宅建士試験を受験される方は追い込み時期ですね。忘れやすい“法令上の制限”や“宅建業法”の見直しに頑張っておられると思います。
宅建士試験受験生に苦手意識のある“権利関係”の勉強はいかがでしょうか。今回から数回にわたって苦手意識のある“権利関係”のまとめを書きたいと思います。今回は債務不履行と損害賠償・解除です。
ぜひ、復習や知識整理にお役立てください。
| 債務不履行の要件と効果
債務不履行は、正当な理由がないのに債務の本旨に従った履行をしないことです。債務不履行には次の3種類があります。
1 履行遅滞
・要件:履行可能、履行期の徒過、債務者の帰責性、違法性
・効果:遅延賠償、給付請求・填補賠償、解除、強制執行、違約金・担保の実行
2 履行不能
・要件:履行不能、債務者の帰責性、違法性
・効果:填補賠償、無催告解除
3 不完全履行
・要件:不完全な履行、債務者の帰責性、違法性
・効果:追完可能な場合は相当期間を定めて追完請求、解除・損害賠償、追完不能の場合は填補賠償、無催告解除
| 損害賠償のポイント
損害賠償は債務不履行と相当因果関係のある損害に限られます。通常の損害は全て損害賠償の範囲内ですが、特別損害は債務者が予見可能から生じた通常損害のみが損害賠償の範囲内です。
特別損害は、契約後に価格が高騰するようなものを売買するような場合です。たとえば、稀少で人気のある骨とう品や絵画を購入して転売で儲けようというような場合ですね。売買契約後に価格が高騰したのに引渡がされず、高値で売って儲けたはずなのにできなかったから損害になるという主張です。この場合には、売主が高値を予想できたかどうかで損害賠償をしなければいけないかどうかが変わります。
また、損害賠償の額を予定しておくことができます。損害賠償額の予定は、手付を違約手付と考えられています。
| 解除のポイント
契約の解除は、債務不履行があったときにすることができますし、売主の担保責任を追及する場合にもできます。契約で解除が定められる場合もあります。
1 いったん解除をすると撤回不可。
2 解除をすると元から契約がなかったことになります(解除の遡及効)。
3 解除されると契約前の状態に戻す義務があります(原状回復義務)。
4 解除があっても解除前に取引をした第三者は影響されません。
| まとめ
1 債務不履行は3種類!
2 債務不履行があると解除や損害賠償ができるかも!
3 解除されると原状回復義務が発生!