宅建士試験の振り返り(2020年度10月)問41・42

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は、宅建業法の重要事項説明書と八種制限です。

 

 

| 2020年10月試験 宅建業法

 

1 問41 正解肢3

重要事項説明書(35条書面)と重要事項説明に関する問題です。

肢1 宅建士の記名・押印

重要事項説明書には宅建士の記名・押印が必要です。

肢2 重要事項説明者

肢1に書きましたとおり、重要事項説明書には宅建士の記名・押印が必要です。また、重要事項を説明するのは宅建士であればOKです。専任の宅建士である必要はありません。

肢3 宅建士証の亡失と重要事項説明

宅建士証を失くしてしまったときは、宅建士証を提示できませんので重要事項説明をすることができません。

肢4 重要事項説明をする場所

重要事項を説明する場所の規制はありません。どこで重要事項説明をしてもOKです。

2 問42 正解肢4

宅建業者が自ら売主となって売買をする場合に関する問題です。いわゆる八種制限と言われるものです。

肢1 不適合責任の期間に関する特約

民法上、債権の消滅時効は行使できることを知った時(契約不適合を知った時)から5年間、行使できる時(引渡の時)から10年間です。また、契約不適合を発見してから1年以内に売主に通知をしなければ、契約不適合責任を追及することができません。宅建業法では、原則として民法の規定より買主に不利になる特約は無効です。ただし、通知期間を引渡時から2年以上とする特約は有効です。本肢では、契約不適合を発見してから2年とする特約ですから、宅建業法の例外には該当しません。

肢2 工事完了前の売買契約の手付金保全措置

未完成物件の場合、手付金等の保全措置が不要になるのは手付金が代金の5%以下で1000万円以下の場合です。“手付金等”には引渡までに支払われる中間金なども含まれます。本肢を見ると、代金5000万円×5%=250万円ですから、保全措置をせずに手付金200万円を受領することはできます。しかし、保全措置をせずに中間金300万円は受領することはできません。“手付金等”が合計で500万円になってしまうからです。

肢3 工事完了後の売買契約の手付金保全措置

完成物件の場合、手付金等の保全措置が不要になるのは手付金が代金の10%未満で1000万円以下の場合です。“手付金等”に中間金等を含むことは同じです。ただし、この規制は取引相手が宅建業者である場合には適用されません。本肢の場合は、保全措置をせずに手付金800万円を受領することができます。

肢4 不適合責任を排除する特約

肢1に書きましたのとおり、民法の規制を宅建業法で修正を加えています。契約不適合責任を一切負わないとする特約は、買主に不利になる特約ですから無効です。無効になると民法の原則に戻ります。ですから、契約不適合責任は引渡日から10年間負うことになります。2年ではありません。

 

 

| まとめ

 

1 重要事項説明書には宅建士の記名・押印!

2 契約不適合責任は宅建業法で修正あり!

3 手付金の保全措置は工事完成前後の制限を暗記!



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