宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は組合と不法行為です。不法行為は頻出分野です。手薄になりがちですのでご注意ください。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。今回が宅建士試験対策の最終回です。
受験生の皆さんの頑張りを応援しています!
試験日は落ち着いて早めの行動を心がけてくださいね。
| 組合の財産関係
1 財産の性格
・物権的請求権
・総組合員の共有
・持分処分○、ただし、他の組合員・第三者に対抗×
・清算前の分割請求×
2 債権
・総組合員の合有(潜在的持分あり)
・組合債権と個人債務の相殺 ×
・組合債務と個人債権の相殺 ○
・全組合員の合意で組合債権の分割 ○
3 債務
・総組合員の合有(組合財産が引当財産)
・各組合員は損失分担の割合で負担
・各組合員の負担は個人財産が引当財産
4 損益分配
・(1)組合契約、(2)出資の価格に応じて決定
| 一般不法行為
1 成立要件
・加害者の故意・過失行為
・加害者の責任能力(11~12歳程度の能力)
・違法性(正当防衛・緊急避難、正当業務行為、被害者の承諾で違法性阻却)
2 効果
・損害賠償請求権(加害行為と相当因果関係にある損害のみ)
・遅延利息(不法行為時から発生)
・相殺の禁止(加害者からの相殺の禁止)
・過失相殺(任意的)
・損害賠償請求権の消滅時効(知ったときから3年、不法行為時から20年)
| 特殊不法行為
1 使用者責任
・成立要件
(1)事業のために他人を使用
(2)被用者が事業の執行につき行ったこと(客観的に外形を基準にする)
(3)第三者への加害行為
(4)一般不法行為の要件の充足
・使用者の免責(専任・監督に相当の注意)
・効果
(1)被用者の選任・監督者が損害賠償責任を負う
(2)被用者は別途一般不法行為責任を負う
(3)被用者への求償権
2 注文者の責任
注文者が請負人に対して注文または指図を行った場合に過失があれば、請負人が他人に与えた損害を賠償する責任を負います。
3 土地工作物責任
・成立要件
(1)土地の工作物の設置または保存の瑕疵
(2)他人の損害
(3)設置・保存の瑕疵と他人の損害との間の因果関係
・効果
(1)1次的に占有者の損害賠償責任
ただし、自ら損害の発生を防止する必要な措置を講じていたことの証明をすれば占有者は責任を免れます。
(2)2次的に所有者の損害賠償責任
無過失責任です。
(3)賠償した占有者または所有者の求償権
| 被害者側の過失と素因
1 被害者側の過失として考慮されるもの
・被用者の過失
・親の過失
・夫、妻の過失
2 被害者の素因として考慮されるもの
・身体的素因
(1)損害拡大に寄与した場合、斟酌可
(2)損害発生・拡大した場合、疾患のみ斟酌可
・心因的素因がある場合、減額事由になる
| 共同不法行為
1 成立要件
・客観的な共同関係
・共同行為者による損害の発生
・因果関係以外の一般成立要件を充足
2 効果
・共同行為者間では不真正連帯債務(請求・免除の絶対効なし)
・民法416条(損害賠償の範囲)の類推適用
・責任の割合に応じた求償権
| まとめ
1 組合は債権債務関係に注意!
2 不法行為は故意・過失、違法行為、違法性!
3 使用者責任の要件・効果を丸暗記!