはっきりとしていればある程度納得できるかもしれません。書類を集められなかったり、はっきりと決められている「人・モノ・金」の条件をクリアできていなかったりすれば、不許可になってもしょうがないと諦められるかもしれません。
しかし、行政側が独自に調査をしたことによって問答無用に不許可になるのは納得ができないのではないでしょうか。このような場合には、裁判をして行政の行為が不当・不法であると主張することもできますが、もっと簡易に文句を言う機会として“行政不服審査制度”があります。
国に対する不服審査のうち約72%が社会保険についてです。その他には、国税(約7%)、出入国管理(約3%)、労災(約3%)、生活保護(約3%)などがあります。都道府県や市区町村に対する不服審査は、生活保護(約34%)、情報公開(約13%)、介護保険(約10%)、高齢者の医療(約6%)などとなっています。許認可についてはほとんどないようですね。ただ、生活に密着していることから不許可の営業は大きいです。
行政不服審査制度は1962年に制定されてから50年以上経ちます。その間に市民の意識の変化や関連する環境の変化がありました。そこで、2014年に行政不服審査制度が改正されて、2016年から施行され使いやすくなりました。改正点は主に次の3点です。
1 公正性の向上
諮問機関として第三者機関が設けられ、審査庁の採決の判断をチェックすることになりました。
2 使いやすさの向上
不服申立ての手続きのうち“異議申立て”が原則としてなくなり“審査請求”に一本化されて分かりやすくなりました。
3 救済手段の充実・拡充
審査請求のできる期間が60日以内から3か月以内に延長されました。
| まとめ
1 不許可になるのは書類の不備か内容がダメな場合!
2 不許可に納得できないなら行政不服審査制度を活用!
3 行政不服審査制度が2016年から新制度に!