家を買ったり部屋を借りたりするときにはトラブルなく気持ちよく取引をしたいですよね。不動産業者も同じように考えています。不動産業者は取引に向けて注意深く物件の調査をしています。そうはいってもトラブルを100%なくすことは難しいです。
今回は前回に引き続き実際のトラブルについて書きたいと思います。
| トラブルの相談件数
前回の記事“不動産の売買のときのトラブル”で売買のトラブルについて書きましたが、今回は賃貸のトラブルについて書きたいと思います。
今回も公益法人不動産中通推進センターの発表している不動産業統計集を見ていきます。
賃貸でも売買と同じく重要事項説明に関するトラブルが最も多く約34%になっています。続いて、預り金・申込証拠金等の返還、報酬となっています。
1 重要事項説明など 約34%
2 預り金・申込証拠金等の返還 約10%
3 報酬 約9%
4 物件の瑕疵 約4%
5 契約内容の書面の交付 約4%
2018年度の調査ではこのようになっていますが、売買と同様に年によってこの割合は変わっています。上位5つについて2014年度から推移を見てみます。
【2014年度】
1 重要事項説明など 約44%
2 報酬 約10%
3 預り金・申込証拠金等の返還 約8%
4 契約内容の書面の交付 約7%
5 契約の解除 約4%
【2015年度】
1 重要事項説明など 約37%
2 報酬 約10%
3 預り金・申込証拠金等の返還 約6%
4 契約内容の書面の交付 約5%
5 契約の解除 約4%
【2016年度】
1 重要事項説明など 約42%
2 預り金・申込証拠金等の返還 約15%
3 報酬 約6%
4 契約内容の書面の交付 約5%
5 契約の解除 約3%
【2017年度】
1 重要事項説明など 約41%
2 預り金・申込証拠金等の返還 約9%
3 契約内容の書面の交付 約8%
4 報酬 約7%
5 誇大広告の禁止 約5%
重要事項説明に関するトラブルが約40%で推移しています。説明不足・説明間違いなどがトラブルの原因になっています。
2014年度と2015年度は報酬に関するトラブルが多くなっています。2016年度以降は10%を切っていて割合的に減少傾向にあるようです。
契約の解除については元々割合的に少なかったのですが、2017年度以降はワースト5から外れています。ちなみに、2017年度は約4%で7位、2018年度は約3%で7位になっています。
逆に割合が増えてきているのが、預り金・申込証拠金等の返還についてのトラブルです。近年の賃貸借契約では、保証人を求めない代わりに保証会社の審査を受けることが増えています。保証会社の審査を受ける前に入居希望の旨を大家さんに伝えますが、そのときに申込証拠金を預けることがあります。この申込証拠金は1万円程度だと思います。そのまま無事に保証会社の審査に通って賃貸借契約をした場合には、初期費用の一部に充填されます。
ここで問題になるのは、申込証拠金を預けていながら契約に至らなかった場合です。
通常は、保証会社の審査に通らないなど入居希望者ではどうしようもない理由によって契約に至らない場合には、申込証拠金は返金されることが多いように思います。
逆に、入居希望者の勝手な理由で契約に至らなかった場合には、申込証拠金は返還されないと考えた方がよいと思います。申込証拠金を預ける場合は、どのような場合に申込証拠金が返還されないのかを不動産業者に確認しておくことをおすすめします。
次回以降に続きます。
| まとめ
1 不動産賃貸のトラブルは重要事項説明が多い!
2 預り金・申込証拠金の返還のトラブルが増加!
3 報酬や契約解除のトラブルは減少!