宅建士試験の振り返り(2020年度10月)問29・30

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は、宅建業法の媒介契約と報酬です。

 

 

| 2020年10月試験 宅建業法

 

1 問29 正解肢3

媒介契約に関する問題で、個数問題です。住宅の売買の媒介です。

肢ア 専任媒介契約と指定流通機構

専任媒介契約を締結したら指定流通機構(レインズ)に登録しなければいけません。登録後には登録証明書が発行されますので、それを売主に渡します。レインズ関連の知識は試験だけでなく実務でも大切です。

肢イ 媒介契約書への記載事項

媒介契約書への記載事項は9つあります。(1)宅地・建物の特定に必要な表示、(2)売買の価格、(3)専任媒介・一般媒介の別、(4)有効期間や解除に関する事項、(5)レインズへの登録に関する事項、(6)報酬に関する事項、(7)契約違反に対する措置、(8)標準媒介契約約款に基づくか否かの別、(9)あっせんの有無、の9つです。標準媒介契約約款に基づくか否かの別は媒介契約書への記載事項になっています。

肢ウ 専任媒介契約の自動更新

専任媒介契約の場合には、媒介契約の有効期間は最長3カ月で、自動更新は認められません。ただし、期間満了時に依頼者から更新の申出があれば更新が可能です。

肢エ 専属専任媒介契約の業務処理状況の報告

専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した場合には、一定期間ごとに業務処理状況を依頼者へ報告する義務があります。専任媒介契約のときには2週間に1回以上、専属専任媒介契約のときには1週間に1回以上の業務処理状況を報告しなければいけません。

2 問30 正解肢4

宅地建物取引業者が受領する報酬に関する問題です。報酬は試験でも実務でも超重要分野です。

肢1 仲介手数料の計算

売買代金が5,000万円の場合には、仲介手数料は(3%+6万円)×1.1です。計算すると、171万6,000円。代理の場合には仲介手数料の倍ですから、343万2,000円です。ただし、媒介の場合の報酬は売主側と買主側の両方を合わせて、仲介手数料の2倍が上限です。ですから、本肢ではAとBの報酬額を併せて343万2,000円の報酬が上限です。

肢2 依頼者の承諾時期

賃貸借の仲介手数料は、貸主側と借主側の両方合わせて借賃の1か月分が上限です。ただし、依頼者の承諾がある場合には承諾した依頼者から借賃の1か月分を受領することができます。この承諾は媒介契約時になければいけません。報酬契約時では遅すぎます。

肢3 報酬の上限額

居住用建物以外の賃貸借の仲介手数料は、原則として合わせて借賃の1か月分が上限です。この点は居住用建物の賃貸借と同じです。ただし、居住用以外の場合には、権利金の額を売買代金とみなして算定することができます。借賃を基礎とすると、25万円×1.1=27万5,000円です。権利金を基礎とすると、(330万円÷1.1×4%+2万円)×1.1=15万4,000円です。この15万4,000円は、貸主・売主の両者から受領することはできますが、どちらか一方から30万8,000円を受領することはできません。

肢4 賃貸借の報酬の負担

賃貸借の仲介手数料は、合わせて借賃の1.1か月分(税込)以内であれば、貸主・借主のどちらから受け取ってもいいし、依頼者の一方からだけ受け取ることもできます。

 

 

| まとめ

 

1 レインズ関連の知識は実務でも大切!

2 専任媒介契約の自動更新は不可!

3 仲介手数料の計算は試験でも知識でも超重要!



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