建設業許可の疑問 ~建設業許可制度~

| お役所の見本は分かりにくい?

 

建設業の許可を申請するときには必ず手引きを参照します。手引きには問合せ先や留意点、制度の概要、要件、記載例などが書かれています。

これを見るだけで書ける方もいると思います。しかし、手引きには書かれていないことが出てきたとき、電話で問い合わせても一般的な返答しかありません。たとえば、“○○という書類は用意できないけど××という書類ならある。これでもいいか?”という質問には電話では答えてもらえません。担当官は実際に窓口で書類を見ないと返事のしようがないのです。

 

役所や会社の受付などで、女性の係員が笑顔で来客者の対応をしているイラスト

 

そこで、手引きに載っていても分かりにくいこと、見逃してしまいそうなこと、実際に窓口に行かないと分からないことをQ&A形式で書きたいと思います。ここでは正確性よりも分かりやすさを重視しています。正確なことは手引きをご覧いただくか手引きの問い合わせ先にご確認ください。

 

 

| 建設業許可制度について

 

Q1 一式工事と専門工事の違いってなに?

A1 一式工事は元請さんのように土木や建築の工事を全て受ける場合で、専門工事は下請さんのように業種ごとに専門的に仕事を受ける場合です。一式工事は土木と建築の2種類、専門工事は27種類あります。

 

Q2 建設業の許可がいらない工事って?

A2 比較的小さな工事(軽微な工事)をする場合には建設業の許可は必要ありません。建築一式工事以外は、500万円未満の工事であれば建設業の許可が必要ありません。建築一式工事は、1500万円未満の工事や延べ面積が150㎡未満木造住宅工事であれば建設業の許可が必要ありません。

 

Q3 建設業の“営業所”ってなに?

A3 請負契約を締結する事務所のことです。建設業の営業をしていない事務所はここでの“営業所”ではありません。たとえば、〇〇建設会社の本店は不動産の運用相談業務や土地の仕入れをするだけで実際に建設業をしているのは支店である場合です。このときの本店は建設業の“営業所”ではありません。支店だけが“営業所”になります。

 

Q4 特定と一般の違いってなに?

A4 特定建設業は大きな工事を請け負う元請さんのことです。元請さんが1件の工事で下請さんに4000万円(税込)以上、建築一式工事の場合は6000万円(税込)以上の金額で仕事をしてもらう場合には、特定建設業の許可が必要になります。“発注者”からの金額ではなく、“下請さん”への支払金額ですのでご注意ください。発注者からの請負金額には制限はありません。下請さんが孫請さんに支払う金額にも制限はありません。

 

Q5 一式工事の許可があれば専門工事もできるの?

A5 できる場合とできない場合があります。

できる場合は、一式工事の仕事を請けたときにその中の専門工事をすることができます。たとえば、建築一式工事の許可を受けている業者は、建築一式工事を請けたときにその工事の一部である大工工事をすることができます。

できない場合は、専門工事だけを請ける場合です。たとえば、建築一式工事の許可を受けている業者が500万円以上のインテリア工事を請ける場合です。このときには内装仕上工事の許可が必要です。

 

Q6 許可は重複して取ることができるの?

A6 1つの業種で許可が重複するのは特定建設業と一般建設業の場合ですが、特定建設業か一般建設業のどちらかしか許可を取ることができません。

たとえば、大工工事の一般建設業の許可を受けている場合は、重ねて大工工事の特定建設業の許可を受けることはできません。大工工事の一般建設業を受けている業者が大工工事の特定建設業を取りたい場合には、一般建設業の許可から特定建設業の許可に変えなければいけません。

 

Q7 自分のする工事の準備に必要な工事って許可がいるの?

A7 必要ありません。たとえば、塗装業の場合、塗装のために足場を組む必要があるでしょう。足場を組む工事はとび・土工工事になりますが、この場合には新たにとび・土工工事の許可を取る必要はありません。また、塗装業の場合に防水工事が必要になることが多いですが、この場合にも防水工事の許可を取る必要はありません。

このような関係にある工事は“附帯工事”と言われていまして、大阪府では次のような基準で判断されます。

1 一連の工事又は一体の工事として施工する他の工事

2 本体工事を施工した結果、発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事

塗装工事と足場を組む工事、防水工事は“一連の工事又は一体の工事”になります。

ただし、塗装工事が主たる工事だといえるだけの金額でなければいけません。塗装工事300万円、防水工事200万円、とび・土工工事100万円といった具合です。

しかも、500万円以上の附帯工事の場合には、附帯工事の“専任技術者”を配置しなければいけません。大きな工事を請けるときには注意してください。

 

気密性を高めるために壁の隙間にコーキング剤を流し込んでいる男性作業員のイラスト

 

附帯工事については国土交通省がガイドライン(pdfファイル)を発表しています。詳しくお知りになりたい方はご参照ください。

 

 

| まとめ

 

1 どの許可が必要になるかはケースバイケース!

2 軽微な工事や附帯工事では許可は要りません!

3 500万円以上の附帯工事では専任技術者を!



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