行政書士試験の振り返り 問題25・26

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)でした。

合格された方、おめでとうございます!登録をして行政書士としてがんばろう!と思われる方もいらっしゃると思います。よろしくお願いします。

惜しくも不合格の方、お疲れ様でした。2021年の試験も受験しようと思われる方は、どうぞこのブログの試験問題検討ページをご覧になってください。試験合格にお役に立てると嬉しいです。

さて、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式が終わりましたので、択一式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。今回は情報公開関連と自動車免許関連です。

 

 

| 問題25 正解肢1

 

情報公開に関する問題です。行政事件訴訟法や国家賠償請求訴訟も少し関係しています。判例の内容を問うています。

肢1 処分取消訴訟での主張(最判H11.11.19)

非公開の決定が適法であると主張するため、非公開決定した理由Aとは別の非公開理由Bを取消訴訟で主張することができます。

肢2 処分取消訴訟での主張立証責任(最判H26.7.14)

文書を未保有であるという理由で非開示決定をした場合、処分取消訴訟で行政機関が文書を保有していることを主張・立証する責任は原告にあるとされています。主張・立証責任は、主張や立証をしないと受ける不利益のことです。一般的に“ない”とする立証は不可能だと言われています。

肢3 非公開公文書の書証としての提出(最判H14.2.28)

非公開と決定した文書を取消訴訟の書証として提出された場合でも、原告の訴えの利益は消滅しないとされています。書証は文書という形の証拠品です。

肢4 瑕疵と国家賠償請求(最判H18.4.20)

非開示決定に取り消すことができる瑕疵があったとしても、それだけで直ちに国家賠償法1条1項の“違法”になるわけではありません。

肢5 法律上の争訟(最判H13.7.13)

建物の建築工事計画通知書を公開決定したことに対して、国が所有者としての固有の利益を侵害されたとして公開決定の取消を求める訴訟は、法律上の争訟だとされています。ただし、国には本件での取消訴訟の原告適格がないとして不適法却下しました。沖縄県での自衛隊対潜水艦戦作戦センター庁舎に関する判例です。法律上の争訟は憲法で勉強する板まんだら事件で、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用により終局的に解決できるものだとされています。

 

 

| 問題26 正解肢1

 

自動車の運転免許に関する問題です。公安委員会や行政法学上の分類などが出題されました。

肢1 都道府県公安委員会

都道府県公安委員会は合議制の機関で、免許を交付する権限は都道府県公安委員会にあります。委員長や委員にあるわけではありません。

肢2 訴えの利益

違反点数の効力が残っている場合、免許停止処分の取消によって違反点数の効力がなくなるのですから、訴訟継続中に免許停止期間が終了したとしても訴えの利益は消滅しません。

肢3 行政法学上の条件

運転免許証の有効期限は行政行為に付される付款です。付款のうち“条件”は、行政行為の効果を発生が“不確実な事実”に係らしめる意思表示です。運転免許の有効期限は年月日で記載されますので、期限の到来は“確実な事実”です。ですから、“条件”ではなく“期限”です。

肢4 行政法学上の特許

“特許”は、本来私人が持っていない独占的権利や地位を特定の私人に与える行為です。自動車の運転は本来誰でもできることです。しかし、公共の安全などの理由から運転を法令で禁止しておいて、運転免許の取得という条件を満たせば禁止を解除します。ですから、“特許”ではなく“許可”です。

肢5 都道府県公安委員会と国家公安委員会

都道府県の公安委員会は国の国家公安委員会とは直接的な関係はありませんし、地方支分部局でもありません。

 

 

| まとめ

 

1 行政事件訴訟関係では訴えの利益が重要分野!

2 原告適格や立証責任も軽く勉強が必要!

3 行政行為の行政法学上の分類は丸暗記!



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