建設業の許可を取るポイント! ~財産的基礎など~

| 財産的基礎が必要なワケ

 

建設の仕事を請け負うときには材料・原料を仕入れたり、必要に応じて新たに道具などを購入したりしてから工事をすることになります。仕入れたり道具を買ったりする資金がなければ工事に取り掛かることはできませんし、工事を完成させることもできません。工事を請け負ってすぐに倒産されると困るわけです。

 

会社が倒産して困り果てている社長(会社員)のイラスト

 

ですから、建設業の許可を取るためには、工事をするための“一定の資金”が要求されています。“一定の資金”といっても、工事の規模によってかなり差がありますよね?実際に、一般建設業と特定建設業では財産的基礎の要件が異なっています。

 

 

| 一般建設業の財産的基礎の要件

 

建設業の許可を申請する時点で、次のどれかに該当していなければなりません。ただし、倒産することが明白であるときは許可を取れませんので注意してください。

1 直前の決算で、自己資本の額が500万円以上であること

直前の決算で貸借対照表の純資産の部の合計が500万円以上であればOKです。

2 金融機関の預金残高証明書で、500万円以上の資金調達能力を証明できること

個人事業主の場合で、取引している銀行から500万円以上の残高証明書を発行してもらいます。

法人の場合で決算書の純資産の部が500万円以下の場合にも、取引している銀行から500万円以上の残高のある証明書を発行してもらいます。

残高の日が申請日の4週間以内でなければいけません。許可の書類の内容に不備がなく許可の申請が受理されることが分かってから、残高証明書を発行してもらうのが安全です。ご自身で申請される場合には特に注意してください。

 

真面目そうにビチッとスーツを着て七三分けにしている、半沢直樹のような銀行員のイラスト

 

3 建設業の許可を申請する過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績があること

これは更新の時の要件だと思ってください。5年目の更新をするときには財産的基礎の証明が必要ありません。

 

 

| 特定建設業の財産的基礎の要件

 

こちらはかなり厳しく、請負代金の額が8000万円以上の工事をするのに足りる財産がなければなりません。原則として、次の“すべて”に該当する必要があります。倒産することが明白な場合には許可が取れないことは一般建設業と同じです。

許可の申請時の直前の決算期の決算書で判断されます。

1 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと

欠損はいわゆる赤字です。ここでは決算書の数字を使って計算します。

法人の場合、貸借対照表の“繰越利益剰余金”から“資本剰余金”と“利益準備金”と“任意積立金”の合計額を引きます。出てきた数字を“資本金”で割って100をかけた数字が20%未満でなければなりません。

“繰越利益剰余金”-(“資本剰余金”+“利益準備金”+“任意積立金”)÷“資本金”×100 ≦ 20

個人事業主の場合ですが、言葉で説明してもややこしくなりますので、計算式を挙げておきます。

“事業主損失”-(“事業主借勘定”-“事業主貸勘定”+“利益留保性の引当金”+“準備金”)÷“期首資本金”×100 ≦ 20

2 流動比率が75%以上であること

法人でも個人でも共通です。計算式だけを挙げておきます。

“流動資産合計”÷“流動負債”×100 ≧ 75

3 資本金の額が2000万円以上であること

法人の場合は資本金の額、個人事業主の場合は期首資本金の額が2000万円以上必要です。

4 自己資本の額が4000万円以上であること

法人の場合は、純資産の合計が4000万円以上であればOKです。

個人事業主の場合の計算式を挙げておきます。

(“期首資本金”+“事業主借勘定”+“事業主利益”)-“事業主貸勘定”+”利益留保性の引当金”+“準備金” ≧ 4000万円

 

パソコンを使って、オンラインで確定申告(e-Tax)をしている男性のイラスト

 

 

| 一般建設業の財産的基礎の確認に必要な書類

 

1 自己資本の額が500万円以上の場合

新規設立の法人の場合、開始貸借対照表があればOKです。

新規設立の個人事業主の場合、開始貸借対照表と500万円以上の預金残高証明書が必要です。

確定申告をしている法人の場合は、確定申告書の別表一、決算報告書が必須です。場合によっては別表五(一)も必要になります。

確定申告をしている個人事業主の場合は、確定申告書の第一表、第二表、青色申告決算書か収支内訳書、貸借対照表が必要です。

確定申告書には税務署の受付印か税務署の受信通知がないとダメです。ご注意ください。

2 500万円以上の資金調達能力を証明する場合

金融機関が発行する500万円以上の残高証明書を提出します。残高証明の日付が申請日の4週間以内でなければなりません。発行日ではありませんのでご注意ください。

3 許可を受けてから5年間継続して営業していた場合

証明する書類は必要ありません。

 

脱税や粉飾決算のために、収支を偽装して記録した裏帳簿のイラスト

 

 

| 特定建設業の財産的基盤の確認に必要な書類

1 新規設立の法人の場合

開始貸借対照表だけでOKです。

2 確定申告をしている法人・個人事業主

法人と個人事業主のどちらであっても、財務諸表は必須です。

法人の場合、確定申告書の別表一、決算報告書に加え、場合によっては別表五(一)も必要になります。

個人事業主の場合、確定申告書の第一表、第二表、青色申告決算書、貸借対照表が必要です。

こちらの確定申告書にも税務署の受付印か税務署の受信通知が要ります。

 

 

| まとめ

 

1 工事が完成できるだけの財産があるか確認されます!

2 一般建設業よりも特定建設業の方が要件は厳しいです!

3 確定申告書には税務署の受付印か受信通知が必須!

4 残高証明書を提出する場合は日付に注意!



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