先日、近所の納税会館で開催された研修会に参加してきました。事業主や税務担当者が対象の研修会です。内容は、法人税、消費税、源泉所得税です。それぞれの内容をご紹介したいと思います。
今回から4回に分けて確定申告書の作成についてのポイントを書きます。
| 法人税などの申告書作成ポイント
研修会で配布された資料に“申告書を作成するためのチェックポイント”という冊子があります。2019年3月に作成されたもので、チェックポイントが18個記載されています。講師の方は税務署の職員さん。
この冊子に沿って18個のポイントを挙げていきます。企業によっては全く関係のない部分もありますが、ご了承ください
1 所得金額に対する税率
中小法人などでは年800万円超の部分の税率が変更されています。2018年3月31日までは23.4%でしたが、2018年4月1日から23.2%になりました。わずか0.2%ですが減税されたようです。
中小法人は、資本金の額や出資の額が1億円以下の企業です。大法人が100%出資しているなどの例外があります。中小法人のメリットは7個挙げられています。見出しを抜き出します。
(1)年800万円以下の所得に対する軽減税率(15%)
(2)特定同族会社の特別税率(留保金課税)の不適用
(3)貸倒引当金の組み入れ
(4)貸倒引当金の法定繰入率
(5)交際費などの損金不算入制度における定額控除の特例の選択
(6)欠損金の繰越による還付制度
(7)青色繰越欠損金の控除前所得金額全額の損金算入
言葉が難しいですね。税率がお得になったり、損金に算入して利益を減らし税額を抑えたりできるのが主なメリットでしょう。
法人税には地方法人税もあって4.4%です。忘れずに計算してください。
2 グループ法人税制
グループ企業であれば強制的に適用がある制度です。主に4つあります。
(1)100%出資のグループ内での譲渡利益の益金や損金への不算入
(2)100%出資のグループ内での寄付金の損益不算入(支払った法人の処理)
(3)100%出資のグループ内での受贈益の益金不算入(貰った法人の処理)
(4)100%出資のグループ内での受取配当金等の益金不算入
その他にも、グループ関係を系統的に書いた図(出資関係図)やグループ一覧図を作成して確定申告書に添付しなければいけません。
3 特定同族会社の留保金課税
特定同族会社は、持株割合や議決権割合で50%を超える会社で、資本金の額などが1億円を超えている会社です。大法人から100%出資されている会社も特定同族会社です。
特定同族会社にあたると、留保所得金額が2,000万円を超えている場合に課税されます。課税留保金額は、留保金額から次の(1)~(3)のうち最も多い金額を引いた金額です。
(1)[積立金基準額]
= [期末資本金の額など] × 25% - [期末利益積立金]
(2)[所得基準額] = [所得などの金額] × 40%
(3)[定額基準額] = 2,000万円 × [事業年度の月数] ÷ 12
4 所得の金額、利益積立金、資本金などの額の計算
ここでのポイントは3つです。
(1)自己株式取得でのみなし配当
[自己株式の取得費用-資本金などの額] × [自己株式率]
上の場合にはみなし配当になる可能性があります。みなし配当になると、配当金の支払いとして20.42%の源泉徴収をしなければいけません。
(2)役員給与の損金不算入
基本的に役員の給与は損金に入れられません。例外は次の4つです。
・定期同額給与
一般的な役員の報酬です。
・事前確定届出給与
事前確定給与届出を提出しておく必要があります。たとえば、社長が“ボーナスが欲しい!”と言った場合などですね。
・業績連動給与
・過大な役員給与
“定期同額給与”~“業績連動給与”の3つは“役員報酬手当等及び人件費の内訳書”に記入します。
(3)売買目的外の有価証券、ゴルフ会員権の評価損益の加算・減算
基本的には益金・損金に算入できません。ただ、例外がたくさんあるようです。
長くなってきましたので、次回に分割します。
| まとめ
1 中小法人は所得税がお得!
2 100%出資のグループ会社は注意1
3 役員給与は損金に入れられないことも!