競売物件って儲かるの?

| 競売物件ってなに?

 

競売物件は、家や土地を担保に入れてお金を借りたはいいものの返済ができなくなって抵当権を実行されて競り売りにかけられた物件です。市場価格よりも安く手に入ることが多いですが、現状での引渡しになりますので賃貸したり転売したりするには修理が必要になることがあります。

競売物件は私も詳しいわけではありませんので、色々と調べながら知ったことを忘備録として書きたいと思います。

 

 

| こんな事例だと儲かる?

 

架空の事例ですので、実際にこうだったというわけではありません。私の妄想だと思ってください。

ある競売物件が大阪の郊外にある市町村にあります。人口は20万人以上で大阪市内とは市街地が続いている場所にあります。大阪市内への幹線道路は整備されていて比較的交通の便がよい市町村です。

近隣には四年制の総合大学があり、学生向けのアパートが多く建っています。安くてボリュームのある飲食店もあります。最寄りの駅からは徒歩15分くらいかかります。

物件は土地が50㎡、建物の延べ床面積は99㎡の木造3階建住宅。築27年になります。1階が駐車場になっている典型的な3層住宅ですね。1階には風呂とトイレ、2階にはリビングと和室が1部屋とトイレ、3階は3部屋あります。狭いながらも4LDKですので、家族が住むにはちょうどいいサイズです。

競売書類の物件詳細には、関係者のコメントとして、雨漏りはないこと、10年ほど前に屋根裏に断熱材を敷き詰めて換気扇を設置したこと、3年前にクロスを張り替えたこと、隣地との境界の争いはないことが書かれています。

執行官のコメントとして、所有者のみが占有して使用していること、建ぺい率がオーバーしている可能性があることが書かれています。

裁判所から依頼された不動産鑑定士が計算した基準価格は617万円。市場価格はおおよそ800万円なので一般的な流通価格よりも安く設定されています。実際の入札では7件の入札があり、不動産業者が落札してその金額は702万円でした。この不動産業者が債務者を立ち退かせてリフォームをし、販売開始価格は1180万円。販売開始から5か月後に成約になりました。販売価格は1100万円。値引きが少し入ったようです。

実際に費用を考えてみましょう。

1 購入費用:約700万円

2 リフォーム代:約150万円 (安い業者でリフォーム)

3 税金:約150万円 (短期での売却なので譲渡所得税が高い)

4 退去費用・残置物処理費用:約30万円

費用の合計は約1030万円。売却価格が1100万円ですから、粗利益で約70万円。中古一戸建の仲介手数料ほどです。今回は5カ月で成約になりましたが、在庫のリスクが怖いです。在庫など考えなくてもよい仲介の方が気持ちは楽かもしれませんね。

不動産業者ではなく個人の方が同じようにすると、売却時には不動産屋へ仲介手数料を支払わなければいけません。1100万円では利益が少なすぎるので、値下げには応じられなかったと思います。

 

 

| まとめ

 

1 競売は裁判所が主導するセリ!

2 リフォームや譲渡所得税を考えると儲けは少ない!?

3 個人の方なら費用に仲介手数料が更に上乗せ!



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民法ってどんな法律?(債務不履行編②)

前回の“民法ってどんな法律?(債務不履行編①)で書きましたが、契約を守らないと損害賠償や解除をされてしまいます。今回は契約の解除と危険負担について書きたいと思います。

 

| 契約の解除

 

解除は、一方的な意思表示で契約が最初からなかったことにすることです。契約が最初からなかったことになりますから、当事者はお互いに原状回復をする義務があります。元の状態に戻すということですね。受け取ったものは返しますし、加工していれば元の状態に戻ります。原状回復に費用がかかったとしても当人が負担します。ただし、費用は解除とは別に損害として賠償を請求される可能性があります。お金を返す場合は利息も必要です。

解除権は、債務不履行など法律の規定によって発生する場合、解約手付があったときなど契約によって発生する場合があります。

また、債務不履行の種類によっても変わりますので、分けて書きたいと思います。

1 履行遅滞のとき

履行遅滞のときは、債務が弁済できる程度の相当の期間を定めて弁済をするように催告します。たとえば、2019年5月15日までに支払いをするというように期限を定めます。その間に弁済がない場合に初めて解除することができます。

2 履行不能のとき

履行不能のときは、弁済を催告してもどうせ弁済できないのですから、いきなり解除をすることができます。

一度、解除権を行使するとあとから“やっぱりやめた”と撤回することはできません。

 

 

| 危険負担ってなに?

 

債務不履行になるのは債務者に故意や過失がある場合です。売った住宅をわざと引き渡さないとか引き渡したいけれど修理が間に合わないから引き渡せないといった場合ですね。

これとは違って、危険負担は誰にも故意や過失がない場合です。たとえば、建物の売買契約をした後に落雷によって建物が燃えてしまってなくなってしまった場合です。このような場合は誰が建物を引き渡せなくなった責任を取るのでしょうか?

民法ではいろいろと場合分けをして定めています。原則は、債権者主義と言われるものです。たとえば、建物の売買契約が落雷で燃えてしまった先ほどの例では、買主は代金を支払わなければいけません。

この危険負担は、中古住宅の売買のように特定の物権に関するものでお互いに義務を負っている場合に該当します。

では、賃貸借契約のように物権に関係ないものの場合には、債務者主義を適用します。たとえば、借りていたアパートが燃えてしまった場合には、大家さんは建物を貸せなくなった反面、家賃を徴収することができません。大家さんは建物を貸す義務がありますので、ここでは債務者になるのです。

その他の例外では、停止条件が付いている契約の場合です。たとえば、転勤が決まったら中古住宅を売るといった場合ですね。転勤がまだ決まらない間に落雷によって家が燃えてしまった場合には、転勤が決まっても売買代金を受け取ることはできません。ところが、落雷によって家が少し壊れただけの場合には、転勤が決まったら壊れた建物を引き渡すと売買代金を全額貰うことができます。

また、債権者が契約の目的物を壊してしまったような場合には、債権者主義になります。たとえば、中古住宅の売買で買主が家の様子を見に来た時に買主の吸っていたタバコの火の不始末で家が燃えてしまった場合、債権者は建物の代金を支払わなければいけません。ただし、売主が手に入れた利益(売買代金など)は、公平の観点から買主に変換しなければいけないことになっています。

 

 

| まとめ

 

1 履行不能で解除する場合は催告が不要!

2 だれの責任でもない場合は危険負担の問題!

3 危険負担には債権者主義と債務者主義があります!



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民法ってどんな法律?(債務不履行編①)

| 契約を守らないとどうなる?

 

契約は約束です。守らないといけません。しかし、いつでも契約が守られるとは限りません。約束を破ってしまうと相応のペナルティが課せられます。特に、わざと約束を守らなかったり(故意)、自分の過失で約束が守れなかったり(有過失)すると、損害を賠償する責任を負ったり契約を解除されることがあります。

故意や有過失でない場合には“危険負担”という制度を使って解決します。今回は、約束を守らなかった場合について書きたいと思います。

 

 

| 債務不履行の種類

 

債務不履行は、正当な理由がないのに約束を守らなかったことです。“正当な理由がないのに”というのは、故意・過失があった場合のことです。

債務不履行には次の3つがあります。

1 履行遅滞

2 履行不能

3 不完全履行

これらの場合を一つずつ書いていきます。

 

 

| 履行遅滞

 

履行遅滞は、債務の弁済ができるのに約束の期日を過ぎても弁済しない場合です。たとえば、中古住宅を購入したのに売主が約束の期日になっても住宅を引き渡さない場合です。

このような場合には、引渡が遅れたことによる損害の賠償を請求したり、契約の解除をしたり、強制的に引渡をさせたりすることができます。

 

 

| 履行不能

 

履行不能は、約束の期日に関係なく債務の弁済ができなくなった場合です。たとえば、中古住宅の売買契約をしたのに、土地や建物の引渡の前に売主の火の不始末で建物が燃えてなくなってしまい、建物の引渡ができなくなった場合です。

このような場合には、損害の賠償を請求したり、契約の解除をしたりすることができます。

 

 

| 不完全履行

 

不完全履行は、債務の弁済として一応は行われたけれど不完全だった場合です。たとえば、物件の調査の依頼を受けた調査会社が調査をして報告書を提出したけれど、とてもずさんな報告だった場合です。

このような場合には、債務者が改めて完全な履行をすることができる場合には、完全な履行を請求したり期日に遅れたことによる損害の賠償を請求したりできます。債務者が完全な履行をすることができない場合には、損害の賠償を請求することができます。

 

 

| 損害賠償の特則

 

損害賠償をする場合には、例外的に守らないといけないルールがあります。

1 損害賠償額の予定

家を買ったときには違約金の定めが契約書に書かれています。たとえば、暴力団員などの場合には違約金を物件代金の80%を支払うといったようなものです。民法では違約金の定めを損害賠償額の予定と推定することになっています。損害賠償額の予定は、あらかじめ債務不履行の場合に損害を賠償する金額を決めておくことです。

2 金銭債務の特則

代金の支払債務や賃料の支払債務は金銭債務と言います。金銭債務は履行不能になりません。いくらお金がなくて支払えなくても世の中のお金がすべてなくなったわけではありませんから、単に期日までにお金を用意できなかっただけです。このような場合には履行遅滞になります。

また、お金を支払えない原因が天変地異などの不可抗力であっても損害賠償をしなければいけません。支払えないことに故意や過失は必要ないのです。単に支払えないというだけで履行遅滞になります。

また、賠償金額は原則として法定利率とされています。一般消費者であれば5%、業者であれば6%の利率で支払わなければいけません。これよりも高い約束があればそれに従います。

3 過失相殺

債務不履行について、債務者だけでなく債権者にも過失がある場合には損害賠償の責任や金額を決めるときに裁判所が必ず考慮することになっています。

 

 

| まとめ

 

 

1 約束を守らないと債務不履行になります!

2 債務不履行の責任は損害賠償責任と解除!

3 損害の賠償には特別なルールがあります!



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民法ってどんな法律?(物権編④)

| 担保物権ってなに?

 

担保物権は、弁済を確保するために他人のものの担保としての価値を利用する権利です。たとえば、弁済をするまで返さないとしたり、弁済ができなくなったら売却して代金から弁済を受けたりする権利です。担保物権には、留置権、質権、先取特権、抵当権の4つがあります。

担保物権には、次の4つの性質があると言われています。

1 付従性

債権がなければ担保物権もなく、債権が消えれば担保物権も消える性質です。

2 随伴性

債権が譲渡されると、担保物権も一緒に移転する性質です。

3 不可分性

全部が弁済されるまで、目的物全部に対して担保物権を行使することができる性質です。

4 物上代位性

目的物を売ったり貸したりしたときにその代金から弁済を受けることができる性質です。ただし、留置権にはこの性質がありません。

 

 

| 質権

 

質権は、担保として受け取ったものを債務が弁済されるまで手元に置いておく権利です。イメージとしては、質屋にモノを預ける代わりにお金を借りるというものですね。お金を返すまで預けたモノは戻ってきません。

質権を設定するには、契約のときにモノ(質物)を渡さなければいけません。不動産も質入れすることができますし、権利も質入れすることができます。

 

 

| 留置権

 

留置権は、モノについて生じた請求権を弁済してもらうまでそのモノを手元に置いておく権利です。たとえば、建物の賃借人が賃借中に建物の壁を必要に迫られて修繕した場合、本来大家が負担する修繕費の返済を受けるまでは部屋の引き渡しを拒むことができます。

留置権は法律上当然に発生する権利ですので、契約は必要ありません。

 

 

| 先取特権

 

先取特権は、特定の債権を持つ人が債務者の一定の財産から優先的に弁済を受ける権利です。法律上当然に発生する権利です。

先取特権には、一般の先取特権、動産の先取特権、不動産の先取特権の3つがあります。さらに不動産の先取特権には、不動産保存の先取特権、不動産工事の先取特権、不動産売買の先取特権の3つがあります。

とくに不動産工事の先取特権は、工事の代金を支払わないときに工事業者に認められる権利です。工事をした不動産を売却したり賃貸したりしたときには、先取特権を有する工事業者がその代金や家賃から工事代金を受け取ることができます。ただし、工事の前に予算額を登記していなければいけませんので、かなりハードルが高いです。

 

 

| 抵当権

 

抵当権は、目的物を取り上げずに使用させ続けてる担保物権です。住宅ローンをイメージされるとOKです。返済が滞ると抵当権を実行されて競売にかけられ、土地や建物を手放すことになります。

抵当権の設定は契約によって行われます。また、債務者の代わりにモノだけを抵当に入れる物上保証人もいます。いくつかの不動産をまとめて抵当に入れることもできます。

実は、抵当権に対抗できる権利があります。それが法定地上権です。前回の地上権のところで少し書きましたね。競売にかけられた場合に、法定地上権が成立すると建物を取り壊して立ち退く必要がなくなります。ただし、所有者ではなくなりますから地代や家賃を支払わなければいけません。

賃貸人がいる場合に競売にかけられると、抵当権の登記より後に入居した賃貸人は立ち退かなければいけません。すべての抵当権者が同意した場合で同意の登記がされていれば立ち退かなくてもいいのですが、このような場面はないと言ってもいいと思います。

抵当権と似ている権利に根抵当権があります。根抵当権は、事業の融資などに使われるもので極度額まで何度でも借りられる特殊な抵当権です。

 

 

| まとめ

 

1 担保物権には4つの性質があります!

2 質権や抵当権は身近にイメージできるかも!?

3 留置権には優先弁済的効力がないのでご注意!



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民法ってどんな法律?(物権編③)

| 用益物権ってなに?

 

前回の“民法ってどんな法律?(物権編②)”では、物権は分類されていて所有権や占有権の他に用益物権や担保物権があるというお話を書きました。今回は用益物権について書きたいと思います。

用益物権は、一言で言いますと“他人の土地を利用させてもらう権利”です。他人の土地の利用関係については用益物権の他に“相隣関係”という規定もあります。一緒にまとめて書きたいと思います。

 

 

| 地上権

 

地上権は、他人の土地に工作物や樹木を所有するために土地を利用する権利です。実際にはあまり使われていない権利です。と言いますのも、同じ目的であれば土地を賃貸借することができるからです。

地上権での“工作物”は建物の他に、電柱、広告塔、石油タンクなどがあります。樹木には、稲、果樹、茶などは含まれません。

地上権には無償のものと有償のものがあります。賃貸借との違いはここですね。賃貸借は必ず賃料が発生します。もし無償であれば、賃貸借ではなく使用貸借です。

さらに、地上権は登記をしなければ第三者に地上権を主張できません。一定の要件を備えれば法律上地上権が成立する場合もあります。

 

 

| 地役権

 

地役権は、自己の土地を便利に使うために他人の土地を利用する権利です。たとえば、道路を作って公道に出られるようにしたり、田んぼに水を引くために水路を作ったりするときに使います。

地役権を手に入れるためには契約をすることはもちろんですが、その他にも時効取得することができます。ただし、継続的に行使されていて外から分かるものでなければいけません。さきほどの道路や用水路の利用の場合には時効取得が認められる可能性がります。

地役権には無償のものと有償のものがあります。ただし、地代がいくらかを登記することはできませんので、地代を第三者に主張することはできません。

 

 

| 永小作権

 

永小作権は、耕作や牧畜のために小作料を払って他人の土地を利用する権利です。無償の永小作権はありません。

永小作権を手に入れるためには契約や時効取得があります。ただし、登記をしなければ第三者に主張することはできません。

 

 

| 入会権

 

入会権は、一定地域に住んでいる人が山林で薪や草を採取する場合などに共同で収益を上げる慣習上の権利です。ほとんど慣習に委ねられていますので各地によって内容は様々です。また、登記をすることはできません。

 

 

| 相隣関係

 

相隣関係は、隣接する不動産を利用するときのルールです。いろいろな形があります。

1 隣地使用権、立入権

境界付近で工事を行うときなどに隣地を利用させてもらう権利です。承諾があれば建物の中にも立ち入ることができます。

2 通行権

袋地になっていて公道に面していない場合に、公道へ行くために周りの土地を通る権利(囲繞地通行権)です。地役権と同じようなものですが、かならず通行料を支払わなければいけません。

3 樹木の切除

隣地の樹木が境界戦を超えているときに、枝を切るように請求できます。根っこならば勝手に切ってもかまいません。

4 境界線付近の建築

建物を建てるときには、境界線から50㎝以上離すように決められています。これに違反している場合には、建築を中止するように求めたり変更するように求めたりすることができます。ただし、完成後には請求できませんし、建築着手から1年以上経ったら請求できません。

5 境界標の設置

境界標を隣接と共同の費用で設置することができます。

6 目隠しの設置

境界線から1m未満の距離で窓やベランダなどを作るときには目隠しをつけなければいけません。

7 自然の水の妨害禁止

自然に水が流れてきているのを勝手に妨げてはいけません。

 

 

| まとめ

 

1 用益物権は他人の土地を利用する権利!

2 通行地役権と囲繞地通行権はよく似ている!?

3 地上権と賃借権もよく似ている!?



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