【行政書士試験】2021年度 試験問題の振り返り(第44問)

今日はクリスマスイブ!年の瀬も迫ってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。毎年、行政書士試験の問題を検討しているところ、今年は何かとバタバタしておりまだ試験問題すら見ておりませんでした。

合格発表が近くなっているこの時期です。受験生の皆様はワクワクドキドキの時期も過ぎて落ち着いているかと思います。では、令和3年度行政書士試験を見てみたいと思います。

 

 

| 記述式 第44問(行政法)

 

[問題]

私立の大学であるA大学は、その設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反しているとして、学校教育法15 条1 項に基づき、文部科学大臣から必要な措置をとるべき旨の書面による勧告を受けた。しかしA大学は、指摘のような法令違反はないとの立場で、勧告に不服をもっている。この文部科学大臣の勧告は、行政手続法の定義に照らして何に該当するか。また、それを前提に同法に基づき、誰に対して、どのような手段をとることができるか。40 字程度で記述しなさい。なお、当該勧告に関しては、A大学について弁明その他意見陳述のための手続は規定されておらず、運用上もなされなかったものとする。

 

1 問われている内容

問われている内容は、(1)文部大臣の勧告は行政手続法の何に該当するか、(2)不服がある場合に誰に対して申し出ができるか、(3)不服がある場合にどのような手段をとれるか、の3点です。これのどれが抜けても点数は低くなると思います。

2 文部大臣の勧告について

行政手続法第2条の定義には、次のように書かれています。

 

行政手続法第2条第6項

六 行政指導 行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。

 

行政指導の定義の中で、“指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないもの”とされています。

ということで、条文上、文部大臣の勧告は“行政指導”です。

3 誰に対して申し出ができるかについて

こちらも行政手続法の条文を見てみましょう。

 

行政手続法第36条の2

(行政指導の中止等の求め)

第三十六条の二 法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。

2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。

一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所

二 当該行政指導の内容

三 当該行政指導がその根拠とする法律の条項

四 前号の条項に規定する要件

五 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由

六 その他参考となる事項

3 略

 

この条文は2018(平成27)年にから施行された新しい制度です。受験生の皆さんは勉強されている内容だと思います。

法令違反の是正を求める行政指導に対しては、行政指導をした行政機関に対して、行政指導の中止などを申し出ることができます。

よって、行政指導をした行政機関、つまり文部科学大臣に対して申し出をすることができます。

4 どのような手段をとることができるかについて

先ほどの条文を見た通り、行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができます。

しかも申し出は、規定の事項を申出書に記載して提出することになっています。

 

解答例

“行政指導である。文部科学大臣に対して申出書で行政指導の中止を求めることができる。” (40字)

 

条文そのままの問題でしたね。勉強をしていた受験生にとっては簡単だったでしょうし、条文を知らない受験生は手も足も出なかったのではないでしょうか。

 

 

| まとめ

 

1 第44問は行政手続法の問題!

2 新しい制度が問われた!

3 条文の勉強をしていれば易しい問題!?



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