| 登場人物と経緯
前回まででAさんとCさんは“C塗装株式会社”を設立し、開業届の提出と社会保険の加入、書類集め、書類作成を終えました。今回は府庁へ申請に行きます。
Aさん、Bさん、Cさんの経歴とこれまでの経緯を簡単にまとめます。
【登場人物と経歴】
〇 Aさん
18歳で塗装業に飛び込み、職人歴40年のベテラン。建設業の許可を取り、事業を息子のCさんに譲りたい。“C塗装株式会社”の取締役。
〇 Bさん
Aさんの奥さん。経理を担当している。“C塗装株式会社”では従業員。
〇 Cさん
Aさんのご子息。職人歴10年超(塗装業は3年)の中堅。“C塗装株式会社”の代表取締役。
【これまでの経緯】
1 定款の内容を決める
2 印鑑を作る(費用:2万円)
代表者印、銀行印、角印を作りました。
3 定款の作成と認証(費用:10万7200円)
行政書士Dに依頼しました。
4 株式会社の設立登記(費用:20万6100円)
司法書士Eに依頼しました。
5 開業届の提出
税務署、府税事務所、市役所にそれぞれ開業届を提出しました。
6 社会保険の加入(費用:7万円)
社会保険労務士Fに依頼しました。
7 建設業許可のための書類集め
特別徴収切替申請書を提出しました。
8 建設業許可の書類作成
分からないところがありましたが、申請のときに府庁の窓口で尋ねたいと思います。
| 新規に法人を設立して許可を取る!
9 建設業許可申請のために府庁へ(費用:9万円)
Aさんは、集めた書類一式と作成した書類(提出用と控え用)、大阪府証紙代9万円、もしもの時のための記入前のひな形の書類を一式、それに会社・Aさん・Cさんの印鑑を持って府庁へ行きます。大阪府の受付場所は咲州庁舎ですので、ニュートラムのトレードセンター前駅が最寄り駅です。
まずは、受付の順番取りのために建設業許可の受付まで来ました。番号札を取ってから証紙を買いに行きます。証紙売り場は建築振興課を出てまっすぐに歩いて行ったところにありました。
証紙を購入して受付に戻るとまだ順番が来そうにありません。申請に来ている人はほとんどが行政書士のようで、担当官とにこやかに話しながら書類チェックをしていました。
40分ほど待って順番が来ましたので、さっそく担当官にチェックをしてもらいます。
一番不安だった経験に関する書類は問題なくパスしました。ただ、“工事経歴書”と“直前3年の各事業年度における工事施工金額”の書類は、余白に“実績なし”と記入して提出するように言われてしまいました。記入前のひな形の書類にさっと書き込んで再チェックでOKを貰いました。
健康保険の加入状況の書類の“事業所整理記号等”の箇所に“申請中”と記入するように指示されましたので、言われたとおりに記入しました。
1時間ほどで最終チェックが終わり、証紙を台紙に張り付けて提出しました。受付印を押された副本と案内の紙を受け取って、無事申請終了です。許可は3週間くらいでもらえるとのことです。安堵のため息がもれました。
10 建設業の許可の通知書の受領
申請から3週間と1日後、府庁から“建設業許可通知書”が届きました。この通知書は再発行されないとのことですので、大切に保管しておきます。
11 建設業の許可票の発注(費用:1万円)
建設業の許可がもらえましたので、建設業の許可票をアクリル板で作ることにしました。今までの手書きの紙でしたから、大幅にグレードアップです。職人仲間から安い店を紹介してもらったので1万円で買うことができました。
看板はじっくりと選んでから購入することにしました。
| 建設業許可にかかった期間と費用
1 期間
Aさんの場合、最初に許可申請に取り掛かってから許可がもらえるまで約5か月かかりました。
1 定款の内容を決める 2週間
2 印鑑作成 1週間
3 定款作成と認証 2週間
4 設立登記 2週間
5 開業届の提出 1週間
6 社会保険の加入 2週間
7 書類集め 3週間
8 書類作成 3週間
9 許可申請 1週間
10 通知書の受領 3週間
11 許可票の発注 2週間
合計で22週間、約5か月です。会社の設立の段階から許可申請に必要な書類を集めていればもっと早く許可をとれたかもしれません。また、書類作成に時間がかかりましたので、行政書士に依頼すると時間が短縮されるはずです。1か月半は短くなったのではないでしょうか。
建設業の許可に必要な事柄が分かりましたので、Aさんは今後の手続きも自分でやりたいという意欲が出てきました。悩んだ分だけ会社のことがよくわかったようです。
2 費用
印鑑代 2万円
定款代 10万7200円
登記代 20万6100円
社労士代 7万円
証紙代 9万円
許可票代 1万円
計 50万3300円
交通費などを含めると約51万円かかりました。法人の設立に予定以上の費用がかかってしまいました。会社を一つ作って許可を取るのに51万円です。安いか高いかは今後の売上次第でしょうか。
Aさんを例にして許認可の取得の流れを書いてきました。いかがでしたでしょうか。
次回からは細かい点のQ&Aと入札するときに必要な経営事項審査について書きたいと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。
| まとめ
1 大阪府は咲州庁舎が受付場所!
2 建設業許可票と看板は必ず掲示!
3 Aさんは約5か月・51万円で許可が取れました!