| マンションの大規模修繕ってなに?
マンションは頑丈な建物なので木造の一戸建て住宅よりも長く利用できます。しかし、それはしっかりとメンテナンスをした場合です。
建物の天敵は“紫外線”です。タイルや防水塗装は紫外線で劣化が進みます。ここが劣化すれば雨水が浸入してさらに建物の劣化が進みます。
国交省の推奨する1回目の大規模修繕の目安は12年ですので、新築から10年が経てば劣化が進んでいると思われます。つまり、10~12年毎に大規模修繕をするのがよいということになります。かなりの頻度ですよね。
| 大規模修繕って何をするの?
劣化したところを直すのと、見た目や機能、快適性の向上を図る工事です。基本的には、建物の躯体の補修、外壁や外部の階段・建具の塗装、防水工事などです。
工事の流れは次のようなものです。
1 建物診断 → 工法の決定
2 見積もり → 工事契約 → 説明会
3 足場設置 → ひび割れ補修 → 高圧洗浄 → 外壁塗装 → 防水工事
4 検査 → 足場解体 → 引渡
ただし、工事の前にやるべきことがあります。それは大規模修繕の監理を行う業者を決めることです。この業者は、上の1の建物診断、工法の決定と工事監理を行います。多くは設計士を擁するコンサルティング会社ということになります。
| コンサルティング会社の闇!
コンサルティング会社の選定で一番頼りになるのは管理会社です。管理会社にお任せ!という管理組合もあるでしょう。それ自体に問題はありません。
また、コンサルティング会社に支払う費用はおおむね1戸あたり5万円程度。大規模修繕全体で1戸あたり100万円かかりますので5%くらいがコンサルティング料になります。この費用を管理組合が支払うのであれば何も問題はありません。
ところが、このコンサルティング会社には曲者が混じっているそうです。聞いた話ですが、マンションの管理組合が複数のコンサルティング会社に見積もりを取ると相場とかけ離れた安い金額を提示してくることがあります。「(同じ工事なら)安いのが一番!」と思って安い見積もりをだした会社に依頼する管理組合もあります。
そういうコンサルティング会社は工事会社を指定してきます。「A社がおすすめなのでこの会社で工事をしてください」といった具合です。管理組合が拒否すると、それまでにかかったコンサルティング料、つまり建物診断と工法決定などの代金を取って手を引いてしまいます。工事が始まっていないので監理の費用を支払う必要はありません。
ここからが肝です。安い金額を提示したコンサルティング会社はどこで儲けるのでしょうか?例えば、1000万円かかるコンサルティング料を200万円で見積もりを出した場合、残りの800万円はどこから手に入れるのでしょうか?
管理組合から取れないのであれば工事会社から取るしかありません。紹介料や手数料として工事代金の3%、5%、7%を請求します。200戸×100万円=2億円かかる工事の5%だと1000万円。さきほどのコンサルティング料と合わせて1200万円ですから、十分に儲けが出ます。
工事会社もどこかで採算を取らないといけませんから、工事が計画通りに行われないかもしれません。どこかで手を抜くかもしれません。その結果、建物の劣化が早まり、次の大規模修繕で不要な出費が増えるかもしれません。そうなると一番の被害者は管理組合、マンションの住民です。
コンサルティングに資格は必要ありませんからこのような商売は誰にでもできます。監理を賃金の安いアルバイトにやらせることもできます。設計事務所でもなく業者でもないブローカーのような者がコンサルティングを名乗ることで工事を仕切って大金をせしめる。このようなことが行われることがあると聞きました。
紹介料を取ることが悪いことではありません。ただ、見た目安い金額を提示して工事を受注し、その責任を工事会社に押し付けるのはどうなのでしょうか?モラルの問題ですが、請求をするのなら工事によって利益を受ける管理組合、住民に請求するのが正当だと思います。
まだまだ長く住む大切なマンションです。大規模修繕は信頼のできる業者に頼みたいですね。
| まとめ
1 マンションの大規模修繕は10~12年に一度!
2 コンサルティング会社の選定は慎重に!
3 悪徳なコンサルティング会社には要注意!