行政書士が汚職事件!

| 大阪府警で贈収賄事件発生!

 

大阪府警の曽根崎署(梅田にあります)の巡査長らは、平成29年9月から平成30年1月の間に4回、風俗店の捜査情報を教えるよう行政書士と府警OBから依頼されて捜査の進捗情報を漏らし、その見返りに北新地のスナックなどで接待を受けたという容疑がかけられています。

接待を受けた額は計約41万円。巡査長らは加重収賄と地方公務員法違反の疑いで逮捕されました。行政書士と府警OBは贈賄容疑と地方公務員法違反の教唆です。バレたきっかけは、風俗営業法違反事件で逮捕された容疑者が“逮捕されるとの情報を元警察官から聞いた”と供述したことでした。

 

越後屋から賄賂(小判)を受け取る、悪そうな顔のお代官様のイラスト

 

行政書士の業務には警察署へ提出する書類作成、申請代行もありますから、警察署に顔が利いたのでしょう。行政書士が府警OBに情報提供を依頼し、警察官から府警OBや行政書士へ情報が漏れたのではないでしょうか。また、風俗業許可を取得したお客さんから頼まれて断りにくかったのもあるのかもしれません。

府警の監察室長は“警察への信頼を損なう”と言っていますが、行政書士の信頼も大きく損なう事件です。

 

 

| 加重収賄ってなに?

 

公務員がお金やモノを貰って不正な行為をすると収賄罪にあたります。実は、収賄罪にはいろいろな種類があります。主なところでは、(単純)収賄罪(刑法197条1項前段)、受託収賄罪(同法197条1項後段)、加重収賄罪(同法197条の3第1項・2項)、贈賄罪(同法198条)があります。

収賄罪は論点が多く難しくややこしいところです。以下、簡単に書きますが、なにぶんアシュラが書くことですので正確ではなく間違いがあると思います。どうかご容赦ください。

1 単純収賄罪(刑法197条1項前段)

単純収賄罪は、公務員がその職務に関してお金やモノを受け取ったり、要求したり、約束したりすることです。

たとえば、市役所の職員が行政手続きをするときに親切にしてくれたお礼として市民からお中元を貰うような場合です。ポイントは仕事で親切にして儀礼的なお礼を受け取っただけだということです。不正な行為をしなくても収賄罪になってしまいます。

2 受託収賄罪(刑法197条1項後段)

受託収賄罪は、公務員がその職務に関してお願い事をされてお金やモノを受け取ったり、要求したり、約束したりした場合です。

先ほどの市役所の例ですと、市役所の職員が行政手続きをするときに“時間がないから早くして!”と市民から頼まれて“分かりました!”と言って行政手続をし、そのお礼としてお中元を貰う場合です。ポイントは実際にお願い事を叶える必要はないということです。“分かりました!”と言いながら通常の手順で手続きをしても受託収賄罪になってしまいます。

3 加重収賄罪(刑法197条の3第1項・2項)

加重収賄罪(1項)は、公務員がその職務に関して不正な行為をしたり相当な行為をしなかったりして、お金やものを受け取ったり、要求したり、約束したりした場合です。

たとえば、また市役所の職員の例ですが、市役所の固定資産税課の職員が市民である親戚に赤の他人の土地の固定資産税の金額を教え、そのお礼としてお中元を貰うような場合です。ポイントは不正な行為をしてお礼を受け取ったということです。

2項は長くなるので省略します。

4 贈賄罪(刑法198条)

贈賄罪は、収賄関連の罪にあたる賄賂を渡したり、申し込んだり、約束した場合です。

上の1~3の例えでは、お中元を贈った人は贈賄罪になりえます。ポイントは申し込んだだけ、約束しただけで実際にお金やモノを渡さなくても贈賄罪が成立することです。公務員にお中元を贈るのは注意が必要ですね。

 

これらを見てみますと、大阪府の事件では巡査長らは依頼を受けて不正な情報漏洩をし、そのお礼として接待を受けたのですから、加重収賄罪の疑いになるのですね。行政書士や府警OBは贈賄罪の疑いです。

このような細かいところまできちんと理解して捜査をしなければいけない警察官には頭が下がります。

 

 

| まとめ

 

1 贈収賄事件に行政書士が絡んでました!

2 警察だけでなく行政書士の信頼も失墜!

3 収賄罪はややこしい!



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