| 遺言に書けること
遺言には相続の分配方法を書くことが多いですが、もちろんそれ以外のことを書いてもかまいません。たとえば“家族仲良く暮らすように”とか“遺言書のとおりに相続して争わわないように”などと書かれることがあります。
相続は亡くなられることによって始まります。亡くなられた方の最終的な意思に基づいて相続されます。ですから、金銭的なことや法律的なことだけでなく、今後の家族を心配する最期の言葉が書かれるのですね。
| 遺言ができる年齢
遺言は未成年でもできます。満15歳以上の方であれば有効な遺言になります。法定代理人、つまり父母などの同意は必要ありません。
前回の“遺言を書くほど財産がない!”で書きました遺言の種類のうち、“普通の方式”で遺言をする場面は少ないでしょう。しかし、15歳以上の未成年者であっても“特別の方式”で遺言する可能性はあります。病気や事故などで命の危険にさらされるのに年齢は関係ありませんから、高校生になったら遺言の書き方を知っておくといいかもしれません。
| 相続させる方法
相続人に相続させる方法としては2つあります。“包括遺贈”と“特定遺贈”です。
1 包括遺贈
包括遺贈は、相続財産の全部を一人に与える場合と一部を一定の割合で相続人に分ける場合があります。
たとえば、妻に相続財産の1/2、長男に相続財産の1/8、長女に相続財産の1/8、次男に相続財産の1/8、残りを〇〇基金に寄付するといった具合です。
相続人と相続する割合を指定する方法ですね。遺産の一部を受け取った〇〇基金は相続人と同じ権利義務を持ちます。後に誰が何を相続するかを改めて決める必要があります。
2 特定遺贈
特定遺贈は、具体的な財産を指定して相続させる方法です。
たとえば、妻に〇〇市△△町□番□号の土地と建物、長男に〇〇銀行△△支店口座番号×××××××の預金、長女に〇〇名義の株を全て、次男に〇〇名義の車と△△銀行××支店口座番号・・・・・の預金、残りの財産を妻に相続させるという具合です。
遺言といえばこちらを思い浮かべられる方が多いでしょう。法定相続人だけを指定している場合には、相続財産の分け方を指定したと考えられます。もちろん、第三者に相続させることもできます。
| 相続させる相手
遺言で相続させる相手は法定相続人(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)だけではありません。〇〇基金のような第三者でもいいですし、“廃除”した法定相続人に相続させることもできます。
“廃除”は、配偶者や親や子が、被相続人の生きている間に虐待したりきつく侮辱したり著しい非行があったときに家庭裁判所に対して請求する制度で、廃除が認められると相続する権利がなくなります。この廃除も遺言によって覆すことができるのです。
| まとめ
1 遺言には最後の言葉を!
2 遺言は15歳から!
3 遺産の分け方は2通り!
4 遺言で第三者も排除した相続人も相続可能!