前回まで5回にわたって表現の自由シリーズを続けてきました。まだまだ続きます。今回は第6回になります。
第6回は、集会の自由について書きたいと思います。
| 集会の自由って?
集会とは、特定又は不特定の多数人が一定の場所に集まる一時的かつ事実上の集合体を言います。分かりにくい定義ですが、多数の人が一定の場所に一時的に集まると集会と呼ばれます。集会の自由には次の2つの側面があるとされます。
1 公権力による制限や干渉を排除する自由権的側面
2 公権力に対して公共施設の利用を要求できる請求権的側面
集会の自由に関連して、パブリックフォーラム論と呼ばれる考え方があります。パブリックフォーラム論は、公共の場所を利用する場合はその場所における他の利用を妨げることによっても集会の自由は保障されるとする理論です。この理論では場所を3つに分類しています。
1 パブリックフォーラム(例:道路、公園、公会堂など)
厳格な規制手段を除いて、原則として表現活動の規制は許されません。
2 セミパブリックフォーラム(例:公立学校、公立図書館など)
平穏な言論・集会が認められます。
3 ノンパブリックフォーラム(例:公立病院、福祉事務所、刑務所など)
平穏な言論・集会であっても、他の代替チャンネルが存在する場合には排除できます。
最高裁判所がパブリックフォーラム論を採用した例はないようですが、このような考え方があることを知っておくと思考の役に立つかもしれません。
| 集会の自由の限界
集会の自由も外部に対する表現行為である以上、公共の福祉による制約を受けます。たとえば、(1)公物管理権に基づく規制、(2)公安条例による規制、(3)道路交通法による規制、の3つがあります。
1 公物管理権に基づく規制
上尾市福祉会館事件(最判平8・3・15)では、主催者が平穏に行おうとしているのに、反対勢力による混乱が予想されている場合には、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないほど特別な事情がある場合には、集会の利用を拒否することができると判示しました。一般的に特別な事情は認められませんので、反対勢力が妨害のために紛争を起こすと予想されることを理由に公民館等の利用を拒否することはできません。
2 公安条例による規制
公安条例では、集会や集団行動などの集団行動に対しては届出制や許可制を採っていることが多いです。事前に行政庁が表現行為を審査するという点で検閲にあたらないか問題になりますが、判例は合憲としています。ただ、公安条例による規制は時・場所・方法を規制する場合のみ合憲で、表現内容について規制すると検閲となり違憲になります。
判例としては、新潟県公安条例事件(最大判昭29・11・24)や東京都公安条例事件(最大判昭35.7.20)があります。
3 道路交通法による規制
道路交通法では、集会等を不許可とする場合を明確かつ合理的な基準によって厳格に制限しており、必要かつ合理的な制限として規制は憲法上是認されると判示されています(最判昭57・11・16)。
| まとめ
1 集会の自由には自由権的側面と請求権的側面あり!
2 パブリックフォーラム論は試験で判断基準になるかも!
3 集会の自由あ公共の福祉による制約を受けます!