宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は弁済です。債権譲渡に続いて、ここも苦手意識の強い分野ではないでしょうか。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 金銭債務の弁済になるもの
1 現金
2 郵便為替
3 振替貯金払出証書
4 銀行振出の小切手
個人振出の小切手は弁済になりませんのでご注意ください。
| 弁済の提供の効果
1 履行遅滞責任の免責
2 同時履行の抗弁権の剥奪
3 約定利息発生の停止
4 善管注意義務の軽減(受領遅滞の効果)
5 危険の移転(受領遅滞の効果)
6 増加費用の請求(受領遅滞の効果)
| 口頭の提供と弁済提供
1 口頭の提供で弁済提供あり
・あらかじめ受領拒否
・取り立て債務・加工債務・登記債務など債務者の行為を要する場合
2 口頭の提供さえいらない場合
・明確な受領拒否
ただし、債務者の経済状態が弁済の準備ができない程度に悪ければ、口頭の提供が必要です。
| 供託の要件
1 受領拒否
2 受領不可能
3 遅滞なく債権者の確知が不可
| 弁済できる第三者
なす債務など債務の性質であったり当事者が反対の意思表示をしたりした場合は第三者が弁済をすることはできません。ただし、利害関係のある第三者は債務者の意思に反しても弁済をすることができます。
利害関係のある第三者の例を挙げます。
1 借地上の建物賃借人(敷地の地代弁済について)
2 保証人
3 物上保証人
4 後順位抵当権者
5 担保目的物の第三取得者
| 弁済の充当の順番
1 契約
2 債務者の指定
3 債権者の指定
4 弁済期を徒過した債務
5 債務者の利益の大きい債務
6 弁済期の先後
7 債務の額に応分
| まとめ
1 個人振出の小切手では弁済にならない!
2 明確な受領拒否があれば口頭の提供さえ不要!
3 債務者の意思に反しても利害関係のある第三者は弁済可能!