行政書士事務所がパスポートを取り上げ!?

外国人にとって身分を証明するために必要なパスポート(旅券)。出入国時はもちろんのこと、転職や行政手続にもパスポートで身分を証明します。

ただ、大切なパスポートを常に持ち歩くと紛失や盗難のリスクがあります。そこで、ビザや出入国時のハンコが押されているページをコピーして持ち歩く人もいます。

紛失や盗難のリスク以外にも、外国人にはパスポートの管理について気を付けることがあります。

 

 

| パスポートを預かる雇用者

 

外国人の労働者が働いている事業所の中には、パスポートを預かるところがあります。ほとんどの理由が逃亡の防止だと思われますが、外国人労働者を強制的に働かせようとする意図がある事業所もあるのではないでしょうか。

近年、特に問題になったのは“技能実習生”についてです。安い賃金で長時間労働を強いているとして、技能実習生が逃亡するというニュースを耳にしたことがあると思います。このような事業所では技能実習生のパスポートを預かっていて、外国人は日本からの出国もままならず生活のためしかたなく不法残留になっている外国人がいるようです。

技能実習生については、2017年に施行された技能実習法でパスポートを勤め先などが預かることを禁止しています。罰則もあります。

ところが、一般の外国人労働者にはこのような規制はありません。厚生労働省が指針で注意喚起をしているだけです。もちろん罰則はありません。

このような状況下で、日本語学校がアルバイト禁止のためにパスポートを預かったり、行政書士事務所が外国人労働者のパスポートを預かったりしたことがニュースになっています。

 

 

| 行政書士事務所によるパスポートの預り

 

神奈川県にある行政書士事務所は、外国人向けに就労系在留資格の手続を仲介する事務所で、自らも外国人労働者を雇い通訳や翻訳の業務をさせています。代表行政書士は社会保険労務士事務所も開設しているようです。

日本語学校に通っていたフィリピン人女性が、就労系在留資格を得るためにこの事務所を訪れたところ、ここで働くことを勧められて働くことになったようです。そのときにパスポートを管理する契約を交わしていたことが、事の発端になりました。

フィリピン人女性は1年契約の契約社員で通訳や翻訳の仕事に従事していました。退職の意思とパスポートの返還を伝えて出勤していないそうですが、未払いの給与が30万円弱ありパスポートの返還もされていないとのことです。パスポートを管理する契約では退職後もパスポートを事務所が管理することになっているようです。

 

 

| 対応策は?

 

外国人労働者や技能実習生がパスポートを企業に預けてしまう原因には、日本語が十分に理解できないにもかかわらず、日本語で書かれた契約書にサインをしてしまうことにあります。

日本語学校に通う留学生や技能実習生にとって働き口の有無は死活問題ですし、下手をすると不法残留として強制的に母国に帰らされてしまいます。このような弱みに付け込んでパスポートを預かる企業があるのでしょう。

パスポートを預かって退職・転職させない、帰国させないというのは、技能実習生に限らず違法の可能性があります。ブラジル人労働者のパスポート返還請求を拒否して保管し続けた会社に対しては、1997年に神戸地裁姫路支部で返還要求があっても返還しないのは“公序良俗に反し許されない”と判断した裁判があります(平成7年 (ワ) 615)。

ただ、裁判をするのは費用も時間もかかりますから、生活に困窮している外国人労働者は提訴できませんし、裁判の途中でビザの期限が切れる可能性もあります。今後どんどん増えてくる外国人労働者の待遇をよくするためにも、気軽に相談でき解決まで導ける窓口が必要ですね。

 

 

| まとめ

 

1 技能実習生のパスポートの預りには刑事罰!

2 技能実習生以外のパスポートの預りは罰則なし!

3 行政書士事務所でもパスポートの預り事案が発生!



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