先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。
確定申告書の作成についてのポイントを4回に分けて書きます。今回は第3回です。
| 法人税などの申告書作成ポイント
前回、前々回からの引き続きの記事になります。
前回までの2回で、チェックポイント1~7を書きました。今回はチェックポイント8から書きたいと思います。
8 中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除
中小企業などが、2021年3月31日までに、特定経営力向上設備の取得または指定事業の用に供した場合には、即時償却または法人税額の特別控除の選択ができる制度です。
即時償却は、購入した事業年度に購入費用の全額を損金に計上する償却方法です。また、特別控除は一般的には取得額の7%、資本金が3,000万円以下の法人は取得額の10%です。
対象になる資産は次のとおりです。
・機械及び装置 一台160万円以上
・工具・器具・備品 一台30万円以上
・建物付属設備 一つ60万円以上
・ソフトウェア 一つ70万円以上
この制度を使うには、経営力向上計画が認定されていなければいけません。その計画の中に記載された設備などが対象になります。確定申告書には、経営力向上計画の写しと経営力経営計画の認定書の写しを添付します。
9 特定税額控除規定の適用可否の判定
この制度では中小企業者等は対象ではありません。ですので、今回はスルーすることにします。大企業でこの制度の適用を受けると、一定の税額控除がうけられます。
10 青色申告事業年度の欠損金または災害損失金の損金算入
欠損金などの繰越控除限度額は、一般的に2018年4月1日以降の事業年度では50%です。ただし、中小企業は全額を繰越控除できます。
また、青色申告書を提出した年の欠損金の繰越期間は、2018年4月1日以降の事業年度で9年から10年に延長されています。それにともなって、帳簿の保存期間も10年になっていますし、更正請求期間や更正自体の期間も10年に延長になっています。
11 受取配当等の益金不算入
一般的に受取配当は益金に入りません。益金に入らないと、所得が減って税額も減ります。ただ、配当に似ているものでも益金に入れなければいけないものもあります。
(1)外国法人や法人格なき社団などから受けた配当や適格現物分配による配当
(2)協同組合等の事業分量配当
(3)保険会社の基金利息、契約者配当金
(4)特定目的会社からの受ける利益の配当
(5)証券投資法人から受ける利益の配当
(6)信用取引による配当落調整額
(7)短期保有株式等の配当金
(8)一定の要件に該当するみなし配当
(9)証券投資信託の収益分配金
(10)公社債投資信託の収益分配金
(11)貸付信託の収益分配金
(12)外国投資信託の収益分配金
(13)REIT(不動産投資信託)の収益分配金
益金に入れない受取配当は、4つに分類して記入しなければいけません。
(1)完全子法人株式等
(2)関連法人株式等
(3)その他株式等
(4)被支配目的株式等
それぞれの出資割合や益金不算入割合は文章にするとややこしいので表にまとめました。
12 中小企業等の貸倒引当金
簡便法が使える法人の基準年度は2015年4月1日~2017年3月31日に開始した事業年度です。
13 寄付金の損金不算入
青色申告をしている法人が、2020年3月31日までにふるさと納税で寄付をした場合には、寄付金額の20%から地方住民税の額を引いた金額を控除した金額分を法人税額から特別控除できるようになっています。文章で書くと全く分かりませんので、計算式にします。
[特別控除額] = [寄付金額×20%] - [地方純民税から控除される金額]
簡単に言いますと、寄付金額の20%が法人税や住民税から控除されます。ただし、特別控除されるのは法人税額の5%までです。
| まとめ
1 経営力向上計画の設備導入で減税!
2 青色申告の欠損金繰越は10年に延長!
3 ふるさと納税でも減税!