行政書士の戸籍不正取得が発覚!?

2021年の8月に宇都宮市の行政書士が探偵業者から依頼を受けて3500通もの戸籍謄本を不正に取得していたというニュースがありました。日本行政書士会の会長声明も出されています。この事件を受けて、各都道府県が戸籍の不正取得がないのかを調査したそうです。

今回は、京都府の調査について書きたいと思います。

 

 

| 京都府では57件の不正受給!?

 

解放新聞というメディアをご存じでしょうか。部落解放同盟の中央機関紙です。少し怪しげだと思われるかもしれませんが、地方に密着したニュースが掲載されることがあります。今回は、解放新聞の京都支局の報道を参考にします。

宇都宮市の行政書士が逮捕された事件を受けて、京都府は8月に委員会を開いて府内の全市町村に対して、逮捕された行政書士名での開示請求の調査をしたそうです。

この行政書士は探偵業者からの依頼を受けただけで本人から依頼を受けているわけではありませんから、戸籍謄本を取得するときに委任状などありません。使っているのは職務上請求書です。

逮捕された行政書士名で職務上請求書を使った開示請求は、府内の市町で57件見つかったそうです。見つかった市町と件数は次のとおり報道されています。

1 京都市  32件

2 福知山市 6件

3 舞鶴市  4件

4 宇治市  4件

5 向日市  3件

6 木津川市 2件

7 与謝野町 2件

8 城陽市  1件

9 長岡京市 1件

10 京田辺市 1件

11 京丹後市 1件

ほとんどが京都市ですが、福知山市、舞鶴市、宇治市、向日市、木津川市、与謝野町では複数の件数が見つかっています。

請求するための理由としては、損害賠償請求、遺言書作成、遺産分割協議、義務履行請求書になっているようです。

京都府の不正請求があった市町では、戸籍謄本などを取得された被害者に対して通知を行うとしているようです。

 

 

| 職務上請求書の使い方

 

職務上請求書は当事務所でも使用しています。なるべく委任状をもらうようにはしていますが、相続人が多数いる遺産分割協議書の作成では、全員から委任状をもらうことは困難です。

職務上請求書を使う場合には、行政書士会から請求事由の例が記載された冊子をもらいますので、それを参考に記載します。いつ、どのような依頼を受けて、なぜ請求をしなければいけないのかなど、かなり詳しく記載することになっています。

事案によっては、職務上請求書の請求事由欄には書ききれないほどの分量になることもありますが、なんとか記載をしています。

また、職務上請求書の使用については行政書士会からかなり厳しく制限されています。このような行政書士会からの指導をきちんと守っていれば、不正取得になることはないと思います。

行政書士の中には職務上請求書は怖くて使えないとおっしゃる方もいるようですが、依頼者や関係者に過度の負担を強いることをなるべく避けるためにも、あまり怖がらずに使用していいのではないかと思っています。

 

 

| まとめ

 

1 京都府では逮捕された行政書士名の請求が57件!

2 職務上請求書の使い方は行政書士会から厳しく指導!

3 委任状の取得は依頼者などに過度の負担になるかも!?



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