宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は相殺とその他です。相殺は重要事項が多いですから頑張りましょう。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 相殺適状
相殺をするためには相殺適状になければいけません。相殺適状の要件は次の4つです。
1 有効な対立債権
2 同種の目的
3 弁済期の徒過(自働債権のみ)
4 相殺可能な性質
“対立”要件の例外は、自働債権・連帯債務・保証債務・債権譲渡です。この場合には対立していなくてもよい場合があります。
| 相殺禁止
相殺適状であっても相殺が禁止される場合があります。
| その他の債権消滅原因
1 混同(例外あり)
2 免除
3 代物弁済(無因・同一性なし)
4 更改(有因・同一性なし)
5 供託
6 時効の完成
混同は、第三者の権利の目的になっているときは消滅しません。たとえば質権の目的物だったり抵当権の目的物だったりした場合です。
たとえば、所有権と賃借権の混同を考えてみましょう。所有者から賃借人と第三に二重譲渡がなされ、第三者が不動産の登記を具備して賃借人が確定的に所有権の取得を主張できなくなったときは、所有者=賃借人となって一旦消滅したはずの賃借権が、第三者が所有権を取得すると同時に第三者との関係で消滅しなかったことになります。
“有因”・“無因”は、旧債務と新債務との関係性のことで、瑕疵などを承継するかどうかの違いです。有因は瑕疵を承継し、無因は瑕疵を承継しません。
“同一性なし”は、債権者と債務者の関係性のことで、抗弁を承継するかどうかの違いです。同一性なしの場合には同時履行の抗弁権などの抗弁権は新債権者に承継されません。
| まとめ
1 相殺適状は具体例を考えながら丸暗記!
2 相殺禁止は自働債権の弁済期前、受働債権の不法行為に注意!
3 混同による債権債務関係の消滅は例外が多いので要注意!