税務研修会に参加しました ~確定申告書の作成 その2~

先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。

確定申告書の作成についてのポイントを4回に分けて書きます。今回は第2回です。

 

 

| 法人税などの申告書作成ポイント

 

前回の記事“税務研修会に参加しました ~確定申告書の作成 その1~”では、チェックポイント1~5を書きました。今回はその続きでチェックポイント6から書きたいと思います。全部で18個もありますが、いつ書き終わるのでしょうか…

6 中小企業者等の資産の特別償却または法人税額の特別控除

この制度の適用を受ける企業は多いと思いますので、少し詳しく書きたいと思います。

中小企業投資促進税制の適用を受ける法人で、青色申告書を提出する中小企業者等が対象です。“中小企業者等”は“中小法人”とは違う概念だそうです。冊子によると、資本金の額などが1億円以下の法人で、次の2つの法人以外の法人などです。

・“発行済株式総数”または“出資の総数または総額”の1/2以上が同一の大規模法人の所有に属している法人

・“発行済株式総数”または“出資の総数または総額”の2/3以上が複数の大規模法人の所有に属している法人

ただし、法人税額の特別控除を受けられるのは、資本金3,000万円以下の中小企業者と特定中小企業者等だけです。特別控除は一般的に7%です。

特別償却や特別控除の対象となる設備や事業は限定されています。設備は新品だけで中古品はダメです。また、他の特別償却の適用を受けた資産は重複して適用されません。

(1)適用対象設備

・機械及び装置(1台160万円以上)

・測定工具または検査工具(1台120万円以上、1台30万円以上かつ合計120万円以上)

・一定のソフトウェア(合計70万円以上)

・車両及び運搬具(車両総重量3.5トン以上の貨物運送用の普通自動車)

・内航海運業の船舶

(2)指定事業

・製造業、建築業

・農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業

・小売業、料理店業、その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブなどの事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航海船舶貸渡業、旅行業、梱包業、郵便業、通信業、損害保険代理業、サービス業(物品賃貸業、娯楽業、性風俗関連特殊営業を除く)、映画業

確定申告書 別表六(十三)確定申告書 特別償却の付表(三)

7 雇用者給与等の引き上げ等や設備投資をした場合の法人税額の特別控除

給与の引き上げは多くの企業で実施されていると思いますので、少し詳しく書きたいと思います。

全ての法人に当てはまる規定と中小企業者等にだけ当てはまる規定があります。

Ⅰ 一般的な条件

一般的な条件は次の3つです。3つ全てを満たさないといけません。

(1)雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額

雇用者給与等は適用年度の支給額で、比較雇用者給与等は前事業年度の支給額です。

(2)[継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額]

÷ [継続雇用者比較給与等支給額]

≧ 3%

簡単に言いますと、前年度に比べて3%以上給与が上がっている必要があります。

(3) 国内設備投資額 ≧ 当期償却費総額 × 90%

償却費の90%以上の金額を国内で投資しないといけません。

また、税額控除の限度額があります。上乗せする規定もあります。

[税額控除限度額]

= [雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額] × 15%

支給額の増加した分の15%が限度なのですね。

一般的な上乗せ条件は次のとおりです。

[教育訓練費の額-比較教育訓練費の額] ÷ [比較教育訓練費の額]

≧ 20%

教育訓練費が20%以上増えていると、税額限度額が上乗せできます。上乗せされると20%まで増額できます。

確定申告書 別表六(二十三)

確定申告書 別表六(二十三)付表一

Ⅱ 中小企業者等の特例

次に、中小企業者等の特例を見ます。かなり条件が緩和しています。

(1)雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額

これは同じですね。給与の合計額が増加していなければいけません。

(2)[継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額]

÷ [継続雇用者比較給与等支給額]

≧ 1.5%

給与の増加率が1.5%でよくなっています。大企業は3%以上なので半分ですね。

3つめの投資額の条件はなくなっています。

中小企業者等の税額控除限度額は次のとおりです。

[税額控除限度額]

= [雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額] × 15%

また、上乗せ条件は次のとおりです。

・[継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額] ÷ 継続雇用者比較給与等支給額

≧ 2.5%

全事業年度よりも2.5%給与が上がっていれば15%から25%になります。

・[教育訓練費の額-中小企業比較教育訓練費の額] ÷ 中小企業比較教育訓練費の額]

≧ 10%

脅威訓練費が10%以上増えていると、税額控除額が上乗せできます。こちらも25%まで増額できます。

・認定された経営力向上計画を実現した場合、15%から25%になります。

確定申告書 別表六(二十四)

 

 

| まとめ

 

1 中小法人と中小企業者は違う!?

2 特別償却や特別控除はモノと事業内容に条件あり!

3 給与が上がると税額控除!



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