建設業許可の要件についてのQ&Aの続きです。
| 許可の要件について
3 財産的基礎等
Q1 財産的基礎等ってなに?
A1 500万円以上の自己資本か資金調達能力があることです。一般建設業の場合、決算が終わって確定申告期限が過ぎた法人は確定申告書、新規設立の法人は開始貸借対照表、新規設立の個人は開始貸借対照表と預金残高証明書を提出して証明します。
Q2 残高証明書はいつのものが必要なの?
A1 申請日前の4週間(28日)以内の残高証明が必要です。発行日ではなく、残高が〇月〇日にあったその日から4週間(28日)です。
4 欠格要件と誠実性
Q1 欠格要件がないことの証明はどうするの?
A1 “登記されていないことの証明書”(法務局発行)と“身分証明書”(本籍地の市区町村発行)の2つです。営業上の処分があったかどうか、個人が刑罰を受けたかどうか、暴力団員かどうかの証明は必要ありません。
Q2 “刑の執行を受けることがなくなった日”とはいつ?
A2 仮釈放後の残りの刑期を経過した日、刑の時効が成立した日、恩赦による刑の執行が免除された日のことです。刑の執行猶予期間が過ぎたときは欠格事由にあたりませんので、その日から申請ができます。
Q3 誠実性ってなに?
A3 事業に関係する一定の人が不正や不誠実な行為をするおそれが明らかな場合は、誠実性がないとされます。誠実性があることの誓約書を提出します。
Q4 どんな人が対象になるの?
A4 法人の場合は法人自身、法人の役員など、支配人や支店長などの営業所の代表者で、個人の場合は申請者自身、支配人や支店長などの営業所の代表者が対象になります。
法人の役員などは、業務執行社員、取締役、執行役、議決権の5/100以上を持っている株主、出資総額の5/100以上の出資者です。このような人たちに準じた人も対象になります。
Q5 “不正な行為”“不誠実な行為”ってなに?どこが違うの?
A5 “不正な行為”は、請負契約の締結や工事などの場面での、詐欺、脅迫、横領などの違法行為のことです。“不誠実な行為”は、工事内容、工期、天災等の不可抗力で被った損害の負担などについて、請負契約に違反する行為です。
2つの違いは、“法に反する行為”(不正な行為)か“契約に反する行為”(不誠実な行為)かです。
5 営業所の要件
Q1 “営業所”ってどこのこと?
A1 請負契約を締結したり、見積もりや入札など請負契約を締結するために準備をしたりする場所のことです。請負契約に関することをする場所です。請負契約に関係しない単なる連絡事務所は“営業所”ではありません。
Q2 “営業所”って必要?
A2 営業所は1つ以上必要です。本社や本店など主たる事務所が1つあればOKです。支店はあってもなくてもかまいません。ただ、支店を作ったときは支店長や専任技術者を配置しなければいけません。また、本店とは違う都道府県に支店を作ったときは、知事許可から大臣許可に替えなければいけません。
Q3 夫婦で共有している家を“営業所”にできる?
A3 1/2以上の持分があればOKです。ただし、1/2以上の持分の所有者が単なる従業員ではダメです。法人の役員・個人事業主・支配人などが1/2以上の持分を所有している必要があります。
6 常勤性の要件
Q1 常勤性が求められるのは誰?
A1 経営業務の管理責任者、専任技術者、支店長などです。
Q2 他の事業での専任者を常勤性が必要な地位に就けることはできる?
A2 できません。たとえば、宅地建物取引業の専任の宅地建物取引士は、建設業の専任技術者にはなれません。
Q3 75歳未満の後期高齢者はどんな書類が必要?
A3 一般的に必要な書類に加えて、後期高齢者医療制度被保険者証が必要です。
Q4 外国人はどんな書類が必要?
A4 一般的に必要な書類に加えて、住民票が必要です。住民票はマイナンバーのないものを提示します。
Q5 出向者でも経営業務の管理責任者、専任技術者、支店長などになれるの?
A5 なれます。ただし、一般的な書類に加えて、出向協定書や出向辞令の提出が必要になります。
Q6 住民票の住所と居所が違う場合はどうすればいい?
A5 居所で支払った公共料金の領収書や請求書、契約書を提出します。これらがない場合には、居所の最寄り駅から営業所の最寄り駅までの6か月分の定期券、居所が賃貸住宅なら賃貸契約書や貸主の承諾書を提出します。
次回からは申請全般についての疑問をQ&Aにします。よろしくお願いします。
| まとめ
1 残高証明書の日付けに注意!
2 刑の執行猶予期間が過ぎればその日から申請できます!
3 営業所は1つ以上必要です!支店はなくてもOK!
4 常勤性が必要な地位に就くなら住所変更しておくとスムーズ!