| 帰化の条件
帰化の条件は以前に“帰化ってなに?”の記事に書きました。改めてもう一度書き出します。
1 引き続き5年以上日本に住んでいること
2 20歳以上で本国の法律で行為能力があること
3 素行が善良であること
4 自分や家族に十分な資産があるか、生活できる程度の稼ぎがあること
5 二重国籍にならないこと
6 政府の転覆を目論んだりしていないこと
これらのポイントを順に説明していきたいと思います。どうぞお付き合いください。
| 引き続き5年以上日本に住んでいること
ここでのポイントは何でしょうか?“5年”?もちろん5年という数字は大切です。落とし穴は別にあります。“引き続き”です。
途中で中断されるとまた1からになります。たとえば、3年間ずっと日本に住んでいたけれども、その後本国で1年間過ごして日本に戻ってきてから2年間住んでいる場合、3年と2年で合計5年。確かに5年間日本に住んでいますが、途中の1年間は本国に住んでいますので“引き続き5年間”にはなりません。ここが落とし穴です。
もちろん、数日間の旅行は大丈夫です。生活の場が日本から離れるのがダメなのです。そうはいっても裁量の大きい帰化。許可が出るまではできるだけ出国を控えた方が無難です。
特別永住者や永住者の方の数日間の旅行は全く問題ありませんが、帰化申請後は法務局からの連絡がありますから出国を控えた方がよいと思います。
| 20歳以上で本国の法律で行為能力があること
“本国”というのは母国のことです。アメリカ人ならばアメリカ、ドイツ人ならドイツ、韓国人なら韓国です。
“行為能力があること”というのは、本国の法律で成年になっていることです。アメリカは州によって異なりますが18~21歳、ドイツは18歳、韓国は19歳で成年とされています。本国で成年になっている人が20歳になると帰化申請ができるようになります。
では、20歳未満の人は帰化申請ができないのでしょうか?親と一緒に帰化申請をすると20歳未満でも可能です。家族が一緒に帰化申請をすることをお勧めします。
| 素行が善良であること
一番のポイントは違法な行為をしていないことです。交通違反には特に注意してください。過去5年間で何度も交通違反があれば不許可の可能性が高くなります。免停になってはダメですよ。
もう一つのポイントは税金や社会保険です。もし税金や年金に未納があれば不許可になります。市民税や府民税の未納にご注意ください。また、事業をされている方は社会保険に加入していなければ不許可になります。加入してから帰化申請をします。
納税しているかどうかは“納税証明書”と“課税証明書”で判断されます。ですから、直近の2年分の税金は確実に収めてください。
確定申告が必要な人は確定申告も忘れずに!
| 資産があるか、生活できる稼ぎがあること
収入があって人並みの生活ができているならば問題ありません。個人の収入ではなく世帯の収入を見られます。同居の親族に養われていてもOKです。別居で親族からの仕送りで生活している学生さんもOKです。
| 二重国籍にならないこと
日本で帰化した場合に本国の国籍を失うことができるかがポイントです。二重国籍を認めている国も多くありますので注意が必要です。帰化の許可が出たら母国へ国籍喪失届を忘れずに提出するようにしてください。
| 政府の転覆を目論んだりしていないこと
“政府”と書きましたが、正確には“憲法や政府”です。政権交代を目論んでいても大丈夫です。ただし暴力的な手段はいけません。普通に生活をしていれば問題になることはありませんので、ご安心ください。
| 日本語能力があること
帰化の手続で“帰化の動機書”を書く必要があります。これはワープロやパソコンでの作ったものはダメで、必ず自分で書かなければいけません。署名と並んで、自筆が必要な書類の一つです。簡単な日本語のテストだと思ってください。
特別永住者は日本語能力が十分あるという前提で、“帰化の動機書”の提出は不要です。日本語能力のテストはありません。
| まとめ
1 海外での長期滞在には注意!
2 20歳未満のお子さんは親御さんと一緒に帰化!
3 納税、社会保険の加入、確定申告は忘れずに!
4 帰化の許可が出たら国籍喪失届を忘れずに提出!