遺言を書くほど財産がない!

| 遺言書を書きませんか?

遺言の話をするとよく聞くのは“遺言を書くほど財産ないよ~”という言葉です。財産がたくさんあったり、相続人が多い方には遺言が必須でしょう。どこかに寄付をしたり、法定相続人以外に財産を分けたいときにも遺言が必要です。

そして、何よりも“家族を大切に思う方”に遺言を書いてほしいのです。仲の良いご家族でも“相続”が“争族”になることが多々あります。財産をたくさんもらいたいというだけではなく、他の物はいらないから父のあの土地が欲しい!とか母のあの宝石が欲しい!といったように、どの財産を誰がもらうかで争いが起こりがちです。

遺言は誰にどの財産を残すのかをはっきりとしてくれます。財産が多くなくても遺言を書くことをお勧めします。

| 遺言の種類は多い

遺言と聞くと自分で書いてしっかり封をして机の引き出しや金庫にしまうものだと思われる方が多いと思います。ところが、遺言はこのような“自筆証書遺言”だけではありません。大きく分けて2種類、細かく分けると7種類あります。

1 普通の方式

普通の方式の遺言は3種類。自分で書く“自筆証書遺言”、公証人の前で口述して書類にしてもらう“公正証書遺言”、封をした遺言書を公証人に渡しす“秘密証書遺言”です。

2 特別の方式

特別の方式の遺言は大きく分けて2種類。“危急時遺言”と“隔絶地遺言”です。

危急時遺言には、”死亡危急時遺言”と“船舶遭難者遺言”の2種類あります。死亡危急時遺言は、病気などで余命幾何もない状態のときに3人以上の証人の前で口述するものです。船舶避難者遺言は、船が遭難して生命が危ないときに2人以上の証人の前で口述するものです。

隔地者遺言は“伝染病隔地者遺言”と“在船者遺言”の2種類です。伝染病隔地者遺言は、伝染病によって隔離された人が警察官1人と証人1人以上の前で遺言をします。隔離される伝染病はうつると危険ですから、一般の承認は1人でいいんですね。もう一つの在船者遺言は、船に乗っているときに、船長か事務員1人と証人2人以上の前で遺言をします。

普通方式3種類、特別方式の危急時が2種類、同じく特別方式の隔地者が2種類で、計7種類になります。

| いつ遺言を書いたらいいの?

危急時遺言や伝染病隔離者遺言は、命が危険にさらされた緊急時にする遺言ですから、必要であれば迷っている暇はありません。すぐに遺言してください。その点、普通方式や在船者遺言は時間に余裕がありますから、じっくりとよく考えてから遺言をすることできます。

普通方式の中でおすすめは公正証書遺言です。法律のプロである公証人が無効にならないように遺言を作ってくれます。自筆証書遺言では形式の不備で無効になってしまうことが多々あります。たとえば、日付を“20184月吉日”にしてしまっていたり、自筆ではなくパソコンで作ってプリンターで印刷してしまったり、印を押していなかったりして無効になるケースがあります。

また、公正証書遺言は公証人が預かってくれますから、誰かに破棄されたり、認知症になった後で元気な時に書いた遺言とは全く違う内容の遺言を書いてしまったりすることを防ぐことができます。遺言はいつでも撤回できますし、死後にいくつかの遺言が見つかった場合は、日付の最も新しいものだけが有効な遺言として扱われます。ですから、自分で本心とは違う遺言書を書いた場合でも最も新しい日付の遺言書が有効になってしまいます。

このように公正証書遺言は、形式的な間違いをしないだけでなく、無くなったり書き換えてしまったりするおそれを未然に防ぐことができるのです。費用はかかりますがおすすめです!

| まとめ

1 家族を大切に思われるなら遺言を!

2 遺言は形式的な間違いをしないように!

3 公正証書遺言なら安心です!



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任意後見だけで大丈夫?

| 任意後見契約と関連する契約

 

任意後見契約は、認知症などで判断能力が衰えたときに信頼できる人に後見人になってもらい、財産管理などをしてもらう契約です。判断能力が衰えていることを裁判所が認めてから始まりますので、判断能力が衰え始めた頃はまだ後見がない状態です。少し心配ですよね?

そこで、任意後見契約と同時にいくつかの契約を結んでおくと安心できます。主なものは3つあります。

1 見守り契約

判断能力が衰え始めてから任意後見が始まるまでの間に、任意後見人になる人が定期的に本人を訪問したり電話をしたりして連絡を取ることで、本人の状況を把握して生活を見守る契約です。

日常の悩みやトラブルを相談できますので少しずつ信頼関係が深まります。本人も安心して任意後見を任せられるようになると思います。

2 任意代理契約

財産管理委任契約とも言われています。任意後見が始まるまでの間にも、任意後見人になる人が代理人として本人の望んだ行為を本人に代わってする契約です。不安な契約ごとを信頼できる人に代理してもらえますので安心できます。代理人に何をしてもらうかは契約の中で自由に決めることができます。

3 死後事務委任契約

本人が亡くなったときに葬儀の手配や埋葬などをどのように行うのかあらかじめ決めておいて、信頼できる人にしてもらう契約です。契約は本来当事者が亡くなってしまうと効力がなくなりますので、任意後見契約は本人が亡くなったときに終了してしまいます。亡くなった後のことは任意後見人は何もできないのです。

ですから、元気なうちに信頼できる人に死後の手続きを代理してもらう契約を結んでおくと安心できます。死後事務委任契約には、本人が亡くなっても効力を失わないような条項をいれる必要があります。また、何を委任するのかを自由に決められます。

 

| まとめ

 

1 判断能力低下までは見守り契約と任意代理契約!

2 判断能力が低下したら任意後見契約!

3 亡くなった後は死後事務委任契約と遺言執行!



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認知症で家族に迷惑をかけたくない!

| 認知症と物忘れ

 

誰しも年齢とともに記憶するのが苦手になったり覚えたはずのことを思い出せなくなったりします。“老化に伴う物忘れ”です。これは認知症ではありません。体験したことの一部を忘れるのが老化、体験したことを全部忘れるのが認知症です。

認知症は病気による症状の総称で、アルツハイマー型、レビー小体型などがあります。ある統計によると50%がアルツハイマー型の認知症だそうです。老化に伴う物忘れと症状が似ていて、記憶できない、思い出せないなどが特徴です。

認知症になると日常生活が困難になります。体験した出来事を全部忘れてしまいますから、食べたことを忘れたり、電話をしたことを忘れたり、買い物をしたことを忘れたりします。また、判断能力が低下しますので、話している言葉が理解できなかったり、買い物がうまくできなかったりします。高価な買い物をしてしまったり不要なものを買ってしまったりして金銭管理ができなくなります。

 

 

| 認知症の人を守る制度

 

認知症の人を守るための方法には後見制度があります。大きく分けて“法定後見制度”と“任意後見制度”の2つがあります。これらの違いは次のようになります。

法定後見制度は本人や親族などが裁判所に申し立てることで始まります。裁判所は本当に判断能力が低下して財産管理などに不都合が生じているかを確認します。つまり、認知症の症状が出ていないと法定後見制度を使うことができません。また、後見人には法律で決まった権限が与えられて法律に規定されたことを代理したり同意を与えたりします。

これに対して、任意後見制度は、本人に判断能力があるうちに信頼できる人と契約をして、財産管理などに不都合が生じることに備える制度です。ただし、契約をしたからといってすぐに任意後見が始まるわけではありません。任意後見も法定後見と同じく、裁判所に申し立てて判断されます。後見人の権限は契約によって自由に決められることが特徴です。

 

 

| 3種類の任意後見契約

 

任意後見契約には3つの種類があります。

1 即効型

任意後見契約と同時に裁判所に申し立てて任意後見が始まるタイプです。本人が認知症の不都合を自覚している場合に使うことができます。原則として本人の同意が必要です。

2 将来型

任意後見契約をした後、本人の判断能力が低下したときに裁判所に申し立てて任意後見が始まるタイプです。親族以外の方が任意後見人になっている場合には、本人の判断能力の低下に気づかず、裁判所への申立てが遅れてしまうおそれがあるのが問題点です。

3 移行型

任意後見契約と同時に任意代理契約を結んで、本人の判断能力が低下するまでは代理人が財産管理をするタイプです。任意後見が始まるまでの間にも財産管理などを代理しますから切れ目のない支援を行うことができます。生前だけでなく死後の事務処理までを任せるために、一般的に任意代理契約、任意後見契約、死後事務委任契約の3つを同時に結びます。

 

 

| まとめ

 

1 認知症と老化による物忘れは違います!

2 認知症の人を守る制度があります!

3 任意後見契約は3種類!



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相続財産はいらない! 手続編

| 相続放棄のメリット・デメリット

 

前回の“相続財産は要らない!”では、相続放棄のメリットとデメリットを書きました。

【メリット】

1 負債も相続しない

2 自分一人でできる

3 遺産分割手続きに参加しなくてもいい

【デメリット】

1 取り消せない

2 3カ月以内に放棄

3 思い出の財産を守れません

相続放棄をするかどうかはメリットとデメリットをよく考えてから行う必要があります。一度放棄をしてしまうと取り消せませんからご注意ください。

 

 

| 相続放棄の方法

 

1 相続財産の調査

相続放棄をする前に相続財産をしっかりと調査しなければいけません。亡くなられた方の家の中をよく探してください。

預金通帳や金融機関からのお知らせがありましたら、銀行で“残高証明書”を出してもらいましょう。証券会社からの通知がありましたら、連絡をして取引の内容を確認してください。

不動産を調べるには、市役所へ行って固定資産課税台帳を見せてもらってください。市町村ごとに亡くなられた方が所有している土地や建物が分かります。

また、サラ金やカード会社などから支払いのお知らせが届いていないかチェックしてください。家の中に借用書や金銭消費貸借契約書が出てくることもあります。

見つかった書類や取寄せた書類はしっかりと保管しておきましょう。

2 相続放棄申述書の作成・提出

財産を調査して相続放棄をすることに決めましたら、家庭裁判所に“相続放棄申述書”を提出します。このときに必要書類も一緒に提出して費用も支払います。

相続放棄申述書は決まった書式がありますので、家庭裁判所の窓口でもらうか、家庭裁判所のホームページからダウンロードしてください。手に入ったら順に書き込んでいきます。

家庭裁判所のホームページにある記載例を見てください。

相続放棄申述書の書き方1

相続放棄申述書の書き方2

1枚目はスムーズに書けると思います。悩むのは2枚目でしょう。2枚目には“申述の理由”を書く欄があります。“相続を知った日”、“放棄の理由”、“相続財産の概略”の中でも、“相続財産の概略”に悩むのではないでしょうか。あまり悩まずに、相続財産の調査で分かった範囲で書き込めば大丈夫です。

1~2週間で家庭裁判所から確認の連絡がありますので、わかる範囲で答えてください。足りない書類があれば教えてもらえます。

3 相続放棄の必要書類

相続放棄の申述書と一緒に必要書類を提出します。一般的に、亡くなった方の戸籍の附票か住民票の除票、相続放棄をする人の戸籍謄本、亡くなった方の死亡が分かる戸籍謄本が必要です。

場合によっては、亡くなられた方の生まれたときから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要になったり、亡くなられた方の子どもや孫が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要になったりします。

4 相続放棄の費用

相続放棄の申述書と一緒に支払う費用はそれほど高額ではありません。収入印紙が800円分と連絡用の切手が1000円分くらいです。

意外にお金がかかるのは謄本を取得するときです。戸籍謄本は1通450円、除籍謄本は1通750円ですので、郵送で取り寄せると定額小為替の発行手数料もかかって5000円以上になってしまうことがあります。この謄本集めに手間がかかりますし抜け落ちがないようにしなければいけませんので、専門家に依頼することをお勧めします。

 

 

| まとめ

 

1 相続放棄はまず財産の調査から!

2 相続放棄の申述書は分かる範囲で!

3 戸籍謄本集めに手間と費用がかかります!



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相続財産はいらない!

| 相続財産の確定方法は3種類

 

亡くなられた方が親御さんであったり、配偶者であったりすると原則として相続人になります。しかし、中には“財産を相続したくない”という方もいらっしゃいます。

たとえば、“負債が多すぎて相続するとマイナスになる”という場合もいれば、“あの人の財産はいらない”という人もいます。

そこで、相続人の意思によって相続を確定させるかどうかを決められるようになっています。

確定させる方法は3種類あります。(1)すべてを相続する方法、(2)負債を相続しない方法、(3)すべてを相続しない方法の3つです。この3つの概略は“相続の方法と相続財産の決まり方”で書きましたので、ご参照ください。

今回は、すべてを相続しない方法について、もう少し掘り下げて書きたいと思います。

 

 

| すべてを相続しない方法

 

全てを相続しない方法は“相続放棄”といいます。相続放棄にはメリットとデメリットがあります。

【メリット】

1 負債も相続しない

相続財産の中から負債を支払えないような場合に全てを相続しないことで、負債も相続せずにすみます。もし、相続してしまうと自分の財産から被相続人の負債を支払わなければなりません。相続放棄をすると初めから相続人ではなかったことになりますので、負債も相続しませんし、その支払いもする必要がありません。

2 自分一人でできる

負債を相続しない方法としては“限定承認”という方法があります。相続財産を確定させる方法の“(2)負債を相続しない方法”がそうです。ところが、限定承認は相続人全員で行わなければいけません。誰か一人でも反対すれば限定承認ができないのです。その点、相続放棄は自分一人でできますので、他の相続人と話し合う必要がありません。

3 遺産分割手続きに参加しなくていい

遺産を相続人で分け合うには遺産分割手続きをしなければいけません。相続放棄をすると初めから相続人ではありませんから、相続人で話し合う遺産分割協議に参加できませんし、する必要もありません。遺産分割協議は意見がまとまらずにトラブルになることがありますので、面倒な手続きに参加しなくてよくなります。

【デメリット】

1 取り消せない

一度相続放棄をしてしまうと、原則として後から取り消すことができません。取消ができるのは、たとえば詐欺や強迫で無理矢理放棄させられたとき、未成年者や成年被後見人が自分一人で放棄をした場合です。後から多くの財産が見つかったというだけでは相続を取り消せないのです。ご注意ください。

2 3カ月以内に放棄

相続放棄は被相続人がなくなったことを知ったり、自分が相続人になったことを知ったりしたときから3か月以内にしなければいけません。

3 思い出の財産を守れません

父母の大切にしていた骨とう品や自分が生まれ育った思い出の家なども、相続放棄をするとすべて受け取れなくなります。自分一人が相続人だったり他の相続人も相続放棄をしたりして相続人がいなくなれば、相続財産は清算されて最終的に国に取られてしまいます。

 

 

| まとめ

 

1 相続放棄にはメリットとデメリットがあります!

2 メリットは大きく3つ!

3 デメリットも大きく3つ!



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