厚生年金の加入は強制?

| 強制適用事業所と任意適用事業所

 

以前の“社会保険に強制加入!?”という記事で書きましたが、強制的に労働保険や社会保険に加入させられる事業所があります。労働保険には労災と雇用保険、社会保険には健康保険と厚生年金がありますが、ここでは厚生年金を中心に社会保険に絞って少し詳しく書きたいと思います。

事業所は強制適用事業所と任意適用事業所に分かれています。法人か個人か、事業の種類は何か、従業員は何人いるかで分けられています。

 

| 強制適用事業所になる場合

 

強制適用になる事業所は次の1~3のすべてに当てはまる事業所です。全てに当てはまらなくても任で加入できる場合があります。

1 法人、一定の個人事業者

法人で常時従業員を使用する事業所はすべて強制適用事業所です。従業員のいない一人会社の社長さんいらっしゃいますが、一人会社でも加入しなければいけません。

中小企業が加入することの多い協会けんぽの統計では、強制適用事業所数の推移は平成24年~26年までは約14,000~15,000事業所でしたが(前年比約3%増加)、平成27年度は約16,000事業所(前年比約6.8%増加)、平成28年度は約16,700事業所(前年比約4.6%増加)と増えてきています。

加入者数の増加率は毎年約1%ですから、1~2名の事業所の加入が多くなってきているのではないでしょうか。平成27年ころから加入逃れの疑いのある事業所への指導が強化されてきたという話も聞きます。一人会社の社長さんは指導を受けないようにお気を付けください。

個人事業所の場合には、下の3のとおり、5人以上の従業員を使用している事業所が強制適用になります。

2 工場、商業などの事業

強制適用になる事業の種類には次のものがあります。

・工場(製造・加工・修理・解体など)

・土木、建築業

・鉱業

・電気業

・運送業

・貨物荷役業

・焼却、清掃、屠殺業

・商業(飲食、料理業は除く)

・金融保険業

・保管賃貸業

・媒介周旋業

・集金、案内、広告業

・教育、研究、調査業

・医療

・通信、報道事業

・社会福祉、更生保護事業

5人以上の従業員がいる個人事業所で、強制適用事業所にならない業種は次のとおりです。

・農業

・牧畜業

・水産養殖業

・漁業

・サービス業(ホテル、旅館、娯楽などのレジャー産業)

・法務(弁護士、会計士、税理士など)

・宗教(神社、寺院、教会など)

3 個人事業所で5人以上の従業員を使用する事業所

法人では一人会社の社長さんも強制加入ですが、反対に個人事業主の代表さんとそのご家族は加入できません。個人事業から法人成りする場合には大きな負担になることもあります。なお、5人の中には家族従事者は含まれません。

 

| 厚生年金の適用が除外される人

 

社会保険が強制適用される事業所に勤める人の中には、適用が除外される人がいます。次に当てはまる人は適用が除外されます。

・日雇い労働者(1か月を超えて引き続き使用する場合は除く)

・2か月以内の期間雇用者(2か月超の雇用の場合超えた日から被保険者)

・4か月以内の季節労働者

・6か月以内の臨時労働者

・所在地が一定しない事業に雇用される労働者

・70歳以上の労働者(厚生年金のみ)

・短時間労働者

短時間労働者については、日・週あたりの勤務時間や1か月の勤務日数が正規の労働者のおおむね3/4以上の場合には強制加入になります。

ただし、常時501人以上の企業に勤務する労働者は、次の条件のすべてに該当すると勤務時間や勤務日数が3/4未満でも社会保険に加入しなければいけません。

・週の所定労働時間が20時間以上

・見込まれる雇用期間が1年以上

・賃金が付き8.8万円以上

・学生でないこと

500人以下でも次の事業所に勤める短時間労働者も強制加入になります。

・労使合意に基づいて申出をしている法人や個人事業所

・地方公共団体に属する事業所

短時間労働者に対する強制加入がどんどん拡大されています。強制的に適用されるかどうかがかなりややこしいですが、アルバイトさんやパートさんでも社会保険に加入しなければいけない場合がありますのでご注意ください。

 

| まとめ

 

1 法人なら一人会社でも強制加入!

2 強制適用事業所数は増加傾向!

3 短時間労働者の強制加入が拡大中!



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