罰金の看板は有効?

月極駐車場で“契約者以外の無断駐車 罰金3万円”という看板を見かけませんか。無断で駐車した場合には、3万円を支払わなければいけないのでしょうか。

国民生活センターでも見解を公表しています。この看板を設置すること自体は問題ないのかも含めて、私アシュラの思うところを書きたいと思います。

 

 

| 罰金3万円の“罰金”って?

 

罰金は刑罰の一種で、国家が科すものです。一般人が一般人に対して罰金を徴収することはできません。ですので“罰金3万円”の“罰金”の文言は、実は罰金を表しているわけではありません。

では、どういう意味なのでしょうか。無断で他人の土地を占有した場合には、民法上の不法行為(709条)が成立する可能性があります。不法行為の損害は、一般的には不法行為によって生じた損害であって、不法行為があった時となかったときの差のことです。

たとえば、30分100円、1日最大1000円の時間貸しパーキングを例にとってみます。このコインパーキングに無断駐車を3時間した場合、コインパーキングの運営主は100円×6=600円の利益が得られていたことになります。無断駐車では600円を得られませんでしたので、損害額は600円ということになります。

また、コンビニエンスストアでの無断駐車はどうでしょうか。無断駐車によって駐車場が満車になっていて、コンビニエンスストアで購入をできたはずのお客さんが駐車・購入できなかった場合には、無断駐車の時間に応じた客単価が損害になっていると考えられます。

このように無断駐車という不法行為によって生じた損害は賠償しなければいけませんが、その名目は損害賠償であって“罰金”ではありません。

 

 

| 罰金3万円の看板で契約成立?

 

3万円を請求する名目が“罰金”ではなく不法行為による“損害賠償”で“3万円”を支払う必要はないと書きました。しかし、無断駐車をする場合には3万円で契約をするという申し込みだと考えることもできます。

つまり、看板は3万円での契約の申込の意思表示で、無断駐車をした人は納得をして契約の申込を承諾したと考えるのです。そうすると、看板を設置した人と無断駐車をした人の間では、3万円で無断駐車をする契約が成立したとすることができます。

ただ、実際には、看板を設置した人は契約の申込のつもりもないですし、たとえ契約の申込の意思があったとしても看板自体は一方的な意思表示で無断駐車をする人は3万円での契約を承諾したとは思えません。ですから、契約は成立していないのではないでしょうか。

このようなことから、3万円を支払わなければいけない可能性は低いと思います。ただし、実際に生じた損害額は支払わなければいけません。

 

 

| 損害賠償額の予定じゃないの?

 

看板の意味が契約の申込だけど無断駐車契約は成立していないとすると、看板の意味はどのように考えればいいのでしょうか。1つ思いつくのは“損害賠償の予定”です。

民法420条1項には“当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。”と規定されています。

この条文は契約があったことが前提となっています。契約がなければ債務が存在せず“債務の不履行”を考えることができないからです。前述のとおり、看板を設置した人と無断駐車をした人との間では“無断駐車契約”が成立したとは考えづらいため、債務の不履行についての損害賠償額の予定だとは考えることができません。

では、不法行為による債務の不履行についての損害賠償額の予定と考えることはできないでしょうか。420条1項を不法行為に適用する条文はなく、また不法行為には債務不履行のときのような合意があるわけではありませんから一方的に責任を負わせることは正当ではないと考えられています。

このようなことから、罰金3万円の看板では損害賠償額の予定と考えることはできません。3万円を支払わなければいけない可能性は低いと思います。ただし、実際に生じた損害額は支払わなければいけません。

 

 

| まとめ

 

1 “罰金3万円”は“罰金”じゃない!

2 3万円を支払わなければいけない可能性は低い!

3 実際の損害額を賠償する必要あり!



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