2019年行政書士試験 民法検討 (問題33~問題35)

2019年の行政書士試験が11月10日(日)に行われてから1か月以上が経ちました。受験生の皆さんはいかがお過ごしでしょうか。合格の発表は2020年1月29日(水)です。待ち遠しいですね。

合格発表までの間に2019年度の行政書士試験の択一の検討をしたいと思います。

今回は、2019年の問題33、問題34、問題35です。これで民法の択一の検討は終わりです。

 

 

| 行政書士試験の民法検討(問題33~35)

 

民法の択一は問題27~35の9問です。

 

【問題33】

準委任と事務管理に関する問題です。妥当でない肢を選びます。事務管理は不法行為や不当利得よりも勉強の優先度が低いですので、忘れてしまいやすい分野です。問題文を読んだら思い出せる程度に記憶を定着させておきたいところです。準委任と事務管理をきちんと分けて考えられるようになりましょう。全体的に基本的な問題です。

1 管理を頼まれていますので準委任の問題です。準委任は法律行為以外の委任ですので、内容としては委任と同じだと思って大丈夫です。委任の報酬は原則として無償ですので、特約がない限り報酬を請求することはできません。基本的な問題です。

2 管理を頼まれていませんので事務管理の問題です。事務管理の場合、管理者が本人にとって有益な費用を支払うと本人に対して費用の償還を請求できます。基本的な問題です。

3 管理を頼まれていませんので事務管理の問題です。事務管理の場合、管理者が本人にとって有益な債務を負うと本人に対して代弁済の請求ができます。基本的な問題です。

4 管理を頼まれていませんので事務管理の問題です。事務管理の場合、管理者が本人の名前で契約をすると無権代理になります。無権代理では本人の追認がない限り本人に対して契約の履行を求めることができません。無権代理というワンクッションがありますので、少し難しい問題です。

5 管理を頼まれていますので準委任の問題です。委任の場合、事前に費用の支払いを請求できます。基本的な問題です。

 

【問題34】

不法行為に関する問題です。妥当でない肢を選びます。要件が細かく、難しい問題だと思います。

1 JR東海の事件の判例問題です。過去問でも同じ判例が問われています。原則として監督義務者のような監督者責任を負いませんが、問題文に書かれているような特段の事情がある場合には監督者責任を負います。

2 肢2も判例問題です。運転経験の長い同乗者によって具体的な指示がなされていた場合には、一時的に同乗者と運転手の使用者関係が認められます。よって、同乗者は使用者責任を負います。

3 土地の工作物責任です。所有者は無過失責任ですので、擁壁に瑕疵がないと過失なく信じていたとしても工作物責任を負います。基本的な問題です。

4 占有補助者の不法行為の問題です。占有補助者が第三者に損害を与えた場合、所有者が責任を負います。占有補助者は所有者のために物を占有していますので、使用者と被用者のような関係ですから、所有者は責任から逃れられません。基本的な問題です。占有補助者はまとめておいて試験前に見直しましょう。

5 不法行為についての相当因果関係の問題です。有名な判例問題です。交通事故と被害者の死亡との間には当然相当因果関係がありますが、医師の医療ミスと被害者の死亡との間にも相当因果関係が認められ、二つの行為のどちらもが被害者の死亡という結果を招いたとされました。よって、交通事故の加害者と医療ミスをした医師には共同不法行為が成立します。

 

【問題35】

氏に関する問題です。組合せ問題です。妥当なものを選びます。基本的な肢と少し難しい肢が混ざっています。基本的な知識で正解を導ける問題です。

ア 夫婦別姓を希望する場合でも、婚姻届にはどちらか一方の氏を定めておかないと受理されません。基本的な問題です。

イ 離婚をすると氏は婚姻前の氏に戻ります。届出をすれば婚姻中の氏を称することができます。基本的な問題です。肢ウとの比較で覚えておきましょう。

ウ 復氏の届出をすれば、配偶者の死亡後に氏を元に戻すことができます。基本的な問題です。離婚の場合と死亡の場合では届出が逆になりますのでご注意ください。

エ 婚姻中に出生した子の氏を、離婚後の母の氏に変える場合には、家庭裁判所の許可が必要です。子は生まれたときから婚姻中の氏ですので、元に戻すという感覚ではなく氏を変えるという手続になります。少し難しい肢です。

オ 養子縁組と氏の関係はややこしいです。原則として、養子縁組をすると養子は養親の氏を称します。しかし、婚姻のときに氏を変えた人が、婚姻中に養子縁組をした場合、養親の氏を称する必要はありません。逆に、婚姻のときに氏を変えなかった人が、婚姻中に養子縁組をした場合、養親の氏を称する必要があります。この場合、配偶者も養親の氏を称します。難しい肢です。離縁した場合の氏はさらにややこしいですが、ここでは関係ないので割愛します。機会があればまとめたいと思います。試験直前に丸暗記をするところです。

 

 

| まとめ

 

1 管理を頼まれたら準委任、頼まれなかったら事務管理!

2 工作物責任と占有補助者はきちんと整理して覚えましょう!

3 氏の問題はややこしいので試験前に丸暗記!



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