表現の自由は全7回にわたって書きました。精神的自由の1つとしての表現の自由ですが、精神的自由は思想良心の自由から表現の自由までかなり多くなってしまいました。
今回からは経済的自由権について書きたいと思います。経済的自由は精神的自由よりもかなり分量が少なくなります。よろしくお願いします。
| (基本的)人権の整理
基本的人権には様々な種類があります。ただ、大きく分けると4種類だけです。
1 自由権
2 社会権
3 参政権
4 受益権
この中で自由権は精神的自由権、経済的自由権、人身の自由の3つに分けられます。具体的な人権をいくつか挙げてみます。
1 自由権
(1)精神的自由権
・思想・良心の自由
・信教の自由
・表現の自由
・学問の自由
(2)経済的自由権
・職業選択の自由
・財産権の保障
(3)人身の自由
・奴隷的拘束からの自由
・適正手続きの保障
2 社会権
・生存権
・教育を受ける権利
・労働基本権
3 参政権
4 受益権
・請願権
・裁判を受ける権利
・国家賠償請求権
・刑事補償請求権
今回から、基本的人権→自由権→経済的自由権について書いていきます。
| 職業選択の自由ってなに?
職業選択の自由は、職業を選択する自由と選択した職業を遂行する自由(営業の自由)です。職業選択の自由は経済的自由権の1つですが、経済的自由権は公共の福祉の制約を受けることが憲法の明文で書かれています。
憲法22条
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
精神的自由にはこのような文言は付いていませんでした。この違いは学説では色々と言われていますが、行政書士試験には関係ありません。気になる方は内在制約説や外在制約説、内在・外在制約説で調べてみてください。
行政書士試験で関係があるのは、経済的自由権は政策的な制約がなされることがあるということです。
| 経済的自由権への規制は2種類
経済的自由権は政策的な制約ができると書きましたが、これに関係するのが、積極目的規制と消極目的規制です。
積極目的規制は、国民の安全を守るために必要最小限の規制をすることです。対して、消極目的規制は、調和のある経済発展のため社会的弱者を保護する規制です。イメージ的には国家からの自由と国家による自由のような感じですね。
もう少し具体的な例を挙げてみましょう。
消極目的規制は、たとえば弁護士になりたい人は一生懸命勉強して司法試験に合格し研修を修了すればだれでも弁護士になれます。国家試験に受かるという規制だけを乗り越えればOKです。このように必要最低限の規制を消極目的規制と言います。
積極目的規制は、たとえば、大型スーパーの建設場所についての規制です。大型スーパーがどこにでも建設されてしまうと、商店街などの小さな店舗は巨大な資本に負けてつぶれてしまいます。そこで、国家が介入をして大型スーパーの建設場所を限定するのです。このような規制を消極目的規制と言います。
| まとめ
1 職業選択の自由は経済的自由権!
2 消極目的規制は必要最小限の規制!
3 積極目的規制は弱者保護の規制!