一時ものすごく流行った民泊。2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの旅行者が大幅に減ったことで、街中の民泊事業は利用者が減って苦悩しているようです。持続化給付金や休業要請外支援金を受給してもどうにもならず廃業を検討している事業者もいらっしゃいます。
民泊事業者とセットなのが住宅宿泊管理業者。廃業される民泊事業者の中には住宅宿泊管理業者への委託費が支払えない方もいらっしゃるようです。今回は住宅宿泊管理業者について書きたいと思います。
| 住宅宿泊管理業者ってなに?
住宅宿泊管理業者は、民泊事業者と管理受託契約を締結して、利用者に利用方法を説明したり宿泊者名簿を作ったり掃除をしたり苦情を受け付けたりする業者です。
民泊をする場合に必ず委託が必要になるわけではありませんが、街中で営んでいる多くの民泊では住宅宿泊管理業者へ業務を委託することになります。
委託が必要でない場合は、たとえば民泊事業者が自ら住宅宿泊管理業務を行う場合や届出住宅に在宅中に人を宿泊させる場合です。
【住宅宿泊管理業者への委託が必要な場合】
1 届出住宅の居室数が5を超える場合
2 届出住宅に人を宿泊させる間に不在になる場合
住宅宿泊管理業者の名簿は国土交通省のホームページで公開されています。近畿地方整備局の管轄する住宅宿泊管理業者はこちらです。
| 住宅宿泊管理業者になるには
住宅宿泊管理業者になるには登録をしなければいけません。住宅宿泊管理業者登録申請書に必要事項を記入して、必要な添付書類と併せて国土交通大臣に提出します。実際の提出先は地方整備局などになります。
登録申請書に記入する事項は法人と個人で少し異なりますが、ここでは個人の記入事項をご紹介します。
1 商号・名称・氏名、住所
2 営業所又は事務所の名称と所在地など
3 事業者が未成年の場合、法定代理人の氏名・住所など
登録申請書に記入する内容はあたりさわりのない事項だけです。大切なのは添付書類です。添付書類は次のとおりです。こちらも個人事業で必要な添付書類です。
1 所得税の直前1年の納付を証する書面
2 市町村の発行する身分証明書
3 登録申請者の履歴書(指定様式)
4 財産に関する調書(指定様式)
5 欠格事由に該当しない誓約書
6 住宅宿泊管理業に必要な体制が整備されていることを証する書類
7 住民票の抄本
少しややこしいのは、住宅宿泊管理業に必要な体制が整備されていることを証する書面でしょうか。これには次のものが必要になります。
1 次の4つのうちのいずれか1つ
・住宅の取引・管理に関する2年以上の実務経験が記載された職務経歴書
・宅地建物取引士証の写し
・管理業務主任者証の写し
・賃貸不動産経営管理士証の写し
2 苦情等に対応できる人員体制図
3 遠隔で業務を行うことを予定したいる場合は機器の詳細を記載した書面
4 再委託をする場合には再委託先に求める人員体制の要件を記載した書面
宅建士や管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士などでない方が多いですから、実質的には2年以上の実務経験が必要になります。個人事業として住宅宿泊管理業者になるためにはこの要件が一番厳しいかもしれませんね。
| まとめ
1 民泊を管理するのが住宅宿泊管理業者!
2 住宅宿泊管理業者になるには登録が必要!
3 宅建士や管理業務主任者などでなければ2年以上の実務経験!