先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。
確定申告書の作成についてのポイントを4回に分けて書きます。今回が最終回です。
| 法人税などの申告書作成ポイント
前回までの3回の引き続きの記事になります。
前回までの3回で、チェックポイント1~13を書きました。今回はチェックポイント14~18を書きたいと思います。今回で申告書作成のポイントは終了です。
14 交際費等の損金不算入
交際費は、交際費・接待費・機密費などの費用で、接待・慰安・贈答などのために支出する費用です。つきあいのための費用ですね。
ただし、次の費用は交際費に入りません。
(1)もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行などの費用
(2)飲食などの費用で5,000円/人以下の費用
(3)カレンダー、手帳、うちわ、手ぬぐいなどの物品の費用
(4)会議での茶菓、弁当などの飲食物の費用
(5)新聞・雑誌などの出版物、放送番組を編集するための座談会など、放送のための取材の費用
交際費の中の飲食代は、50%まで損金に入れることができます。また、中小法人は次の式の定額控除限度額を超える場合には、飲食代の50%と定額控除限度額を超えた額とのどちらかを損金に入れることができます。
[定額控除限度額] = 800万円 × [事業年度の月数 ÷ 12]
簡単に言いますと、中小法人の場合には800万円まで交際費として損金に計上することができます。
15 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例
青色申告を提出する法人で、常時使用する従業員が1,000人以下の法人が対象です。確定申告書には明細書を添付します。
損金に算入できるのは取得価格が30万円未満のものだけですのでご注意ください。また、次の場合にはこの特例を使うことができません。
(1)10万円未満の少額減価償却資産を損金に算入した場合
(2)20万円未満で3年間均等償却している一括償却資産を損金に算入した場合
(3)圧縮記帳・特別償却・税額控除の適用を受けた資産
少額減価償却資産や一括償却資産などについて表にまとめるとこうなります。
16 役員給与の損金不算入
原則として役員の報酬は損金として処理できません。ただし、例外が3つあります。
(1)定期同額給与
(2)事前確定届出給与
(3)業務連動給与
これらのうち(1)定期同額給与を事業年度の途中で改定する場合は、改訂前・改定後で毎月一定額が支給されている場合には、定期同額給与になります。ただし、改定の理由は次の3つだけです。一概に決められるものではなく、個々の事情に照らして判断されます。
(1)通常改定
事業年度が新しくなる時に株主総会などを経て改定する場合です。この場合には新事業年度の開始日から3か月以内でなければいけません。
(2)臨時改定事由による改定
役員の職制上の地位の変更、やむを得ない事業がある場合です。新事業年度の開始日から3か月以内で、予測しがたい偶発的な事情による恣意的でない改定でなければいけません。
(3)業績悪化改定事由による改定
経営の状況が著しく悪化した場合の改定です。条件は厳しく、役員が経営上の責任を取る場合や銀行とのリスケジュール協議による減額などでなければいけません。
17 消費税・地方消費税の申告書
消費税は別の回で書きますので、ここでは触れないことにします。課税売上高が5億円を超える場合には、仕入税額控除の調整計算をすることになりますのでご注意ください。
18 国境を越えた役務提供に係る消費税の課税関係
外国と取引をする場合の課税についてです。特にインターネットで海外の業者や消費者と取引する場合には注意が必要です。インターネットでの取引は、電子書籍、音楽、公告の配信などがかんがえられます。
課税されないパターンは、次の2つだけです。
(1)国内事業者が国外事業者に役務を提供する場合
(2)国内事業者が国外の消費者に役務を提供する場合
2015年の改正とは逆になっていますのでご注意ください。
| まとめ
1 中小法人の交際費は800万円までOK!
2 中小事業者は30万円未満の減価償却費を損金算入OK!
3 役員の給与の損金算入には要注意!