2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。
前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は、宅建業法の従業者名簿・証明書とクーリング・オフです。
| 2020年10月試験 宅建業法
1 問39 正解肢4
従業者名簿と従業者証明書に関する問題です。細かい分野ですがそれほど難しくないと思います。正解するには覚えているかどうかだけが分水嶺です。
肢1 従業者名簿の閲覧請求
取引関係者から従業者名簿の閲覧請求には正当な理由がない限り拒んではいけません。取引関係者以外からの閲覧請求を拒むことはできます。
肢2 従業者証明書の携帯
従業者証明書は従業員全員に携帯させる義務があります。宅建士証の携帯とは別の義務です。従業者証明書も従業者名簿と同様に取引関係者から提示を求められたら提示しなければいけません。
肢3 従業者名簿の備付
従業者名簿は事務所ごとに備えます。退職した従業員については、従業者でなくなった年月日を記載しなければいけません。ですから、従業者名簿から退職者の情報は記載されません。備付期間は10年間です。
肢4 一部の従業員の証明書の携帯
肢2で書きましたとおり、従業者全員に従業者証明書を携帯させなければいけません。非常勤役員や一時的に雇用したパート・アルバイトでも同様です。
2 問40 正解肢2
宅建業者が売主になる場合のクーリング・オフに関する問題です。
肢ア 申込み場所と起算日
事務所等以外で申し込みや契約をしたときにはクーリング・オフができます。期間は、クーリング・オフの書面による告知日から8日以内、物件の引渡しと代金全額の支払いが終わるまででのどちらか早い時期です。本肢は“告げられた日の翌日から起算して”の部分が間違いです。
肢イ 申込み場所と契約の履行の着手
肢アで書きましたとおり、クーリング・オフの期間は、書面の告知日から8日以内、または物件の引渡しと代金全額の支払いが終わるまでです。契約の履行に着手したとしても物件の引渡しと代金全額の支払いが終わるまではクーリング・オフで契約の解除ができます。
肢ウ 申込み場所と契約解除禁止の特約
クーリング・オフを排除する特約は無効です。買主に有利になる特約は有効です。
肢エ 申込み場所と契約場所
“事務所等”には継続的業務施設で専任宅建士の設置義務がある場所も含まれます。また、契約を締結した場所は喫茶店ですが、申込み場所が事務所等ですのでクーリング・オフによる契約の解除はできません。申込みをした場所が優先されます。
| まとめ
1 従業者証明書は従業員全員が携帯!
2 取引関係者からの閲覧。提示請求は拒めない!
3 クーリング・オフは場所と期間に注意!