新型コロナウイルス感染症の影響で経済が低迷してから早1年半が経ちました。地域経済はまだまだ底のように思います。特に、飲食店、エステ・ネイル・理美容などの美容関連、個人タクシーなどではかなり苦しい状況だと思います。オーナーの方はもちろんのことですが、従業員の方も給与が大幅に減って苦しいのではないでしょうか。
今回は前回に引き続き、借り入れの返済が厳しくなった方の債務整理について書きたいと思います。
| 個人再生の種類
個人再生には2つの種類があります。小規模個人再生と給与所得者等再生です。1つずつ見てみましょう。
1 小規模個人再生
小規模個人再生は小規模事業者を念頭に置いた個人再生手続です。給与所得者が利用することもできます。特徴としては、債務額を1/10まで減額できる可能性がある点、再生計画に債権者が異議を申し出た場合には裁判所に認可されないという点です。要件は別の項目で書きます。
2 給与所得者等再生
給与所得者等再生は名前の通り給与所得者等を対象にした個人再生手続きです。小規模事業者は利用できません。特徴としては、返済額に可処分所得2年分以上という要件がある点、再生計画に債権者の意義があっても裁判所に認可されるという点です。要件は別の項目で書きます。
| 個人再生の要件
小規模個人再生も給与所得者等再生もほぼ同じ要件ですが、少し異なるところがあります。
1 小規模個人再生
・融資総額(住宅ローンを除く)が5,000万円未満であること
・今後3~5年間、継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
・債権者の数および債権額で1/2以上の不同意がないこと
2 給与所得者等再生
・融資総額(住宅ローンを除く)が5,000万円未満であること
・今後3~5年間、継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあること
・給与等の定期所得があり、所得変動の幅が年間20%以下であること
これらの要件のほかにも返済金額の下限があります。
1 小規模個人再生
次の(1)(2)のどちらか高い方の金額
(1)自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額
(2)負債総額に応じた次の金額
・負債総額が100万円未満の場合:負債額全部
・負債総額が100万円以上500万円未満の場合:100万円
・負債総額が500万円以上1,500万円未満の場合:負債総額の1/5
・負債総額が1,500万円以上3,000万円未満の場合:300万円
・負債総額が3,000万円以上5,000万円未満の場合:負債総額の1/10
たとえば、自分の財産をすべて処分すると200万円になって、負債総額が2,000万円の場合、返済額は300万円になります。
2 給与所得者等再生
次の(1)(2)(3)の最も高い金額
(1)自分の可処分所得額の2年分の金額
(2)自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額
(3)負債総額に応じた次の金額
・負債総額が100万円未満の場合:負債額全部
・負債総額が100万円以上500万円未満の場合:100万円
・負債総額が500万円以上1,500万円未満の場合:負債総額の1/5
・負債総額が1,500万円以上3,000万円未満の場合:300万円
・負債総額が3,000万円以上5,000万円未満の場合:負債総額の1/10
可処分所得額は、収入の合計額から税金や生活費として政令で定められた費用を控除した金額です。可処分所得額が多い場合には小規模個人再生と変わらなくなります。
| まとめ
1 個人再生には2種類ある!
2 小規模個人再生は条件が厳しい!
3 給与所得等再生は所得の条件がある!