前回の“ストレスチェックを受けますか?”では、一般健康診断の定期健康診断までまとめました。今回は一般健康診断の特定業務従事者の健康診断からまとめたいと思います。
| 一般健康診断
1 雇入れ時の健康診断
(“ストレスチェックを受けますか?”を参照)
2 定期健康診断
(“ストレスチェックを受けますか?”を参照)
3 特定業務従事者の健康診断
常時使用する労働者で特定業務に従事する方に対して、配置換えの時に6か月以内に1回、定期に所定項目を検査します。胸部エックス線検査と喀痰(かくたん)検査は1年以内ごとに1回でOKです。
この健康診断でも省略することができる項目があります。
・6か月以内に雇入れ時の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、有害業務従事中の特殊健康診断を受けた場合
・医師が不要と認める場合に、一部の者につき、身長、腹囲、喀痰(かくたん)検査、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査
・前回の健康診断で、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査を受診し、医師が不要と認めた場合
定期健康診断でも同じような省略項目がありましたが、違いは各種健康診断の1年以内と6か月以内、特定業務健康診断では胸部エックス線検査が省略できないこと、前回の健康診断からの医師の判断の3つです。
特定業務は、たとえば坑内労働、深夜業を含む業務、水銀・ヒ素・黄燐などの有害物質を扱う業務、病原体による汚染の恐れが著しく業務などです。
4 海外派遣労働者の健康診断
海外に6か月以上派遣しようとする労働者や海外に6か月以上派遣して帰国後に国内の業務につかせる場合には、海外派遣労働者の健康診断を受けます。海外派遣の前と後の検査です。
定期健康診断の項目に加えて、医師が必要と認めた場合には次のものを検査します。
・腹部画像検査
・血液中の尿酸の量の検査
・B型肝炎ウイルス抗体検査
・ABO式、Rh式の血液型検査(渡航前のみ)
・糞便塗抹検査(帰国後のみ)
省略できる項目は次のとおりです。
・6か月以内に雇入れ時の健康診断、海外派遣労働者の健康診断、有害業務従事中の特殊健康診断を受けた場合(渡航前のみ)
・医師が不要と認めた場合に、一部の者につき、身長、喀痰(喀痰)検査
5 給食従業員の健康診断
事業に付属する食堂や炊事場で給食の業務をする方に対して、雇入れ時や配置換え時に検査します。検査項目は検便のみです。
| 特殊健康診断
1 有害業務従事中の健康診断
一定の有害業務に常時従事する労働者に対して、雇入れ時や配置替え時のほか所定期間以内に1回、定期に特別な項目を医師が検査します。一定の有害業務は次の業務です。
・高圧室内業務、潜水業務
・放射線業務
・一定の特定化学物質の製造、取扱などの業務
・石綿の粉塵が発散する場所での業務
・鉛業務
・四アルキル鉛などの業務
・有機溶剤業務
四アルキル鉛という聞きなれない化学物質が出てきましたので、インターネットで調べてみました。
強い神経毒性をもつ物質で、引火性や金属腐食性をもつようです。かなり危ない物質ですね。四アルキル鉛を取り扱う場合には作業主任者が選任されます。
2 有害業務従事後の健康診断
一定の有害業務に常時従事した労働者でまだ使用している方に対して、6年以内に1回、定期に特別な項目を石が検査します。一定の有害業務のうち主なものは次の業務です。
・ベンジジンの製造、取扱
・ジクロルベンジジンの製造、取扱
・1.2‐ジクロロプロパンの製造、取扱
・ベンゼンの製造、取扱
・石綿の粉塵が発散する場所での業務
3 歯科医師の健康診断
歯やその支持組織に有害なガスなどが発散する場所での業務に常時従事する労働者に対して歯科医師が検査します。雇入れ時や配置替え時のほか、6か月以内に1回、定期に行います。有害な物は例えば次のようなものです。
・塩酸
・硝酸
・硫酸
・亜硫酸
・フッ化水素
・黄燐
| まとめ
1 深夜業なら特定業務従事者の健康診断を!
2 有害業務の内容は健康診断によって異なります!
3 歯科医師の健康診断が必要な場合は忘れずに!