親が亡くなって遺産を相続することになった場合、相続人で遺産を分け合います。遺産には分けやすいものだけでなく、不動産などの分けにくいものもあります。これらをどうするか、だれがどれだけ相続するかを決めるのが遺産分割協議です。
では、遺産分割協議の書面、遺産分割協議書を自分で作るにはどうしたらいいのでしょうか。
今回から遺産分割協議書の作成について書きたいと思います。
| 遺産分割協議の進め方
これまで戸籍を調べて相続人をはっきりとさせ、相続財産を調べて一覧表を作成しました。ここまでくれば遺産分割協議をする準備が整いました。
遺産分割協議はどうやったらいいのでしょうか。
遺産分割協議は相続人や遺贈を受けた人全員で遺産の分割について話し合う協議です。相続人や遺贈を受けた人が一か所に集まって話ができれば一番良いですが、法事などの機会に話し合いを進めて全員の同意を得たうえで代表者が遺産分割協議書を作成することになります。
遺産分割協議書についての重要事項は次のとおりです。
(1)(題名)遺産分割協議書
(2)亡くなった方の氏名、最後の住所・本籍、登記簿上の住所、生年月日、死亡日など
(3)遺産分割協議に参加した人の氏名、住所
(4)誰がどの遺産を取得するのか
(5)相続する財産の具体的な内容
(6)遺産分割協議の日付
(7)記載のない遺産を誰が相続するのか
(8)相続人や遺贈を受けた人全員の氏名と住所(自筆)
(9)相続人や遺贈を受けた人全員が実印を押印
特に注意するところは(5)の相続する財産の具体的な内容です。
不動産の場合には、登記簿謄本に書かれているとおりに記載します。土地の場合であれば、所在、地番、地目、地積です。建物の場合であれば、所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。
預金の場合には、銀行名、支店名、種類(普通・当座)、口座番号、口座名義などです。金額は変動しますので書く必要はありません。
注意すべき点が多いですので、インターネット上にあるひな形を使われるのが楽で間違いが少ないと思います。不安でしたら行政書士など専門家にご相談ください。
代表者が遺産分割協議書を作成したら、相続人や遺贈を受けた人に署名と実印の押印をお願いすることになります。
裏技的な方法として遺産分割協議書の代わりに「遺産分割証明書」を作成するという方法があります。内容は遺産分割協議書と同じですが、1通の書面に全員の署名・押印をしないところが違います。各相続人や遺贈を受けた人が別々の遺産分割証明書に署名・押印をします。全員分が揃うと遺産分割協議書と同じ効力を持ちます。遺産分割協議書であっても遺産分割証明書であっても、事前に全員の同意を得られていない場合には署名・押印がもらえず書面が完成しませんのでご注意ください。
| 遺産分割協議書の使い方
遺産分割協議書が完成したら相続手続に利用できます。提出先としては次のようなところがあります。
(1)金融機関
亡くなった方名義の口座を解約したり名義を変えたりする場合に提出します。金融機関はどの相続人が預金口座を相続したのかを確かめます。窓口にもっていけばその場でコピーを取って原本を返却してくれます。郵送の場合は金融機関にご相談ください。
(2)法務局
相続登記をするときに提出します。原本とコピーを提出して原本を返却してもらいます。詳しくは司法書士にご相談ください。
(3)税務署
相続税の申告のときに提出します。コピーでもよいとする税務署もあるようですので、税務署か税理士にご相談ください。
(4)運輸局
自動車の名義を変更するときに提出します。こちらも原本は返却してもらいます。詳しくは運輸局にご相談ください。
| まとめ
1 遺産分割協議書の作成はひな形を使うと楽!
2 遺産分割協議書には全員の署名・実印が必要!
3 遺産分割協議書は相続手続で利用できる!