行政書士試験の振り返り 問題23・24

2020年も11月8日(日)に行政書士試験が行われました。合格発表は2021年1月27日(水)でした。

合格された方、おめでとうございます!登録をして行政書士としてがんばろう!と思われる方もいらっしゃると思います。よろしくお願いします。

惜しくも不合格の方、お疲れ様でした。2021年の試験も受験しようと思われる方は、どうぞこのブログの試験問題検討ページをご覧になってください。試験合格にお役に立てると嬉しいです。

さて、2020年の行政書士試験の問題を振り返ってみたいと思います。記述式が終わりましたので、択一式の問題を考えていきます。著作権に引っかかる問題は除外します。今回は2問とも 地方自治法です。

 

 

| 問題23 正解肢5

 

地方自治法の自治事務と法定受託事務に関する問題です。この分野は苦手な受験生が多いのではないでしょうか。

肢1 自治事務

自治事務は法定受託事務以外の事務のことです(地方自治法2条8項)。自治事務として法律で定めれていなくても多くの自治事務があります。

肢2 自治事務による行政処分の要件変更

地方公共団体は法律の範囲内で条例を定めることができます(地方自治法14条1項)。ですから、法律で定められている処分の要件を条例で変更することはできません。法律で定めた要件を変更と条例で法律を変更できることになってしまいます。

肢3 法定受託事務

普通地方公共団体は、法定受託事務に関しても自治事務に関しても、法律や政令の根拠なく国や都道府県の関与を受けることはありません(地方自治法245条の2)。

肢4 自治紛争処理委員

自治紛争処理委員は自治事務に関する紛争を処理するための委員です。必要があるときだけ委員の仕事をすればいいのですから非常勤になっています(地方自治法251条3項)。常勤の時事紛争処理委員をおく必要はありません。

肢5 自治事務の違法の勧告

都道府県知事は、市町村長の自治事務に法令違反などがある場合、是正や改善の勧告をすることができます(地方自治法245条の6第1号)。

 

 

| 問題24 正解肢5

 

地方自治法の住民訴訟に関する問題です。法令または判例の内容を問う問題です。

肢1 住民訴訟の承継(最判S55.2.22)

原告が死亡すると住民訴訟は終了します。訴訟を承継することはできません。

肢2 住民訴訟の提起

住民訴訟が提起できるのは住民監査請求をした住民です(地方自治法242条の2第1項)。また、住民監査を請求できるのは普通地方公共団体の住民です(地方自治法242条1項)。ですから、財務会計行為の時点で住民である必要はありません。住民監査請求をするときに住民で、住民監査請求をした人が住民訴訟を提起できます。

肢3 住民監査請求の要件

肢2で書いたとおり、住民監査請求をするための要件は普通地方公共団体の住民であることだけです。住民であれば1人でも住民監査を請求することができます。

肢4 不当利得返還請求権の放棄(最判H24.4.20)

普通地方公共団体の有する不当利得返還請求権は、議会の議決によって放棄することができます。ただし、議会の議決が裁量権の範囲の逸脱・濫用にあたる場合には権利放棄の議決は無効になります。

肢5 住民訴訟の訴訟費用(最判H21.4.23参照)

住民訴訟で勝訴した住民は、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当額を普通地方公共団体に請求することができます(地方自治法242条の2第12項)。相当額は、住民訴訟を担当したことの報酬として妥当な金額とされています。

 

 

| まとめ

 

1 自治事務は法定受託事務以外の事務!

2 条例の制定は法律の範囲内だけ!

3 住民訴訟は住民監査請求が前提!



ブログランキングに参加しています。ボタンをクリックしていただけると更新の励みになります。右のサイドバーからもぜひ!(スマホの方は下部のバナーから!)


にほんブログ村 企業ブログへ
Translate »