宅建士試験の振り返り(2020年度10月)問31・32

2020年の宅地建物取引士試験は、新型コロナウイルス感染症への対応のため例年と異なる試験形態になってしまいました。都市圏では受験会場が確保できなかったため、10月の試験を受験できない受験生がいます。2020年は10月と12月の2回、試験が行われることになりました。

前回から引き続き2020年10月試験の問題を振り返ってみたいと思います。今回は、宅建業法の重要事項説明書と売主の八種制限です。

 

 

| 2020年10月試験 宅建業法

 

1 問31 正解肢1

重要事項説明での説明内容についての問題です。試験ではとても重要な分野です。実務では重要事項説明書の記載内容は会社などのひな形を使うことが多いですのでそれほど知らなくても何とかなるかもしれません。

肢1 損害賠償額の予定・違約金に関する事項

損害賠償額の予定または違約金に関する事項は、土地・建物の売買・賃貸の全ての物件で説明事項になっています。

肢2 石綿の調査

建物の売買・賃貸では、石綿(アスベスト)の調査がされていて記録があるときは、記録の内容を説明しなければいけません。調査がされていないや記録がない場合には、調査結果がないことを説明すればOKです。

肢3 建物状況調査

建物の売買では、1年以内に建物の状況調査を実施している場合には、長さ結果の概要を説明しなければいけません。また、記録書類の保存状況についても説明する義務があります。建物の賃貸借の場合には、調査結果の概要を説明する義務はありますが、書類の保存状況についての説明義務はありません。

肢4 マンションの専有部分の用途制限

マンションでは、専有部分の用途制限、たとえば居住用のみで利用可とか、ペットの飼育は禁止とか、ピアノの演奏は午後6時までなど使い方に制限がある場合、売買でも賃貸借でも説明義務があります。賃貸借での説明義務があるのは、専有部分の用途制限以外には管理委託についてです。

2 問32 正解肢1

宅建業者が売主になる場合の八種制限についての問題です。

肢1 解約手付

解約手付が交付されている場合、相手方が履行に着手した後では手付金を放棄したり手付金の倍額を支払ったりして解約をすることはできません。相手方が履行に着手する前であればOKです。本肢では、Bが履行に着手してAが解約する場面ですから、Aは手付金の倍額を支払っても解約はできないことになります。

肢2 クーリングオフ

クーリングオフでの解約では損害賠償請求や違約金請求はできません。また、クーリングオフに関する特約は、買主に有利な特約は有効ですが買主に不利な特約は無効です。クーリングオフで解除するときは手付金を返還しない旨の特約は、買主に不利な特約ですので無効です。

肢3 割賦金の滞納

売主の取りうる手段は2つです。(1)解除、(2)期限の利益を放棄して残金を一括返済、の2つです。これらの手段をとるには、30日以上の期間を定めて催告をして、その期間内に履行がなされない場合だけです。直ちに解除をすることはできません。

肢4 手付金の保全措置

手付金の保全措置は、手付金の金額が少ない場合には必要ありません。保全措置が不要になる金額は未完成物件と完成物件で異なります。未完成物件の場合は代金の5%以下かつ1,000万円以下の場合です。完成物件の場合は代金の10%以下かつ1,000万円以下の場合です。本肢では未完成物件ですから、5,000万円×5%=250万円以下の場合に手付金の保全措置をとらないことができます。手付金の保全措置なしに200万円の手付金を受領することはできます。

 

 

| まとめ

 

1 重要事項説明書や重要事項説明は試験で大切!

2 八種制限は超重要!

3 クーリングオフは細かいところまで丸暗記!



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