化学物質の有害性の調査

| 表示や通知が必要な物質の調査

 

前回の記事“危険物や有害物ってなに?”で、表示や通知が必要な物質についてまとめました。表示が必要な物質で政令で定める物や通知が必要な物質は、危険性や有害性などを調査しなければいけません。

調査をした後はほったらかしはダメです。法令で定められた措置を講じたり(義務)、労働者の危険や健康障害を防止するための措置を講じるように務めなければいけません(努力義務)。法令で定められた措置には、例えば安全衛生教育や特殊健康診断、作業環境の測定などがあります。

 

 

| 新規化学物質の有害性の調査

 

すでにある化学物質として政令で定める化学物質以外の化学物質には、労働者の健康障害を防止するために細かなルールがあります。

原則として、新規化学物質の製造や輸入をするときはあらかじめ有害性を調査して、厚生労働大臣に名称や調査結果などを届けなければいけません。有害性の調査は次の3つのうちどれかを行います。

・変異原性試験

・がん原性に関して変異原性試験と同等以上の知見を得られる試験

・がん原性試験

例外もあります。次の場合には有害性の調査が不要です。かなり端折っていますので、詳しくは労働安全衛生法57条の4第1項ただし書き、労働安全衛生法施行令18条の4、労働安全衛生規則34条の9、同規則34条の13をご参照ください。

・製造、取扱方法などから労働者が新規化学物質にさらされるおそれがない旨を厚生労働大臣が確認したとき

・すでに得られている知見などから有害性がない旨を厚生労働大臣が確認したとき

・試験研究のために製造、輸入しようとするとき

・主として一般消費者の生活用として輸入される場合で、労働者が新規化学物質にさらされるおそれがないとき

・一事業場で年間100㎏以下の製造、輸入である旨を厚生労働大臣が確認したとき

厚生労働大臣の確認を受けるときは、製造や輸入する日の30日前までに申請書を厚生労働大臣に提出します。

有害性の調査をした後は、労働者の健康障害を防止するための措置を“速やかに”講じなければいけません。この措置は、表示や通知が必要な物質の調査の場合とは異なり、努力義務ではなく“義務”ですのでご注意ください。

 

| 厚生労働大臣の対応

 

1 名称の公表

厚生労働大臣が届出を受け取ったり確認をした場合には、原則として受理後1年以内に新規化学物質の名称を公表します。届出を行った業者は、名称が公表される前でも製造や輸入をすることができます。ビジネス上の先手を取れますね。

新規化学物質の名称は、3か月以内ごとに1回、定期的に官報に掲載することで公表されます。

2 勧告

届出があった後、厚生労働大臣は、労働者の健康障害を防止するために必要があるときには、施設や設備の設置・整備、保護具の備え付けなどを事業者に勧告することができます。大臣自身は判断できませんので、届出者の行った有害性の調査について学識経験者の意見を聞いたうえで判断します。

 

| まとめ

 

1 表示や通知が必要な物質は危険性や有害性の検査が必要!

2 新しい化学物質も有害性の検査が必要!

3 大臣に届出をすれば公表前に製造・輸入可能!



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