健康保険は治療費だけじゃない!

| 保険給付のいろいろ(被保険者の場合)

 

健康保険で支払われる保険給付は治療費の7割だけではありません。実は色々な費用が支払われます。

1 療養の給付

業務災害以外の疾病や負傷の診察費や手術費などです。年齢によって金額が異なります。

2 入院時食事療養費

入院等で食事療養に必要な費用です。

3 入院時生活療養費

入院等で食事療養・療養環境に必要な費用です。

4 保険外併用療養費

評価療養・選定療養を受けた費用です。評価療養はいわゆる高度先進医療で、選定療養は特別の病室などです。

5 療養費

療養の給付と同じ内容です。療養の給付が困難な場合などがこちらになります。

6 訪問看護療養費

指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときに支払われます。

7 高額療養費・高額介護合算療養費

所得に応じて一定金額以上の療養費がかかった場合です。

8 移送費

療養のために病院などに移送された場合です。

9 傷病手当金

3日間以上療養中で仕事ができなかった場合に標準報酬日額の2/3の金額が支払われます。

10 埋葬料

基本的に5万円以下です。

11 出産育児一時金

40万円程度が支払われます。

12 出産手当金

標準報酬月額の2/3が支払われます。

 

かなり多いですね。出産手当金や高額療養費はよくご存じだと思います。そのほかに入院時の食事代一部や移送費も支払われるのですね。忘れずに申請したいです。

 

| 保険給付のいろいろ(被扶養者の場合)

1 家族療養費

被保険者の療養の給付や療養費と同じです。6歳までは2割負担です。

2 家族訪問看護療養費

3 高額療養費・高額介護合算療養費

4 家族移送費

5 家族埋葬料

6 家族出産育児一時金

 

被保険者に比べて種類がかなり減りましたね。。保険外併用療養費がありません。労災の代替のような傷病手当金や出産手当金も被扶養者にありません。これらは任意継続被保険者にもありませんのでご注意ください。

入院時の食事や療養環境の費用もありませんが、家族療養費に合算されます。

 

| まとめ

 

1 被保険者と被扶養者では給付内容が違います!

2 療養費の負担額は年齢によって異なります!

3 労災の代替のような出産手当金や傷病手当金は被扶養者にはありません!



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社会保険料の決まり方は? ~その2~

前回の“社会保険料の決まり方は?”でお伝えしました通り、社会保険料の決まり方の第2回を書きたいと思います。よろしくお願いします。

 

| 社会保険に入るとき

 

1 月給・週給等の場合
次のような式で標準報酬月額を決めます。

(標準報酬月額)=(社会保険に入る日の報酬額)÷(総日数)×30

2 日給・時間給・出来高給等の場合

(標準報酬月額)= 社会保険に入る月の1か月前にその事務所で同様の業務・報酬を受ける者の平均報酬額

3 計算が困難な場合

(標準報酬月額)= 社会保険に入る月の1か月前にその地方で同様の業務・報酬を受ける者の平均報酬額

有効期間は、1月1日~5月31日の場合はその年の8月まで、6月1日~12月31日の場合は翌年の8月までです。

 

| 育児休業等終了時に改定するとき

 

育児休業等を終えて3歳未満の子を養育する人が対象です。ただし、育児休業等の終了日の翌日に産前産後休業を開始している人は除きます。被保険者が事業主を経由して協会けんぽなどに申請します。

標準報酬月額を決めるために使うのは、育児休業等の終了日の翌日の月を含んで3か月間の平均賃金です。ですから、保険料が変わるのは、育児休業等の終了日の翌日から数えて2か月後の日を含む月の翌月です。一般的には3か月後ですね。

有効期間は、改定が1~6月ならその年の8月まで、7~12月なら翌年の8月までです。

 

| 産前産後休業終了時に改定するとき

 

産前産後休業を終えてその期間に産んだ子を養育する人が対象です。育児休業等の終了時と同じく、産前産後休業の終了日の翌日に育児休業等を開始している人は除きます。被保険者が事業主を経由して協会けんぽなどに申請するところも、育児休業等の終了時と同じです。

標準報酬月額はを決めるために使うのも育児休業等の終了時に改定する場合と同じです。有効期限も同じです。

 

産前産後休業は、出産日・出産予定日の前42日間と出産後56日間、妊娠・出産を理由として仕事を休むことです。双子以上の出産の場合には出産日・出産予定日の前の休業日数は98日間になります。母親に身体的な影響が大きいからなのでしょうか。

| まとめ

 

1 月給・週給と日給・時間給では標準報酬月額の計算方法が違います!

2 育児休業が終わった後でも3か月間は保険料が高いかも!?

3 社会保険料の改定は会社を通じて申請します!



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社会保険料の決まり方は?

| 健康保険料と年金保険料

 

前回まで2回にわたって労働保険の賃金の決まり方をまとめてきました。今回は健康保険料と年金保険料の決まり方をまとめてみます。

労働保険と違ってかなりいろいろとありますので、数回に分けてまとめてみたいと思います。

| 毎年7月に決まる定時決定

 

健康保険料や年金保険料を計算する元となる賃金を“標準報酬月額”と言います。毎年7月10日までに“算定基礎届”という書類を協会けんぽや年金事務所に提出します。会社の事務をされている方はよくご存じかと思います。

対象になるのは7月1日に雇用されている被保険者です。ただし、6月中に被保険者になった人や7~9月に改定されたりされる予定の人は除外されます。

4~6月の3か月間の平均額を標準報酬月額とします。改定される月は9月からで、有効期間は9月から8月までです。
この定時決定は事務の方の年中行事です。

| 大きな変動があった時の随時改定

基本給などの固定給が2等級以上変わったときには、“月額変更届”を協会けんぽや年金事務所に提出します。計算に使うのは変動月以降の継続した3か月間の賃金です。この3か月間の平均額が新しい標準報酬月額になります。

変動した月から4か月目から保険料が変わり、1~6月の改定ではその年の8月まで、7~12月の改定では翌年の8月までその保険料が続きます。

 

他には育児休業等終了時改定、産前産後休業終了時改定がありますが、まとめるのは次回にします。

| まとめ

 

1 毎年7月は社会保険の手続きです!

2 改定されるのは9月から!

3 固定給が大きく変わると4か月後から変更!



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賃金のいろいろ ~その2~

| 労働者災害補償保険法の賃金

 

前回“賃金のいろいろ”でも少し書きましたが、労災の賃金(給付基礎日額)は労働基準法の平均賃金とほぼ同じです。“平均賃金”を“給付基礎日額”に読み替えればOKです。

転載します。

平均賃金=(前3か月の賃金総額‐A期間中の賃金‐B賃金)÷(前3か月の総暦日数‐A期間の日数)

A期間は次のものがあります。

① 業務上傷病による療養期間

② 産前産後の休業期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

④ 育児・介護休業期間

⑤ 試用期間

⑥ 正当な争議行為による休業期間

⑦ 組合専従中の期間

 

B賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われた賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

③ 現物などで支払われた賃金で一定範囲に属しないもの

 

労災では少し例外があります。

 

① 政府算定額になる場合

・じん肺患者、振動障害患者の特例

・私傷病休業者、看護休業者の特例

・船員の特例

② 最低保障額 3,920円

③ 1円未満の端数は切り上げ

 

さらに、特別加入者の場合、本人の希望で金額が決まります。日額3,500~25,000円です。家内労働者なとは2,000円~です。もちろん保障が大きければ保険料も高くなります。

 

| 雇用保険法の賃金

 

基本は次の式で算定されます。

賃金日額=(最後の6か月間の賃金総額‐A賃金)÷180

A賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われる賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

もし賃金がはっきりと分からない場合や計算で出した数字がおかしい場合には厚生労働大臣が決めてしまいます。

労災の給付基礎日額と同じように最低保証額があります。2,300円です。最高限度もあって次の金額になります。

① 65歳~  12,780円

② 60~64歳 14,910円

③ 45~59歳 15,610円

④ 30~44歳 14,200円(育児・介護休業者)

⑤ ~29歳  12,780円

基本手当日額は賃金日額の50~80%です。ただし、離職日に60~64歳だった場合は45%に減ります。

たとえば、30歳で月30万円(ボーナスなし)をもらっていた人が雇用保険をもらう場合、賃金日額は30万円×6÷180日=1万円/日です。この賃金日額を使って基本手当日額を計算します。

30~44歳で賃金日額が4,970~12,210円の場合

基本手当日額=0.8×賃金日額‐0.3{(賃金日額‐4,970)÷(12,210‐4,970}×賃金日額

ややこしいですね~。数字を入れてみますと、

基本手当日額=0.8×1万‐0.3{(1万‐4,970)÷7,240}×1万≒5,915円

この人は一日に5,915円の雇用保険が貰えることになります。

もし、この人が内職で毎日5000円稼いでいたとすると少し事情が変わってきます。内職をしている場合には、内職収入1日分‐1,286円の金額と基本手当日額との合計が賃金日額の80%超の場合、超過額が基本手当日額から減額されます。

5,000‐1,286+5,915=9,629円

この数字は賃金日額の96%ですから、9,629‐8,000=1,629円が減額されます。つまり、5,915‐1,629=4,286円になります。

| まとめ

 

1 労災でもらえる給付金は労基法とほぼ同じ!

2 雇用保険では賃金日額から基本手当日額を計算!

3 内職などをしていると一定の場合に雇用保険から減額!



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賃金のいろいろ

本日は社会保険労務士試験日でした。受験された皆様、お疲れさまでした。私は試験日を忘れており受験できませんでした。あまりにもひどい結末です。手元には受験票だけがあります。受験された皆様の合格を祈っております。

 

| 法律によって計算方法が違う!?

 

労働保険や社会保険の中には保険料や給付金のために賃金を計算しなければいけないものはたくさんあります。労働基準法、労働者災害補償保険法、雇用保険法などなど。健康保険料や厚生年金保険料でも4~6月の賃金を計算しなければいけません。しかもそれぞれ賃金の呼び名が異なります。ややこしくて仕方ありません。

今回は、労働基準法の平均賃金についてまとめてみます。

 

| 労働基準法の平均賃金

 

労働基準法では、最低賃金の確認のためにも使いますが、主に休業手当の算出に用います。休業手当は、使用者側の原因で休業する場合には平均賃金の60%以上を支払わなければいけないというものです。

平均賃金=(前3か月の賃金総額‐A期間中の賃金‐B賃金)÷(前3か月の総暦日数‐A期間の日数)

A期間は次のものがあります。

① 業務上傷病による療養期間

② 産前産後の休業期間

③ 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間

④ 育児・介護休業期間

⑤ 試用期間

⑥ 正当な争議行為による休業期間

⑦ 組合専従中の期間

 

B賃金には次のものがあります。

① 臨時に支払われた賃金

② 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

③ 現物などで支払われた賃金で一定範囲に属しないもの

 

B賃金は分かりにくいですね。①は祝い金など、②はボーナスなど、③は通勤定期などです。

計算式のポイントは日数が暦日数だということです。たとえば、4~6月の3か月間で計算する場合には、(4月)30日+(5月)31日+(6月)30日=91日で計算します。例えば月給30万円でAもBもない人の4~6月の平均賃金を計算する場合には、次のようになります。

平均賃金=30万円×3か月÷91日=9890円/日

意外に少ないですね。労災でも少しの例外がありますが同じように計算しますので、思ったよりも労災の休業補償額は少なく感じるかもしれません。

 

| まとめ

 

1 本日は社会保険労務士試験日!

2 法律によって賃金の計算方法が異なります!

3 平均賃金は意外に少ない!?



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