損害賠償請求ってなに?(不法行為編)

前回の記事“罰金の看板は有効?”では、他人の土地に無断駐車をした場合には不法行為による損害賠償をしなければいけないということを書きました。

では、不法行為って何でしょうか。また、損害賠償ってどこまで賠償しなければいけないのでしょうか。

今回は不法行為による損害賠償について書きたいと思います。

 

 

| 不法行為ってなに?

 

不法行為は民法709条に規定されています。不法行為というのは、故意や過失で違法な行為をして他人に損害を与えることです。不法行為があると被害者は受けた損害を加害者に請求することができると規定されています。

一般的な不法行為が成立する要件は次の6つがあります。

1 加害者の故意または過失(主観的要件)

“故意”はいわゆる“わざと”のことです。損害が発生することが分かっていながらあえて侵害行為をすることです。“過失”はいわゆる“誤って”のことです。損害の発生を予見して回避すべきだったのに不注意で予見したり回避したりしなかった場合のことです。

2 権利の侵害行為(客観的要件)

一般的には何かを“する”ことですが、たとえば赤ちゃんにミルクを与えることを含めて預かった場合にミルクを与えないことも侵害行為になります。この場合には何かを“しない”ことが侵害行為になります。

3 損害の発生(客観的要件)

いくらかの損害が発生する必要があります。しかし、あまりにも損害が少ない場合には不法行為が成立しないことがあります。たとえば、ティッシュ1枚を盗んだ場合には損害があまりにも少ないので不法行為が成立しないとされた事例があります。

4 権利の侵害行為と損害の発生との間の因果関係(客観的要件)

権利を侵害したから損害が発生したという因果関係が必要です。侵害行為と全く関係のない損害が発生していても不法行為は成立しません。

5 加害者の責任能力(主観的要件)

加害者に責任能力がない場合には、たとえ不法行為が成立しても損害を賠償することができません。

6 行為の違法性(客観的要件)

権利への侵害行為は原則として違法性がありますが、正当防衛や緊急避難など違法性を阻却する事由に該当する場合には不法行為が成立しません。

 

 

| 損害賠償の請求方法は?

 

不法行為の場合、まずは加害者を特定しなければいけません。誰が損害を与えたのかが分からなければ請求をする相手が分かりません。私有地への無断駐車の場合には、陸運局で車のナンバーから所有者を調べることができます。ただ、所有者以外が無断駐車をしていた場合には加害者を突き止めるのが難しくなります。

次に、損害額を計算します。月極や時間貸しの駐車場であれば比較的計算が楽ですが、飲食店などの店舗の場合には少し面倒になります。客単価×無断駐車時間で計算をすることになると思います。精神的損害も請求することができます。

加害者と損害額が分かれば、相手と話し合いをします。いわゆる示談交渉です。お互いに納得したら賠償金の支払いを受け取ることができます。

もし、話し合いが決裂した場合には訴訟を提起することになります。損害賠償請求訴訟をする場合には弁護士に相談してください。

 

 

| 損害賠償の請求はいつまでできるの?

 

不法行為の損害賠償請求をする期間は限定されています。大きく分けて2つあります。“時効”と“除斥期間”です。

1 時効

不法行為の損害賠償請求権の時効は、“加害者及び損害を知ってから3年”です。ポイントは損害を知っていたとしても加害者が分からなければ時効は進行しないところです。損害だけでなく加害者が分かってから3年間、損害賠償を請求することができます。

2 除斥期間

除斥期間は聞きなれない言葉だと思います。時効は3年間ですが、加害者がずっと分からない場合にはいつまでたっても請求ができません。加害者が分からないまま30年も50年も経過すると、不法行為の痕跡もなくなってきますし、加害者を特定することも難しくなります。ですから、損害が発生してから20年経過すると、損害賠償請求をすることができなくなります。この期間を除斥期間と言います。

 

 

| まとめ

 

1 わざとじゃなくても不法行為は成立!

2 損害賠償請求をするには加害者と損害額の特定が必要!

3 時効は3年でも不法行為時から20年経つと請求不可!



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