宅建士試験の振り返り(2020年度10月)問37・38

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は、宅建業法の契約書と媒介契約です。

 

 

| 2020年10月試験 宅建業法

 

1 問37 正解肢1

宅建業者が自ら売主になる場合の契約書(37条書面)に関する問題です。個数問題です。“なし”という選択肢もありますので注意が必要です。

肢ア 買主への説明義務

宅建士による買主への説明義務があるのは重要事項説明書(35条書面)です。重要事項の説明は専任の宅建士である必要はありませんし、そもそも契約書(37条書面)は説明の義務がありません。ただ、実務では間違いを失くしてトラブルを防ぐために説明書の読み合わせをします。

肢イ 供託所に関する事項の記載

供託所に関する事項は重要事項説明書に記載して説明します。契約書に記載する必要はありません。

肢ウ 宅建業者への遅滞ない交付

契約書に関することは取引相手が宅建業者であったとしても通常の場合と変わりはありません。記載内容も交付についても全く同じです。違いがあるのは重要事項説明です。取引相手が宅建業者の場合には重要事項説明書を交付すれば重要事項説明をする必要はありません。

肢エ 宅建業者への引渡時期等の記載

肢ウで書きましたとおり、取引相手が宅建業者であっても通常と変わりはありません。ですから、売買の場合は引渡の時期や移転登記の申請時期が必要的記載事項になっています。

2 問38 正解肢4

一般媒介契約に関する問題です。媒介契約は試験でよく出題されるだけでなく、実務でもよく取り扱います。しっかりと理解しておきたい分野です。

肢1 交付書面への宅建士の記名・押印

媒介契約書面には宅建士の記名・押印は必要ありません。宅建業者の記名・押印が必要です。

肢2 価額意見の根拠の書面明示

宅建業者が依頼者へ価額の意見を述べるときは根拠を明らかにしなければいけません。根拠を明らかにすればいいだけですので、書面でなくても口頭で説明をすればOKです。

肢3 指定流通機構への登録内容

一般媒介契約のときには指定流通機構(レインズ)に登録する必要はありません。登録をすることはできます。専任媒介契約や専属専任媒介契約のときには登録をする義務があります。

肢4 有効期限・解除の記載

媒介契約の有効期間と解除については書面に記載しなければいけません。一般媒介の場合であっても同じです。異なるのは、一般媒介の場合には契約の有効期間や更新の制限がないという点です。

 

 

| まとめ

 

1 取引相手が宅建業者でも契約書の内容や交付は同じ!

2 一般媒介契約ではレインズへの登録義務はなし!

3 媒介契約書面には宅建士の記名・押印は不要!



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