行政書士試験の記述は大丈夫? - 財産分与・嫡出否認の訴え・遺留分

2019年の行政書士試験は11月10日(日)に行われます。2019年度の試験の難易度は分かりませんが、出題ミスがなければ10%前後になるのではないでしょうか。

行政書士試験での一番のポイントは“記述式でどれだけ安定して得点ができるか”ではないでしょうか。受験生の皆さんは過去問や問題集で演習をしていることと思います。今回のシリーズは記述式試験(過去問)の解答への考え方を書きます。あくまでも私アシュラとして…ですので、ご了承ください。

今回が民法の最終回です。次回からは行政法を書きたいと思います。

過去問(2013年度以降)は行政書士試験研究センターのサイトにあります。

 

 

| 民法 - 財産分与

 

問題 (2016年度 第46問)

民法の規定によれば、離婚の財産上の法的効果として、離婚した夫婦の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。判例は、離婚に伴う財産分与の目的ないし機能には3つの要素が含まれ得ると解している。この財産分与の3つの要素の内容について、40字程度で記述しなさい。

 

問題文では離婚に伴う財産分与の目的ないし機能に関する“財産分与の3つの要素の内容”を問うています。

この問題は知らなければかなり難しいのではないでしょうか。ただ、やはりこの問題文にもヒントがあります。それは“目的ないし機能”の3つの要素という部分です。

まずは目的から。財産分与の目的は婚姻中に共同で得た財産の分配・清算です。

また、機能としては、離婚すると生活ができなくなるという心配があって離婚できないような状況を改善するために、生計の維持ができるようになるまでの経済的な扶養をするという意味合いがあります。

最後の1つですが、本来、財産分与と慰謝料は別のものです。財産分与は共同生活で得た財産の分配・清算ですし、慰謝料は精神的な損害の賠償です。しかし、財産分与の額や方法を決めるときには慰謝料を含めて決めることができるとされています。

 

“婚姻中の共同財産の清算、離婚後の一方の生計の維持、離婚に伴う精神的損害の賠償を含む。”(42字)

 

 

| 民法 - 嫡出否認の訴え

 

問題 (2015年度 第46問)

AとBは婚姻し、3年後にBが懐胎したが、その頃から両者は不仲となり別居状態となり、その後にCが出生した。Bは、AにCの出生を知らせるとともに、Aとの婚姻関係を解消したいこと、Cの親権者にはBがなること、およびAはCの養育費としてBに対し毎月20万円を支払うことを求め、Aもこれを了承して協議離婚が成立した。ところが離婚後、Aは、Bが別居を始める前から他の男性と交際していたことを知り、Cが自分の子であることに疑いを持った。このような事情において、Cが自分の子でないことを確認するため、Aは誰を相手として、いつまでに、どのような手続をとるべきか。民法の規定および判例に照らし、とるべき法的手段の内容を40字程度で記述しなさい。

 

問題文ではCが自分の子でないことを確認するため、Aは“誰を相手として”、“いつまでに”、“どのような手続きを取るべきか”を問うています。ですから、(1)相手は誰か、(2)いつまでにするべきか、(3)どのような手続きを取るべきかを書けなければ点数になりません。

男性から親子でないことを確認するための訴えには“親子関係不存在の訴え”と“嫡出否認の訴え”があります。通常、女性がこれらの訴えを提起することはしません。なぜなら、女性は分娩の事実によって親子関係が認められるからです。ただし、科学の発展によってこれらの常識が通じなくなってきています。たとえば代理出産や卵子提供などの場合です。

それはともかく、親子関係不存在の訴えと嫡出否認の訴えは何が違うのでしょうか。親子の関係を否定する場面を3つ挙げます。

1 婚姻中の妊娠・出産(推定される嫡出子)

2 婚姻前の妊娠・出産(推定されない嫡出子)

3 婚姻外の妊娠・出産、認知

親子関係不存在の訴えは“2婚姻前の妊娠・出産(推定されない嫡出子)”で親子関係を否定する場面です。嫡出否認の訴えは“1婚姻中の妊娠・出産(推定される嫡出子)”で親子関係を否定する場面です。

嫡出が推定される場合は嫡出否認の訴え、嫡出が推定されない場合は親子関係不存在の訴えを提起します。

本問では、婚姻中の妊娠・出産ですので嫡出否認の訴えを提起します。

嫡出否認の訴えは、法律上の父親のみが申立人で、申立て期限は出生を知ってから1年以内です。親子関係不存在の訴えはこのような制限はありません。これらは条文知識で数字なので知らないとどうしようもありません。

解答例 “出生を知った時から1年以内に”

解答例 “嫡出否認の訴えを提起する。”

次に、誰を相手に訴えを提起するかです。考えられるのは、母親、子供、母親と子供の3つです。ここで少し考えてみましょう。母親Bに親権があれば、子供Cを訴えると母親Bが法定代理人となり、相手方と同じ立場になります。とすれば、母親Bと子供Cの両者を相手にする必要はなく、母親Bか子供Cのどちらかを相手にすればよさそうです。

解答例 “BまたはCを相手として”

 

“BまたはCを相手として、Cの出生を知った時から1年以内に嫡出否認の訴えを提起する。”(41字)

 

 

| 民法 - 遺留分

 

問題 (2012年度 第46問)

相談者 「今日は遺言の相談に参りました。私は夫に先立たれて独りで生活しています。亡くなった夫との間には息子が一人おりますが、随分前に家を出て一切交流もありません。私には、少々の預金と夫が遺してくれた土地建物がありますが、少しでも世の中のお役に立てるよう、私が死んだらこれらの財産一切を慈善団体Aに寄付したいと思っております。このような遺言をすることはできますか。」

回答者 「もちろん、そのような遺言をすることはできます。ただ「財産一切を慈善団体Aに寄付する」という内容が、必ずしもそのとおりになるとは限りません。というのも、相続人である息子さんは、〔   〕からです。そのようにできるのは、被相続人の財産処分の自由を保障しつつも、相続人の生活の安定及び財産の公平分配をはかるためです。」

どのような請求によって、何について遺言を失効させるかを40字程度で記述しなさい。

 

問題文は穴埋め式です。やはり問題文にヒントが隠れています。今回は2つです。

1 必ずしも財産一切を慈善団体Aに寄付できるとは限らない

2 相続人の生活の安定及び財産の公平分配をはかるため

これ、問題文が少しおかしくありませんか?“相続人の生活の安定”というのがおかしいです。遺言の内容が実行されるのは相続人の死後ですから、“相続人の生活の安定”は考えなくても良いように思います。私が何か勘違いをしているのでしょうか。

それはさておき、ヒントは2つありました。1つめから見ていきましょう。

財産一切を慈善団体Aに寄付する遺言はできたとしても、その通りにできるとは限らないということは、遺産の分配について異論を言える人がいるということです。本事案では法定相続人は息子の1人だけのようです。となると、遺産の分配に息子が文句を言えるということです。

次に、“(被)相続人の生活の安定と財産の公平分配をはかるため”の部分です。遺産の分配において(被)相続人の生活を安定させるためには、(被)相続人に遺産が分配されなければいけません。つまり、遺産の一部分は遺言とは違う分配をすることができるというわけです。

このような制度を“遺留分”といい、“遺留分減殺請求”をすることによって一部の法定相続人は遺言に反して遺産を受け取ることができるのです。法定相続分や遺留分減殺請求は基本事項ですので、しっかりと勉強してください。

要件を見てみましょう。

1 遺留分

各自が相続する金額の1/2。ただし、兄弟姉妹は0。

2 請求期間:遺留分侵害の事実を知った日から1年以内

これらの情報を使って解答を書きます。

 

“遺留分減殺請求によって、相続財産の二分の一について遺留分を取り戻すことができる。”(40字)

 

 

| まとめ

 

1 知らない問題は基本的なところから推論!

2 似たような制度は比較して暗記!

3 相続の数字は基本的かつ重要事項!



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